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Laboの男98

 Labの男98

 「なら…もう要らない…」

崖っぷちに立たされた男が
もう1人の男に迫られている。
胸ぐらを掴んで追い立てる男は両手を離して
今度は両手のひらを開げて
手をかざしてもう一方の男に向けた。
するとみるみるうちに浮き上がる男。
まるで諦めたようにだらりとして浮いている
男の足は崖を離れ宙を舞っている。
手をかざし操っている男の目には涙がつたう。

 「もう耐えられないんだ」

そう言うと
かざしていた手を下ろした。
瞬間、宙ぶらりんの男はまっ逆さまに
崖の下へと落ちていった。



 ペンドラゴンという男

「はははは、もういい加減観念しろ!
 さすがにこれでどうだ?!
 Take this!【これでも喰らえ!】」

トマス・タイガーが
クリスタルを用いて造り出した魔力蓄電装置。
試行錯誤の末
なんとか装置の完成間近にこぎつけ
最後の工程を済ましたところ
コレでどうだっ!とダメ押しに
機械に向けて放った言葉。
装置の傍らにいた相棒の
椿 ペンドラゴン
不意を突かれ
その言葉に撃ち抜かれていた。
 【ああ、これからも
  ずっとカレと過ごせたら】
思えば何年彼と2人で歩んできたんだろうか?
よく彼は言っていたな。
 「ツバキはもう少し踏み込んだ方がいいな。
  のめり込みが少しあまいんだ。
  なりふり構わずいっちゃった方が
  うまく転がるんだから」

がむしゃらに進むだけでなく
トマス・タイガーは時折り
振り返ってこっちを向いてくれる。

 「お前はただただ、
  世界に感動さえしてくれればいい」

 「それを見てオレは
  インスピレーションを得る。
  当たり前のことが分からない私の
  オマエは唯一無二の道標だ。
  ただ、ただ
  オマエはそのままでいてくれ。
  それだけでいい」

いつしかその言葉に
椿 ペンドラゴンは安らぎを覚え

 「そもそもヒトが、意図しない所に
  マジカルは宿るんだよ。
  オマエが教えてくれた【とっておき】だ」

椿がへこたれそうになった時も

 「それに、失敗かどうかなんて
  どうして分かるんだ?
  降りそそぐ火の粉が必ずしも
  災いともかぎらないだろ?
  いい気づきになったり
  新たにトライしたってこと
  なんだからな、結果は別の話だろ?」

 「そう、眉間にシワを寄せるなツバキ」

前人未到の経験とは別に
ナニかが芽生えた。

勝手に脳内再生される
Best of トマス名場面集。
いざ認めてしまえば
歯止めが効かなくなるであろう
自身との葛藤、それと裏腹な
積み重ねた関係性を壊したくない
どうしようもない支配欲と
確信めいた抑圧に
ツバキは、がんじからめとなっていた。

ペンドラゴン家は
代々女系の血筋であり誉れ高きアーサー王子
父親方の流れをくむ。
血統を重んじる魔女家系は代々
なぜか男児に恵まれない。
が、血筋の定めをかいくぐり
ついに後継者が生まれた。
その家系に椿は男児として生を受けた。
正統なる純血にあたる証
ペンドラゴンの名が授けられた。
大いに期待され
蝶よ花よとモテはやされ
環境に自己肯定され育てられた
椿 ペンドラゴン。
それでも
彼には避けられない恐れがあった。
トマスと出会ってからというもの
それまでのツバキの価値観が
ひっくり返る事の連続
時には対立しその度に
椿には気付きがあった。
そして
それを与えてくれるのは
いつも桐島 トマス タイガーであった。

