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グローバル自動車安全評価に先制的に対応するヒョンデモーターグループ

グローバルな新車安全評価基準は日増しに高まっています。ヒョンデモーターグループは、安全な自動車に向けた粘り強い努力と徹底した検証を通じて、世界中で最高水準の安全性を証明しています。



自動車は人類の移動に革新をもたらすと同時に、安全という新たな課題を抱えて出発しました。これに対し、自動車メーカー各社は車体の剛性や制動性能を改善し、シートベルトや強化ガラスを導入するなど、車両の安全性を向上させるために絶えず努力を重ねてきました。

こうした過程で、自動車の安全性能を客観的に検証・比較できる基準が必要だという要求が自然に高まりました。こうした声に真っ先に耳を傾けたのが、「自動車の国」アメリカでした。1960年代のアメリカでは、交通事故により年間5万人以上が死亡し、消費者団体を中心に車両の安全性向上に関する議論が公論化されました。

米国NHTSAは1979年に新車アセスメントプログラムを導入した
写真:NHTSA、https://www.nhtsa.gov

1979年、米国運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration、以下 NHTSA)は、車両の安全性能を評価し、その結果を消費者に公開する「新車アセスメントプログラム(New Car Assessment Program、以下 NCAP)」を導入しました。これは自動車メーカーが自発的に車両の安全性能を向上させるよう促した事例であり、1993年には星5個満点制を導入し、車両の安全性を直感的に伝える今日の車両安全評価格付けの標準を提示しました。

米国IIHSでは、最高安全評価であるTSP+、TSPを付与し、最も安全な車を選定している
写真:IIHS、https://mediaroom.iihs.org

民間主導による新車安全性評価プログラムも、これに続いて登場しました。米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety、以下IIHS)は、米国の保険会社が支援する非営利団体であり、1990年代から実際の事故状況に近い衝突試験を本格的に実施し、車両の安全性能向上に向けた公益活動を展開してきました。

Euro NCAPは、欧州自動車市場において30年近くにわたり、
車両の安全性の重要性を広く啓発している
写真:Euro NCAP、https://news.euroncap.com

米国で始まった新車アセスメントプログラムは、その後世界中に広がっていきました。1993年のオーストラリア(ANCAP)を皮切りに、1995年の日本(JNCAP)、1996年の欧州(Euro NCAP)、1999年の韓国(KNCAP)など、各地で新車アセスメントプログラムが積極的に導入されました。

特にEuro NCAPは、欧州だけでなく世界中の人々に車両の安全性能の重要性を広く浸透させました。スウェーデン道路交通局、国際自動車連盟、消費者団体などを中心に、欧州連合加盟国の新車安全検証体系を統合・高度化するなど、欧州各国に共通した新車安全評価基準を提示してきたおかげであります。

グローバルサウス地域でも車両の安全性能に対する関心が高まり、
新車アセスメントプログラムが活発に実施されている
写真:ASEAN NCAP、https://aseancap.org

グローバルサウス(Global South)においても車両の安全性能に対する認識が向上したことに伴い、2006年の中国(C-NCAP)を皮切りに、2011年にはASEAN NCAP、2014年には中南米(LATIN NCAP)、2023年にはインド(BHARAT NCAP)など、各地で新車アセスメントプログラムが実施され、先進市場と同等のレベルの車両安全性能が奨励されています。

「受動的安全性」から「能動的安全性」への拡大

新車アセスメントプログラムの評価領域は、大きく二つに分かれます。一つは事故発生後、乗員をどれだけ保護できるかを意味する受動的安全性(Passive Safety)、もう一つは事故を予防する能動的安全性(Active Safety)です。新車アセスメントの導入当初は、事故発生後の乗員保護に重点が置かれていたが、現在では事故予防技術も評価要素となっています。

車両衝突試験では、乗員の安全性を多角的に検証する
写真:ANCAP、https://www.ancap.com.au

受動的安全性には、車両前面全体が固定壁面に衝突する正面衝突試験、車両前面の一部のみが衝突する偏側正面衝突試験、他車との衝突を想定した側面衝突試験、剛性の高いポールへの側面衝突試験などが挙げられます。この過程で、車体が衝突エネルギーをどのように吸収・分散するか、シートベルトやエアバッグが本来の役割を果たしているかなどを統合的に検証します。

