寒の時期に仕込む「味噌」の魅力とは? 発酵のプロが教える、美味しい味噌作りの秘訣
こんにちは、
今回は、日本の食文化に深く根ざした発酵食品「味噌」の中でも、特にこの時期に仕込む「寒仕込み味噌」についてご紹介します。
「寒の時期」とはいつ?
「寒の時期」とは、二十四節気の一つで、冬の最も寒い時期を指します。具体的には、小寒(1月5日頃)から節分(2月3日頃)までの約1ヶ月間です。一年で最も気温が低く、空気が澄み渡る季節ですね。
なぜ、この時期に味噌を仕込むと良いの?
昔から「味噌作りは寒の内に」と言われるのには、科学的にも理にかなった3つの理由があります。
雑菌の繁殖を抑える
味噌作りで最も気をつけたいのが、カビや腐敗菌などの雑菌です。気温が低い寒の時期は、空気中の雑菌が活動しにくいため、仕込み作業中の汚染リスクを最小限に抑えることができます。ゆっくりと熟成が進む
低温でじっくりと熟成させることで、味噌の旨味成分であるアミノ酸や香りの成分が時間をかけて生成されます。急激な発酵を避け、春から夏にかけて徐々に気温が上がるサイクルに乗せることで、深みのあるまろやかな味わいに仕上がります。カビの発生を抑制する
仕込んでから数ヶ月間、気温が低い状態が続くため、表面に発生しやすいカビの増殖を抑えることができます。初心者の方でも失敗しにくいのが、この時期ならではの大きなメリットです。
基本の味噌仕込みレシピ
それでは、実際に寒仕込み味噌を作ってみましょう。今回は、最もポピュラーな「米味噌」の作り方をご紹介します。
材料(出来上がり約4kg分)
大豆(乾燥): 1kg
米麹(生麹または乾燥麹): 1kg
天然塩: 450g(塩分濃度 約12.5%)
大豆の煮汁: 適量
仕込み容器: 5リットル程度のもの(プラスチック、陶器、木桶など)
消毒用アルコール: 適量(容器や手の消毒用)
作り方
大豆を水に浸す
大豆をよく洗い、たっぷりの水(大豆の3倍以上の量)に一晩(18時間以上が目安)浸します。大豆が水を吸って、楕円形からふっくらとした形になり、中心まで柔らかくなるまで待ちましょう。
【プロのコツ】 冬場は水が冷たいため、長めに浸すのがポイントです。
2.大豆を煮る
浸した水ごと火にかけ、アクを取りながら柔らかくなるまで煮ます。指先で軽くひねって、簡単に潰れるくらい(親指と小指で挟んで潰れる硬さ)が目安です。
圧力鍋の場合: 20〜30分程度
普通の鍋の場合: 3〜4時間程度
※煮汁は後で使うので、カップ1〜2杯分ほど取っておきましょう。
3.「塩切り麹」を作る
ボウルに米麹と塩を入れ、手でこするようにしてよく混ぜ合わせます。麹の塊をほぐし、塩が均一に混ざるようにします。
4. 大豆をつぶす
煮上がった大豆を熱いうちにつぶします。厚手のビニール袋に入れて足で踏むか、マッシャーやフードプロセッサーを使います。
【プロのコツ】 少し粒が残る程度にすると、手作りらしい食感が楽しめます。
5. 全てを混ぜ合わせる
つぶした大豆が人肌程度に冷めたら、塩切り麹を加えて混ぜ合わせます。熱すぎると麹菌が死滅してしまうので注意してください。
水分が足りずパサつく場合は、取っておいた煮汁を少しずつ加え、耳たぶくらいの硬さに調整します。
6.容器に詰める
空気を抜くために、味噌をテニスボール大に丸めた「味噌玉」を作ります。清潔な容器の底に、味噌玉を勢いよく投げ入れ、拳でギュッギュと押し付けて空気を抜いていきます。
【重要】 空気が入るとカビの原因になるため、隙間なく詰めるのが最大のポイントです。

7.表面を保護する
表面を平らにならしたら、カビ防止のために周囲に少量の塩(分量外)を振ります。表面にラップを密着させ、その上に味噌の重さの20〜30%程度の重石を乗せます。
熟成期間と食べごろ
直射日光の当たらない、温度変化の少ない涼しい場所で保管します。
食べごろ: 半年〜1年後。
経過の楽しみ: 春に発酵が始まり、夏を越すことで色が濃くなり、香りが一気に良くなります。半年経った頃に一度味見をして、好みの味になっていれば冷蔵庫へ移して発酵を止めます。
まとめ
寒の時期に仕込む味噌は、自然のサイクルに寄り添った、最も贅沢で失敗の少ない方法です。自分で仕込んだ味噌が、ゆっくりと時間をかけて「我が家の味」になっていく過程は、何物にも代えがたい喜びがあります。