 『サプライズは危険を孕んでいる』
それは受け手、
サプライズされる側の話で
想像よりもさらに斜め上をいって欲しい
水面下の願望のことを指す。
魅了されるとは
観客止まりの魅せられる側をキープするか
自らが新たに魅せる側に立つ
となるのが相場は決まっている。
1度でも感電してしまえば
際限のない更なるムネの高鳴りを求め
刺激レコードの更新を願う。
それは充足と心の渇きをはき違え
不感症になりかねない。
それに、もうトマス以上の悦びが
得られなくなってきている自覚がある。
残念ながら受け手である以上
何に対しても素直に喜べなくなってしまう。
恐ろしいことに
提供される側がいつしか到達するのは
やってもらった事に失望する。
必ずその日はやって来る。
 「鮮やかさはいずれ色褪せる」
メラメラとかつて燃え盛っていた
炎が静かに灰となるのと同じように。
想定するクセ
予測できるから失望する。
常に環境と一体となって他と隔たりがない
生命の法則には感謝はない。
それは自己と自他の隔たりが無いところには
感謝は生まれないからだ。
エゴ発進の行動がそこには無いから
他との差を意に介さないから
感謝は他者の概念があって成立する。
生命の概念から少し外れたヒトは
何かと分けたがるのが特徴で
それに振り回されていると言える。
打開策としては
時間を割いて何かをやってくれた事に
際限なく感謝をする。それしかない。

人の期待に答える
生き方しかできなかった
椿 ペンドラゴンにとって
何のためらいもなく自分の意志で舵を切る
桐島 トマス 虎太郎。
さらに斜め上をいく発想にトキメキ
驚かされ続けた椿は
いつのまにか魔法界の利他的発想から
逸脱してしまっていた。
しまい込んでいた想いは
友人の枠を超えて裏返り
我を忘れた執着へと駆り立ててしまった。

それまで
現代社会で生きてきた経験から
トマス・タイガーは理解していた。
内か外か、魅せられる側と魅せる側
わざわざ敷居を設け
垣根が無いモノを分けた時点で
世界との繋がりを断つこととなり
それは自身を世界の一員から
分けることに他ならないからだ。


ある日
嘆きの森と呼ばれる
古株の魔族は立ち寄らない
いわくの場所に呼び出されたトマス。
この森の良くないところは
地理的に気の流れが滞ることだ。
レイラインと呼ばれたり龍脈と呼ばれる
流れは絶えず変動することにより
絶え間ない生きた循環を育む。
それ故に
龍脈が巡らない場所は澱み
街が栄えなかったり
いいことが舞い込まないと言われる。
要は風通しはイイに限るってことだ。

嘆きの森の少し入った所に位置する
さらに魔族が立ち入らない場所
 嘆きの丘
森を一望できる場所に独り佇むトマス。
あまりにもヒトの気配がしないので
ソワソワしている。
「ここまでヒトの気配がないのは異常だな。
 みんな迷信を信じてるんだ。
 そんなイワクツキの場所に
 なんで椿は呼び出したんだろうか?
 ナニか人に聞かれたくない
 事情でもあるのか?」

浮かない顔をして
のそのそと登場したツバキには
あまりにも覇気がない。
その割には眼がバッキバキだ。

「こんなところに呼び出して
 どうかしたのかツバキ?」

反応が明らかに普段よりも薄い。
しばらく下を向き間をおいて
ため息 ツバキは空気を作って
意を決したように話し始めた。

 「キミは影響を受ける側のことを
  考えたことはあるか?
  どこまでイッても凡人である
  血筋とは名ばかりの私の気持ちを」

「ん?ナニを今さら?
 この魔法界に革命をもたらしたのは
 間違いなくキミとボク2人でだよ。
 椿 ペンドラゴンがいなけりゃ
 こんな大それたマネは出来なかった。
 魔法界の影響や環境を変えるなんて
 ちっとも考えてもなかった。
 他ならない喜んでくれるお前が
 あってこそ実現できたんだ。
 オマエあっての結果なのに
 今更ナニを言っているんだ?」

