夜職保育士さんと僕⑤ 探して探して見つけたもの
この物語はたぶんフィクションです
ミキさんと僕もたぶん空想上の誰かです
でも、空想上でも良いから、2人のかけがえのない時間を残せたら良いなと思います
新宿駅でミキさんと別れて、僕は実家に帰った
ミキさんのあんな顔見たのは初めてで、正直言ってどうして良いかわからなかった
そして、今思い出しても震えるくらい怖かった
次の日、専門学校を休んで10時くらいにミキさんの家に帰った
お互い携帯電話を持ってはいたけど、連絡はできなかった
マンションに着いて部屋のドアを開ける
部屋がキレイだった
誰もいなかったかのように、流しに食器もでてないし、ベッドの布団も整っていた
一瞬頭を嫌な予感がよぎる
『ミキさんは家に帰らなかったんじゃないか』
凄く嫌な感じがして急いで部屋を飛び出した
向かった先はミキさんの昼の職場
でも、保育園って外から中の様子が全く見えない
あんまりウロウロしてると、完全に不審者になってしまう
ひょっとしたらあのまま新宿に残ったんじゃないかって考えだしたら、足は新宿に向かっていた
歌舞伎町から花園神社、好きだって言ってた新宿御苑まで探し回った
お店の場所は教えてもらってなかったから、新宿の駅の周りをグルグルと探したけど当然見つかるわけもなかった
夕方が近くなって、携帯のショートメールを確認しても返信はないまま
新宿は諦めて、一旦家に帰ることにした
家に帰って玄関で靴を脱ぐ
玄関ドアの内側に、コーギーのイラスト付箋が貼ってあるのに気づいた
『バカ
ごめん』
2行だけ、なんなら5文字だけ
でも、ここに来るって信じて書いてくれたんだと思ったら涙が出た
1回目玄関出る時は、急いでて気づかなかったんだと思う
ミキさんは夜職をしてる
僕じゃない男の人と楽しそうにお酒を飲んで、場合によってはそれ以上の関係を持つこともある
だけど、そうだったとしても、そんな事頭では分かってるけど
『僕はミキさんの事が好きなんだ』って
多分この時初めてしっかりと認識したんだと思う
夜6時半、ミキさんはいつも通り帰ってきた
僕の顔を見て少し不機嫌そうに
「おかえり」
って言った
僕も、いつもと同じ顔ができてた自信はないけど
「おかえり」
って言った
夕飯は台湾料理屋のテイクアウトだった
チャーシューの盛り合わせとレタスのオイスターソース炒め
ちゃんと2人分ある
「米無いじゃん、なんで炊いてないのよ」
ってミキさんは言ったけど、珍しくビール飲みながら2人で食べた
夕飯を食べながら僕はたくさん話した
今日の朝、マンションに来た事
保育園に行った事
新宿の歌舞伎町から御苑まで探して、駅の周りをグルグル周った事
普段は喋り役のミキさんが、今日はいっぱい聞いてくれた
でも、保育園に行った事とコーギーの付箋に気づかなかった事は突っ込まれた
「保育園の側で君が逮捕されても、絶対知らない人だって言うからね!」
「ってか、普通この付箋気付くでしょ!」
冗談っぽく言ってたけど
「あと、お店は絶対にダメ。君に見られたくない」
ここだけは真剣な顔だった
結局プレゼントはうやむやになって、お揃いの柄のパジャマを買った
ペアのパジャマ買おうとしたら、ミキさんのサイズがなくて、メンズのLとXLを買ったんだった
マルイの店員さんが機転をきかせてくれて…
ミキさんは色々とデカいことが分かった
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