はじめての相続税申告で、税理士という仕事の意味が変わった日
税理士になって、はじめて担当した相続税の申告。
いまでも忘れられない案件です。
税理士登録をしてまもなくのころ、
私は大手税理士法人に勤めていました。
当時の私は、相続税の申告をやってみたくて仕方がありませんでした。
試験では勉強してきたし、ずっと「やりたい」と手をあげていました。
「いよいよ実務だ」と、とても嬉しかったのです。
ところが、現実は甘くありません。
勉強と実務は全然違うものでした。
しかしこの相続案件をとおして、
私の中の「税理士」という仕事の意味が変わりました。
🌿私はこんな人🌿
本間会津子(ほんまあつこ)
・東京都練馬区のひとり税理士(2008年登録)
・会計事務所5回転職⇒2017年独立
・「仕事だけが人生じゃない、遊びも大切」がモットー
・個人事業主や小さな会社のサポート、相続税申告
・顧問契約なし1回きりの申告、相談も受けています。
■はじめての相続税申告は、50代のだんなさまが急にお亡くなりになった案件
その相続は、50代のだんなさまが急にお亡くなりになった案件でした。
初回面談では、奥さまもお子さまも、思ったより柔らかく普段と変わりなさそうな雰囲気でした。
しかし働き盛りのご主人を突然亡くし、
お子さまもまだ社会人になったばかり。
心の中の不安は、相当なものだったと思います。
相続税の打ち合わせでは、奥さまが涙を見せることは一度もありませんでした。
でも、後日あった税務調査で、調査官からご主人のことを聞かれたとき、
奥さまは涙ぐんでおられました。
その姿を見て、
「ああ、この方はずっと気丈にふるまってこられたのだな」
と、胸が詰まりました。
■勉強と実務は違う。上司とのやり取りが怖くてたまらなかった日々
はじめての相続案件で一緒に組んだ上司は、
「相続に強い」と定評のあるその大手税理士法人の中でも指折りのプロ。
「葬儀に参列しただけで、葬儀費用がわかる」
「歩幅で土地の測量ができる」
など、真偽の程はさておき、そんな噂があるくらいの熟練職人のような方でした。
ところで、相続税申告というのは、所得税の確定申告や会社の申告とはまったく違います。
■相続税申告の進め方はこんな感じ
資料集め(主にお客さま(相続人)が行い、1~2ヶ月かかる)
↓
集めた資料を元に、税理士が相続財産の評価(亡くなった時点で、その財産にいくらの価値があるか)を行い、財産目録をつくる
↓
遺言書がない場合は、財産目録を元に相続人の間で財産の分け方を決めてもらい、遺産分割協議書をつくる
↓
申告書を作成し、納税額を報告する
相続税の申告・納税は、亡くなった日から10ヶ月以内。
とはいえご依頼いただくのは四十九日を過ぎてからが多いので、
実際はもっと短い期間で上記の作業をしなければなりません。
勉強と実務はまったく違います。
想定しなかった作業が次々と出てきます。
例えば…
亡くなった人のありったけの通帳を見て、過去のお金の流れを確認する
土地は勉強のようなきれいな正方形はめったになく、評価が大変
財産の分け方によって相続税の金額は変わるため、奥さまが亡くなった時の相続税まで見越して税額シミュレーションをする など
上司はとても厳しい方です。
はじめてだからと、優しくイチから教えてくれることはありません。
土地の評価がわからず質問すれば、細かく突っ込まれます。
条文の解釈を問われてはアワアワする毎日。
突然「申告書、できた?」と聞かれることもありました。
怖くて、緊張して、残業も多くて、
当時はよく同僚や母親にグチっていました。
お客さまのお住いは遠いところでしたが、何度も足を運び、
分け方の説明、税金のシミュレーションを行いました。
でも、いま思えば、
あの上司から一から教わった経験は、私にとって大きな財産です。
いまの私の相続税申告スキルの8割は、このとき身につけたもの。
上司には大変感謝しております。
■お客さまからの「お願いしてよかった」という言葉に救われた
すべての手続きが終わり、
最後の打ち合わせを終えて帰るときの玄関先。
奥さまが、にこやかにこう言ってくださいました。
「最初は不安でしたけど、あなたたちにお願いしてよかったです。」
あの瞬間、
重たかった案件のすべてが、すっと報われた気がしました。
「ありがとうございました」と言われることは何度もあったけど、
この時の言葉は、今までのものとは重みが違いました。
はじめての相続税申告。
内容も重く、上司は怖く、残業も多く、わからないことだらけで、正直しんどかった。
それでも、「お客さまの役に立てた」「やってよかった」と心から思えた仕事でした。
このとき私は、
税理士という仕事は、
ただ数字をまとめる仕事ではなく、
お客さまの人生の一部に深く関わる仕事なのだと実感しました。
いまも相続税の仕事をするとき、
あの日の玄関先の言葉を、ふと思い出すことがあります。
🖋️🖋️🖋️
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
「フリーランスだけど数字が苦手…」という人は、下のリンクをクリックし、トップページからフォローしてください。
↑クリック!↑
これからも「税金・経理の話」を中心に、わかりやすくお伝えしていきます。
\\申告、スポット相談受付中//
「お仕事をお願いしたい」という方は、
下のホームページよりお申し込みください。
また「こんな税金・経理の記事を書いてほしい!」などのリクエストがあれば、下の問い合せページよりお知らせください。