少しニガ笑いのツバキは
急に真顔になって口を開いた。

 「はっ トマスっ?
  お前には分かりっこない!
  無論この魔法界に誘ったのは私だ。
  だがあくまでキッカケに過ぎない。
  別に私の誘いが無くてもキミは
  どの世界観であっても
  何かしらカタチになっていたさ……」

下を向いていた顔をあげ
そっぽを向くツバキは
真っ直ぐにトマスを見ようとしない。

 「もうすっかり
  トマスは有名人となって
  公の人間となってしまった。
  キミは遥か高く、そして
  遠くに羽ばたいてゆくだろう。
  もうキミは手の届く存在では
  なくなってしまうだろう…」

「何おかしな事言ってんだオマエ?
 私は何にも変わってないじゃ無いか?
 オマエどうかしてるのか?
 そんなになるまで煮詰まってるのか?
 自分を責めてもナニもならんぞ
 わかってるだろ?」

 「トマス・タイガーの発明は
  魔法界を大きく変えるだろう。
  ボクだけの一般人
  桐島 虎太郎では
  なくなってしまったんだよ!」

急にトマスの胸ぐらを掴んで迫って来た椿

 「なんでなんだっ!
  なんでこんなに苦しいのに
  キミは何も気付きやしない。
  もう、うんざりだ!限界なんだもう。
  私のものなんだよトマスは!!!」

「ナニとち狂ってるんだよ。何度も言わせなよっ
 オマエはお前であるだけで十分なんだよ。
 価値なんて、勝手にヒトが決めてるだけだ
 マボロシだよ、そんなのは!
 まだ、評価が欲しいのか?」

熱い目で訴えかけるトマスを初めて
しっかり見つめたが、すぐに目を逸らした。

 「そんなに熱く話しかけるんじゃない!
  もう、どうかなりそうなんだ」

また目を伏せて
観念したように
吐き捨てるように言った。

 「バカ野朗ぉ!好きなんだよ!
  どおしょうもなく」

しばらく止まるトマス
後から追いついてくる意識
思ってもいなかった角度に
大きく体を揺さぶられるのとは別に
衝撃が走る。
胸元を掴まれたまま呆然と立ち尽くすトマス。

胸ぐらを掴んだ手は少し弛んだ。
 「それに
  もうキミの目指しているのは
  魔術でも呪術でも科学ですらない。
  昔からすでにヒトが合わせが持つ
  エネルギーの源流へと向かうだろう。
  それは魔術師の端くれでもある
  私にでも分かる。
  キミにはその自覚がないだけだ」

 「新しい領域に手を伸ばそうと
  しているうちは良かった。
  でも、もう私には眩しすぎて
  怖くてついて行くのがやっとだ。
  そのうち未開の領域にまでも
  いとも簡単に到達してしまうだろう。
  その時には君はもう魔法使いでない
  ヒトですらなくなってしまうだろう。
  そうなる前にっ!」

そう言うと
胸ぐらを掴んでいる手に力が入り
ツバキは鬼気迫る目でトマスを見た。

トマスは考えていた。
だから、ツバキにしてみればなんてことない、
世の中のためではなかったのか。
彼の献身は私の為だけの
あくまでトマス虎太郎のためだけに
ここまで寄り添ってくれたワケだ。
頭が上がらないな。愛以外ナニモノでもない。
どうも彼は
もう着いていけない領域となる前に
決着をつけたいのだろう。

「そこまでの想いを独り抱え込んでいたのか。
 なんていうヤツだキミは!
 押し殺していた気持ち
 見て見ぬふりをするのは苦しかったろう。
 それは鈍感な私でも想像がつく」

が、そんな熱いトマスの発言も
気が動転しているツバキにはその言葉は
耳には入っていない。
どこを見ているかわからない
瞳孔で囁くように言った。

 「もう、いらない」

全ての悦びを提供してもらった男
トマス・タイガーに対して
掴んでいた手を離し今度は手をかざした。
両手のひらをかざした先には宙に浮いたトマス
彼を空中で捉えて崖の向こう側にまで
瞳を閉じてツバキは手をかざすのをやめて
手を下ろした。しばらくした後