衝突被害低減ブレーキやヘッドランプの性能など、
事故予防の可能性に焦点を当てた評価項目へと拡大している
写真:IIHS、https://mediaroom.iihs.org

能動的安全性については、先進運転支援システム(ADAS)やヘッドランプの性能など、事故の予防に役立つ要素を重点的に評価されます。2000年、NHTSAは米国でSUVの横転事故が多発していることに着目し、世界初の能動的安全性評価と言える「ロールオーバー防止性能評価」を導入しました。

2009年、Euro NCAPは横滑り防止装置(ESC)搭載車両に追加点数を付与することで技術の普及を促進し、2014年からは前方衝突の危険を検知した際に自動的にブレーキを作動させる衝突被害低減ブレーキ(AEB)の評価試験を導入するなど、車両の能動的安全性を本格的に取り上げています。

一方、新車アセスメントプログラムがどのような衝突試験方法を採用するか、どの程度の厳しさの試験条件を設定するか、どの項目を優先的に評価するかは、各地域の道路環境や事故形態、車両構成、政策目標などを踏まえて決定されます。その結果、地域環境に最適化された新車アセスメントプログラムが運営されています。

米国のNHTSAとIIHS、世界有数の過酷さで知られる衝突試験を開発

米国のNHTSAとIIHSによる新車アセスメントプログラムは、世界で最も過酷な衝突試験の一つとして知られています。米国の走行環境は、大型SUVやピックアップトラックの割合が高く、高速道路での走行比率も高いため、走行速度も比較的高い傾向にあります。こうした点を反映し、NHTSAとIIHSは衝突速度の引き上げ、衝突障害物の質量増加、衝突面積の縮小などを通じて、車両の構造安全性を厳しく検証しています。

NHTSAは、固定壁面に時速56kmで衝突させ、乗員の安全性を確認する
正面衝突試験を実施している
写真:NHTSA、https://www.nhtsa.gov

世界の新車アセスメントプログラムをリードしてきたNHTSAは、車両のフロント部を固定壁面に時速56kmで衝突させる正面衝突試験の標準を提示し、数十年にわたりシートベルト、エアバッグ、車体設計技術などの発展を促進してきました。交差点で頻繫に発生する直角衝突事故を模した側面衝突試験は、1,368kgの*MDB(Mobile Deformable Barrier)を時速62kmで試験車両の側面中央に衝突させる条件で行われます。またNHTSAは、米国内で発生する交通事故データを分析し、人的被害の最小化につながる車両安全基準の策定を進めています。

*MDB:移動式変形バリヤ 

IIHSは、より高い速度とより障害物による衝突試験基準を採用しています。IIHSの部分正面衝突試験は2種類あり、固定バリヤに時速64kmで正面の40%が衝突するモデレートオーバーラップ(Moderate overlap front)と、同じく時速64kmで前面の25%という狭い範囲で衝突するスモールオーバーラップ(Small overlap front)で構成されています。さらに側面衝突試験では、1,900kgのMDBを時速60kmで衝突させるなど、より厳しい条件が設定されています。

IIHSは、様々なシナリオの衝突試験を開発し、評価条件も継続的に更新している
写真:IIHS、https://www.nhtsa.gov

Euro NCAP、歩行者の安全と事故予防技術まで評価

Euro NCAPでは、事故予防の観点から車両の安全性を多角的に検証している
写真:Euro NCAP、https://news.euroncap.com

Euro NCAPは、乗員保護に重点を置いていた従来の評価から一歩進み、事故そのもとを減らし、歩行者や自転車など道路利用者全体を保護する方向へと進化しました。これを反映したEuro NCAPの評価項目は、成人乗員保護、子ども乗員保護、歩行者保護、安全支援の四つの領域で構成されています。

このうち歩行者保護評価は、2005年にEuro NCAPが先行して導入したもので、自動車の安全概念を従来の「乗員中心」から「道路利用者中心」へと拡張する転換点となりました。歩行者が車両フロント部に衝突する状況を想定し、頭部・骨盤・脚部などの傷害リスクを検証することで、都市部における歩行者事故の被害低減を目的としています。安全支援評価では、先進運転支援システムの性能を本格的に検証し、その重要性を欧州の消費者に広く認識させています。

