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怪談と目論見。

「あれは、彼女と温泉旅行に行った時の話だ。」
小林隆道は、タバコをトントンと指で2回叩いた。灰が落ちる。
私はあまりタバコの香りが好きではない。そんな事は百も承知の上で、小林はタバコを吸っている。
「予め買ってきてあったお酒を部屋の冷蔵庫に入れて、冷やしていたんだ」
冗長に小林は話を続ける。私は怪談会を開こうと言った友人、鈴原望をチラリと見る。彼は、つまらなそうにしていた。
鈴原は、有名なライターが描いたノベルゲームに影響を受け仲間を集めた。まんまと、いや半ば強制的に参加させられたメンバーが此処に集まっている。
鈴原の目論見はハズレ、どの話を取っても面白い物は一つも無かった。3人目ともなれば、真面目に聞いているのも馬鹿らしくなる。
「お風呂から上がって、ご飯に行く前な、一応冷えてるか確認したんだ。」
そしたら、凍っていた。
小林は続ける。隣で三島清子が、「ほんとに彼女かな」と呟く。
三島がこちらを見るので、首を横に振った。
「違うと思う」私はそう返すと、三島がため息をつく。
彼の話なんてどうでも良かった。
ひいては、この会も。
静かで誰も存在しえない、正確には誰の気持ちもこの場には存在しない空間が流れていた。
私は、耐えかねて欠伸をする。
それを合図に、皆が一斉に動き出す。

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