 ドサッ

ツバキの主力となる魔法は『拒絶』
モノを遠のけたり、モノを遮断する
遠隔操作系となる。
侵入を許可しないということだ。
それは何かに怒りをいだいてる現れ
変わってしまう自身への恐れ
自分の中で認められない
何かがあるということ。
攻撃ではなく、あくまで
自身の防御で発動している。
本人には自覚がないだろうが拒絶には
根底にヒトの役に立ちたいであったり
ヒトに認められたい感情がある。

かなりの高さであることから
落下したカレは霧でモヤって確認できない。
しばらく下を眺めて
もう取り返しのつかない状況を
噛み締めていた。
次から次へと溢れ出す涙を拭いもせず
ただただ突っ立っている。
変わっていくであろうトマスと
変わってしまったツバキ。
その後の
椿 ペンドラゴンの足取りは掴めていない。



 「がぁはぁっ」

気絶していたトマスは朦朧とした意識の中
焦点も定まらないまま周辺を観察する。
かなりの高さから落ちたのは
衝撃が身体が覚えている。
周辺は尖った岩があちこちに生えており
霧に紛れて全てが見えない。
上体を起こそうとするが動かせるのは
首だけで身体がついてこない。
それもそのはず足が地に着いていないのだ。
そういえば無性にドテッパラが熱い。
相当なダメージを受けたようだ。
少しずつ焦点があってきた。
視界がぼやけるのは貧血からか
多量の出血が原因のようだ。
胴体を見てみるとかなり驚いた。
切り立った岩に身体が貫かれ
腹から尖った岩がはえているからだ。
そこから岩を伝って出血しているのが分かる。
再び白目をむいて
危うく気を失いそうになるが
なんとか持ち直した。
ここで再度意識を飛ばしたら
もう戻って来れなくなる可能性が高い!
途端に今度は末端の感覚が鈍く呼吸が苦しい。
身体が冷えてゆくのを感じだした。
意識を失くしてからかなりの時間
そのままだったらしい。
拍動している感覚はあるが
今にも止まりそうな力強さだ。
不思議とこんな目に遭っているが
ツバキには怨み、怒りが沸いてこない。
あまりにも出血多量で
血の気が失せているからではなく
椿をここまで追い込んだ
自分の鈍感さに
ゲンメツしている気持ちの方が大きい。
とんでもない有様の割には
不思議と感覚が鈍く
繰り返すがあくまで身体が
かろうじて拍動していることだけがある。
岩と身体、その周りを包む空気や霧
全てが景色と同化している気分だ。
あとはヤルしかないだけ。
自身の持てる魔術を駆使して
必ず生き延びてやる。
まずは止血だ。貫かれた岩を伝って
流れ出る血液を止めないことには!
そうだっ結晶化だ!
傷口を全て物質化させるんだ。
なんとか手を腹にあてがい
血液をクリスタルに結晶化させる!
そのあとはどうする?どうにかなるのか?
貫かれた身体は宙に浮いたままだぞ!
かなりの高さのはずだ。どうする?!
いいや、そんなことは知らん、焦るなっ
今は目の前にfullフォーカスだ!
ワンオペ?上等っ!間に合わせてやるさ。
前代未聞のセルフ手術が始まった。
生身の手の感覚では厳しくなってきた、そうだ霊体となって施術、それだとくまなく全方向から処置が可能だ。よかった龍脈の流れが遅いおかげで身体の劣化がかなりゆっくりに進んでいるぞ
しめた!



