「素晴らしき世界」
刑期を終えて13年ぶりに
娑婆に出てきた三上正夫。
母に捨てられた悲しさからか、
不良になって少年院のやっかいに。
出所してから任侠の世界に入り、
妻を庇って殺人の罪を犯した。
今度こそカタギになると誓うが、
まっとうな仕事にありつけない。
運転免許は無効になっていて、
再試験はまったく受からない。
自立したくてもできない前科持ち、
あがく三上を役所広司が演じる。
目つきがいつもの役所とはまったく違う、
ぎらりとぎょろつかせるヤクザの目、
ヤクザものの博多弁を上手く喋り、
気が短く喧嘩っ早いのもマジでやる。
普段は柔和な笑みも見せるが
ひとたび切れればおっかないヤクザ。
役になりきっている役所も凄いが、
西川美和監督のシビアな視線も凄い。
二人のいい映画にしようの情熱が
観ている者の胸をひしひしと熱くする。
タイトルは「素晴らしき世界」だが、
ようやく介護士の仕事が与えられた三上の
死んだ手にはコスモスが握られていた。