Euro NCAPの衝突試験は、相互の被害を最小限に抑えることを重視して評価条件を設定してきた
写真:Euro NCAP、https://news.euroncap.com

Euro NCAPの衝突試験は、車両同士の衝突において一方のみが過度に損傷することを防ぎ、相互の被害を最小化する点に重点を置いています。これは、小型車の比率が高く、道路幅が狭く、平均走行速度が比較的低い欧州の交通環境を踏まえたものです。正面衝突試験では、車両前面を固定バリヤに時速50kmで衝突させ、部分正面衝突試験では車両前面の50%を1,400kgのMPDB(Mobile Progressive Deformable Barrier)に時速50kmで衝突させる条件が採用されています。側面衝突試験では、1,400kgのAE-MDB(Advanced European Mobile Deformable Barrier)と時速60kmで衝突させ、乗員保護性能を確認します。

*MPDB:移動式進化型変形バリヤ
*AE-MDB:高性能欧州仕様移動式変形バリヤ

ヒョンデモーターグループは、側面衝突事故において乗員同士が衝突して発生する二次的な傷害被害を低減するセンターサイドエアバッグを開発し、複数の車種に搭載している

また、2020年には、側面衝突時に運転者と同乗者が互いに衝突して生じる二次的な傷害を評価する「ファーサイド(Far-side)」評価を導入しました。これにより、センターサイドエアバッグといった新たな安全技術の開発・普及を促す環境が整備されています。

韓国 KNCAP、韓国の道路環境に最適化した評価基準を策定

Kia EV5は「ペダル踏み間違い急発進等抑制装置(PMSA)」を採用した

1999年に韓国で発足したKNCAPは、国土交通部傘下の韓国交通安全公団が運営する新車アセスメントプログラムです。米国のNHTSAやIIHS、Euro NCAPなどのグローバル基準を踏まえつつ、韓国の道路環境に適した衝突安全評価体系を構築してきました。

KNCAPは、韓国における電気自動車の普及拡大にあわせて、電気自動車のBMS(Battery Management System)によるバッテリー保護機能の検証も行っています。これはバッテリーの火災安全性に焦点を当てたもので、異常を早期に検知し対応できる車両安全性能の向上を促しています。また昨年には、事故予防評価にペダル踏み間違い防止支援の項目を新設しました。国内でペダル誤操作による事故が継続的に発生している状況を踏まえた対応といえます。

韓国のKNCAPは、グローバル基準と韓国の走行環境に最適化された
新車アセスメントプログラムを実施している
写真:KNCAP、https://www.latinncap.com

KNCAPの正面衝突試験はNHTSA(56km/h、固定バリヤ)、側面衝突試験はEuro NCAP(60km/h、AE-MDB 1,400kg)と類似した条件で実施されています。2020年以前は側面衝突試験の基準(55km/h、AE-MDB 1,300kg)が相対的に低い水準でしたが、大型車の比較が高まった韓国の走行環境を考慮し、現在の基準へと引き上げられました。

中国 C-NCAP、電気自動車に特化した安全性能評価を開発

中国は電気自動車およびプラグインハイブリッドカーの普及率が世界的に見ても高い水準にあります。こうした背景から、中国のC-NCAPは電気自動車の高電圧バッテリーの安全性を検証する試験を先行的に導入するなど、中国の使用環境に適した独自の評価基準を構築しています。具体的には、電気自動車が時速30kmで高さ150mmの半球状固定障害物を通過する状況を想定し、車体下部に搭載された高電圧バッテリーの損傷有無や浸水時の安全性までを他覚的評価しています。

中国のC-NCAPでも、多様な衝突試験と評価項目を通じて
車両の安全性を検証している
写真:C-NCAP、https://www.c-ncap.org.cn

C-NCAPは、固定バリヤに車両フロント部を時速56kmで衝突させる正面衝突試験に加え、Euro NCAPと同一条件の部分正面衝突試験(時速50km、MPDB 1,400kg、正面50%)も実施しています。さらに側面衝突試験では、Euro NCAP(時速60km、AE-MDB 1,400kg)よりも厳しい条件となる時速60km、*SC-MDB 1,700kgを適用しています。

