「秋あがり」で秋を知る

妻は「つきい」のおっちゃんを
「熊五郎」と呼んでいる。
那須の名酒屋のおっちゃん、
日本酒のことは何でも知っている。
特に栃木の名酒は詳細に説明できる。

落語の八っつぁん、熊さんの
熊さんを彷彿させるからだろうが、
おっちゃんの本名は知らない。
先日友人に贈る日本酒を所望したら、
これはどうだいとだしてきたのが、

栃木県小山に酒蔵のある杉田酒造の
「雄東」純米無濾過原酒である。
米は栃木産五百万石、札には「秋あがり」。
樹木の上に満月の黒白のラベルもいい。
ぼくにも「1本お願いします」。

日本酒だもの、あては魚がいい。
中トロの刺身を買ってきた。
まずはお酒だけを味わう。
「おお、なんとすこやかな酒だろう」、
すっきりしながら呑み応えがある。

旨いぞ-、と叫びたいが、
グッと抑えて中トロをいただく。
思わず顔がにんまりと緩む。
「秋あがりか」と感慨に耽る。
そうなのだ、もう秋である。

庭の山法師の葉が色付き始めた。
仄かに赤く、こちらも秋あがり。
中トロのあとは秋刀魚がお待ち。
今夜はボクの男料理なので、
秋刀魚はフライパンで焼く。

塩焼きの秋刀魚に「雄東」が、
また抜群に合うんだなあ。
秋刀魚の味わいを邪魔せずに、
日本酒の旨味をしっかり主張。
さすが、熊五郎推薦の酒だ。
「秋あがり」で秋を知る夜。