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【せたな町】せたな町から「おいしい食卓を」

 北海道本土最西端に位置するせたな町の、日本海を見渡せる絶景のロケーションに店舗兼工房を構える「サッカムセタナイ」は、同町にUターン移住した夫の髙橋広大さん、妻の友里菜さんご夫妻が、食肉加工品と洋菓子を製造・販売するお店です。2024年4月にグランドオープンを迎え、ドライソーセージや生ハムなどの食肉加工(シャルキュトリー)を広大さんが、洋菓子(パティスリー)製造を友里菜さんが担当し、地域のこだわりの食材を使った商品を販売しています。(※ネット通販あり)
 オープン間もないものの、地元住民から愛され、当店を目当てに道外から訪れる方もいるほか、メディアにも取り上げられるなど、既に大変人気を博しています。


店舗兼工房の外観
別荘地の冷凍庫として活用がされないままほぞんさ保存されてきた建物を改築工事。
資金集めはクラウドファンディングを活用。

「サッカム」と現代食文化の融合北海道に新たな食文化を

 広大さんは、フランスの星付きレストランでの修行中、地域に根付いた生ハムやドライソーセージなどの食肉加工品に魅せられました。帰国後は、道内のフランス料理店に勤務したのち、京都で仲間とお店を立ち上げ、1年でミシュラン一つ星を獲得されるなど、実績を積み上げてきましたが、以前からの「北海道で食肉加工品を作りたい」という想いを叶えるため、Uターン移住しました。
 お店を始めるにあたっては、単なるヨーロッパのコピーで終わってしまうのではなく、店名にも由来するアイヌ食文化の「サッカム」(干し肉)を、これまで学んできた食肉加工の技術や知識で、現代の食文化や嗜好に合わせ、新たな「サッカム」として進化させ、「ワインやチーズのように北海道の新たな食文化として根付かせたい」と考えました。


人気の「白カビドライソーセージ」。
味はブラックペッパーやチョリソーなど、数種類ある。

「食のトータルコーディネート」と風土をいかした商品づくり

 「サッカムセタナイ」では、お肉とお菓子という珍しいセット商品が販売されています。これは、主食からデザートまでをトータルコーディネートし、「おいしい食卓」を届けたいというお二人の想いであり、お店の一番の強みだとお話しいただきました。
 また、地域のストーリーを大切にし、風土をいかした商品づくりに取り組んでいます。 
 食肉加工では、同町は国内で初めて洋上風力発電が設置されたほどの「風の町」ですが、熟成・乾燥の工程の際に、その海風を循環させることでミネラル感を出したり、北海道のチーズを混ぜ込んだものや地元農家で生産された落花生を入れたソーセージなど、この場所でしか作れないものを販売しています。
 妻の友里菜さんが担当する洋菓子についても、地域の特産品である「潮トマト」(※海洋深層水を使って栽培された糖度8%以上のトマト)を使用したものが人気であり、地元特産品の魅力発信にも一役買っているほか、閉店した同町のお菓子屋の商品を一部引き継ぎ、アレンジを加えて販売するなど、地域に根ざした取組をしており、地元住民からも愛されています。


地元の潮トマトを使用した「北の結晶ゼリー」。
ゼリーのようなグミのような甘くて濃いお菓子。
(フランスの伝統菓子パートドフリュイ)

商品発信を通じて地域に人を呼び込む

 お店のある同町太櫓地区は、昔は別荘地として開発が進められるなど、活気のある地域でしたが、現在は人口減少が進んでいます。髙橋ご夫妻は、海外など多様な場所で生活してきた経験から「ここの素晴らしい景色を知ってもらえたら、絶対に人は来てくれる」と考えており、「私たちの商品から地域を知ってもらい、人を呼び込むきっかけになれば」と地域への想いを語っていただきました。
 地元生産者などとの地域の輪を大切にし、商品づくりに励む、お二人の今後の活躍に益々注目です。



この記事は、「創る」第29号発行時点(令和7年3月時点)の内容です。