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globalist218
ハンコと微睡み
単身赴任先である札幌市内某所、『メゾン・ド・Oden〜蒟蒻マンション半平荘(仮名。鉄コン筋クリート造10階建て、築40年也。住人の肥えたオバハンが尻餅をついた衝撃で配管にヒビが入ったとやらで、現在、エントランスの天井より“絶賛漏水中”)』の一室。
午前0時00分。NHK AM『ラジオ深夜便』を子守唄代わりに眠りに就く。“ながら聴き”ならぬ“ながら寝”が、寝室でのルーティンだ。
午前6時30分。深夜から点けっぱなしのラジオから流れる『ラジオ体操』のピアノの音で、目が覚める。
体操はせず、もう一度布団へと潜り込む。あと10分……いや、5分でいいから横になりたい。
午前6時40分。まどろみの中で聞こえる淡々としたニュース原稿の声を、けたたましい目覚まし時計のベルが切り裂く。
重い腰を上げ、カーテンの隙間から外を覗く。この時期の札幌の朝は、すでに日が高く昇っている。
フローリングに足を下ろす覚悟を決めるまで、あと1分の時間が必要だった。
ふと眼下の公園に目をやると、小さな人影が集まっている。子どもたちがラジオ体操の「ハンコ」をもらっているのだ。
そうか、もう夏休みが始まっているのか……。
窓をガラリと開けると、本州のそれとは違う、湿り気のないカラリとした風が部屋を通り抜けた。
突き抜けるような青空の下、短い夏を惜しむように響くセミの声と、子どもたちの歓声……。
札幌の短い夏が、今年も本格的に幕を開けたようだ。