*Suitable for China Moving Deformable Barrier:中国仕様移動式変形バリヤ

グローバルサウス、先進国レベルの車両安全性を確保

Latin NCAPは、先進市場の基準を積極的に参考にし、新車アセスメントプログラムを構築している
写真:Latin NCAP、https://www.latinncap.com

グローバルサウスにおいても車両安全性能への意識が高まる中、新車アセスメントプログラムが活発に行われています。中南米のLatin NCAPは、先進市場に近い水準で車両安全性を検証している点が特徴です。

Latin NCAPの評価領域は、Euro NCAPと同様に成人乗員保護、子ども乗員保護、歩行者保護、安全支援の四つに分類されます。衝突試験では、部分正面衝突試験(64km/h、正面40%、固定障害物)および側面衝突試験(60km/h、AE-MDB 1,400kg)が実施されています。

ヒョンデモーターグループの主要車種は、幅広い安全装備を搭載することで、
インド市場における安全基準を引き上げている
写真:Bharat NCAP、https://www.bncap.in

2023年に発足したインドのBharat NCAPは、安全技術の普及が遅れているインド市場の改善を目的として導入されました。部分正面衝突試験と側面衝突試験において試験シナリオを拡張し、成人および児童の乗員保護をより厳格に評価しています。また、衝突試験の種類を5つに拡大し、評価基準の強化を検討されています。

このように、新車アセスメントプログラムは運転支援技術の進展や電気自動車の普及拡大といった環境変化に対応し、事故予防性能やバッテリー安全性まで含む包括的な安全評価へと進化しています。各地域の評価プログラムが公表している最新ロードマップからも、こうした方向性が明確に読み取れます。

米国NHTSAは、実際の事故データに基づき事故予防を重視した評価強化を進めています。2027年の評価項目には車線維持支援や後側方衝突防止支援を追加し、さらにEuro NCAPの基準を参考に歩行者保護評価の新設を予定しています。IIHSも2027年以降、最高安全等級である「Top Safety Pick Plus(TSP+)」の要件にインテリジェント・スピード・アシスト(ISLA)を含める方針です。

Euro NCAPは今年、評価体系を新たに再編する
写真:Euro NCAP、https://news.euroncap.com

今年、Euro NCAPは評価体系を新たに再編します。従来の四つの評価領域(成人乗員保護、子ども乗員保護、歩行者保護、安全支援)を、実際の事故の進行プロセスに沿って「走行安全―事故予防―衝突安全―事故後安全」の段階別に再構成することが柱です。事故発生前から事故後の救助段階までを含めた包括的な安全性能評価を目指しています。

KNCAPでは今年から、電気自動車が普及した韓国の走行環境に合わせて、
電気自動車の下部衝突試験規定を新設する

韓国のKNCAPは今年から電気自動車の下部衝突試験を新たに導入します。高さ250mmの固定障害物に時速30~40kmで衝突した際の高電圧バッテリーの安全性を検証する内容です。

中国のC-NCAPは2027年までに、中国仕様のSC-MDB標準モデルを新たに開発し、衝突試験へ適用する計画です。さらに衝突被害低減ブレーキの評価シナリオを子ども歩行者や二輪車、三輪車へと拡張し、多重衝突防止自動制動やペダル踏み間違い防止支援など、評価項目の多様化を進める予定です。このほかLatin NCAPでもドライバーモニタリングを評価項目に加える予定であり、グローバルスタンダードへの接近を図る動きが見られます。

世界最高水準の安全性能を追求するヒョンデモーターグループの執念

このように新車アセスメントプログラムが事故予防や電気自動車の安全検証まで包括的に進化する中で、ヒョンデモーターグループは消費者に最も安全な車両を提供するため、たゆまぬ努力を続けています。地域ごとに異なる新車安全評価を精緻に把握し、それに対応する多様な研究インフラやシミュレーション試験、実車評価を組み合わせた体系的な開発プロセスを構築してきました。

パワートレインの種類やタイヤ仕様など、1車種に存在するあらゆる条件を考慮し、衝突部位ごとの多様なケースを反映した試験を実施しています。1車種の開発にあたっては、約4,000時間に及ぶ評価・試験、実事故を再現した100回以上の実車衝突試験、スーパーコンピューターを活用した3,000回以上の衝突シミュレーションを行い、安全性能の徹底した確保に取り組んでいます。さらに、使用される人体ダミーは27種類・170セットに及び、自動車業界でも最大規模の水準となっています。