一晩中ナノマシーンの研究で
机の上に気絶してしまった傀儡先生。
生徒の万次郎からもらった生体兵器の
培養と自己増殖に夢中となって
眠ってしまっていた。
と言っても木の人形の彼が
眠っているかどうかは
はたから見分けがつかないが。

「いやはや
 100年以上前のことだぞ、
 ココロ震えたよ。
 久しくこの感覚を忘れてた。
 あんなに感情を揺さぶられるのは
 魔法の研究以外じゃ無いな。
 夢でもあんな鮮やかに
 胸が苦しくなるもんなんだな」

ナニをどうして
生きながらえたのかは定かではないが
今でもトマス・タイガーは
憂いでいた。
魔法界きっての大発明を成し遂げ
万人への魔力の安定供給を
世界規模で魔法界全土に広めた。
トマスの知りうる科学の力の集約
それでも補えない部分は
元々、魔力を集約させる特徴のある
クリスタルを用いて完成させたシステム。
実際魔法界全土の底上げとなったのは事実
が、それでも傀儡先生こと
桐島 トマス 虎太郎の
頭の片隅から拭いきれない
疑念があったからだ。

「私は魔法界を大きく発展させたのではなく
 魔術の本質を弱体化
 退化させたんじゃないか?」

岩盤を割り資源発掘のために
ダイナマイトが開発されたはずが
とんでもない武器開発発展に繋がったのと同じく
トマスの発明が魔法界を明るく照らしたのは
間違いないが、その結果
安易に魔法が使えるように便利になった反面
魔術の技術をおろそかに
魔族全体の能力低下を促進させたんじゃないか?
現代社会人出身である桐島 トマス 虎太郎
だからこそ思わせるのである。


システムからSystemへと
我々は当たり前のように暮らしている。
ナニから何まで
いちから携わることなく過ごす
商品を手にするだけの日々。
ある意味
サービスを受けているのも忘れて
ダレカさんがおあつらえ向けに
切り身の状態となった
工程を省いたモノに囲まれて暮らしている。
誰かさんがご丁寧に
味付けさえもしてくれる
要はダレカさんの解釈で充分なのだ。
概要としては
時間の短縮であったり
overサービスの日々に慣れると、そりゃ〜
生きた心地がしなくなるワケだ。
何も手を下さなくてもOK
味気なくもなるし、頭の中だけで完結
ナニもしなくなるだろう。
果たしてそれが便利なんだろうか?
実感や感覚が伴わないんだから
浮き草生命だったり
霞を食って生きている感覚だけが残るだろう。
忙しすぎる現代人が
使命のような生きがいに
強烈に憧れるのも頷ける。
何があるか分からないワクワク感
予期せぬ出会いの宝庫とは
とても言えない。
個性と偶然性とは一言にセンスとも言える。
予想外とはシステムからはみ出た
標準化と効率化からかけ離れたもの。
ヒトは余裕があってこそ面白がれるのである。
もしかすると皆んなの望む
悦びを提供したつもりの
トマス・タイガーの発明は
魔法界全体の弱体化を
促してしまったのではないだろうか?
彼はいつまでも憂いではいたが
それでも元凶となる研究は続けた。
たとえ後悔が待っていようとも
彼のできることはそれしかないのだから。

生命を脅かす危機的状況
彼の研究は皮肉にも
自身を実験対象として爆発的に進歩した。
これをきっかけにトマスは物質への
意思の乗り変えや肉体の物質化を
命賭けでそれまでの研究をぶち込んで
セルフ実験、体現にまでに、こぎつけた。
椿 ペンドラゴンに対しては
彼の気持ちに気づいてあげれなかったことを
悔いている反面
彼が決死の覚悟でトマス自身を殺害しようと
思わなければ不滅の肉体
「厳密には肉体の物質化」や
意識の転送の研究には辿り着くことは無かったと逆に感謝している。
要は、ただのヘンタイだ。

 「アイツ、今どうしてるんだろうか?」

あれから100年くらいしか経ってない。
カレの寿命なら半分にも達していないだろう
純血の魔族なら400歳はいけるだろうから
まだ生きているはずだ。

傀儡先生は、ふと我に返って
思考の速度を落とすと
急にカタカタと精巧に作られた
木製の薬指だけが震えだした。

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