ヒョンデモーターグループは、世界各国の主要な新車アセスメントプログラムに対応し、
顧客からより信頼される安全性を提供するため、南陽(ナムヤン)研究所で様々な試験を行っている

自社での衝突試験は、外部評価機関の基準を満たすレベルにいとどまりません。様々な速度や衝突方向を設定することで、多角的に安全性能を検証しています。車対車衝突や車対構造物衝突に加え、傾斜路での衝突、歩行者との衝突、斜め方向からの衝突など、多様な事故状況を想定した試験を実施しています。実際の交通事故では、条件が定められた衝突試験とは異なり、より多くの変数が作用するためだ。

電気自動車もまた、内燃機関車と同等の衝突安全性能が確保されています。同時に、電気自動車の設計特性を踏まえ、高電圧バッテリーを中心とした独自の評価プロセスを実施しています。これにより、電流・電圧・抵抗といった主要指標を統合的に点検し、バッテリーの安全性を検証しています。

さらに、衝突時にバッテリーの損傷を防ぐための搭載構造の強化や、セル発火時の熱拡散を抑制する設計の研究と適用を進めています。バッテリーの衝撃・圧縮・火炎試験も検証プロセスに含め、多様な事故環境に対応できる安全技術の高度化を継続しています。

ヒョンデモーターグループの研究者たちが、衝突直後に破損した車両の状態を確認している

衝突試験直後には、車両速度や衝突部位を中心に、安全性能の要件を満たしているかを詳細に確認します。車体の変形状況や車内の異常、漏液や火災の有無、エアバッグやシートベルトなど拘束装置の展開状況、ドアの開閉可否、ダミーのエアバッグ接触位置などを精緻に分析し、試験結果を評価します。

南陽研究所の安全試験棟は4万㎡の規模で、世界最高水準の衝突安全性能インフラを備え、
年間約650回の衝突テストを実施している

ヒョンデモーターグループはあらゆる状況下で乗員を守るという安全理念を実現するため、NHTSAやドイツの実事故調査システムGIDAS(German In Depth Accident Study)などが公開する実事故データに加え、社内のアフターサービス網や品質部門から得られる情報も研究に活用しています。これにより複雑な事故形態を把握し、より実態に即した安全性能の実現を目指しています。

こうした取り組みによって、正面衝突時に衝突エネルギーを効果的に分散する前方多重骨格構造や、側面衝突時に前席乗員同士の頭部接触による傷害リスクを低減するセンターサイドエアバッグなど、高度な安全技術の確立につなげています。

フロントマルチスケルトン構造(Front Multi-skeletal structure)は、
前方衝突エネルギーを多様な経路を通じて車体全体に広く分散させる

フロントマルチスケルトン構造(Front Multi-skeletal structure)は、フロント構造部材を追加しつつフロントサイドメンバーの構成を見直すことで、正面衝突時に発生する衝突エネルギーを車体全体へ広く分散させる技術です。センターサイドエアバッグは、乗員の頭部を効果的に包み込むよう設計された専用テザー(Tether)構造を採用し、頭部に加わる衝突エネルギーを効率的に吸収する点が特徴です。

前方衝突防止アシスト(左)は、
車両、歩行者、自転車乗員などを認識して衝突事故の予防に役立ち、
リヤクロストラフィックコリジョンアボイダンスアシスト(右)は、
後退時に後方左右から接近する車両を警告し、制動を補助する

このほかにも、前方衝突防止アシスト、車線維持支援(レーンキーピングアシスト)、インテリジェント・スピード・アシストなど、多様な運転支援技術を複数車種に幅広く展開することで、事故予防を中心とした車両安全性能の向上を進めています。こうした取り組みにより、ヒョンデモーターグループの主要モデルは、米国、欧州、韓国、中南米、インドといった各地域の新車アセスメントプログラムで相次いで最高評価を獲得しています。

ヒョンデ自動車のIONIQ 9は、昨年、米国IIHSのTSP+、Euro NCAPの5つ星、韓国KNCAPの1等級を獲得し、グローバル各地域で最高安全評価を達成しました。これは、ヒョンデモーターグループの安全技術が世界最高水準に到達していることを示すものです。中でも特に注目されたのが、IIHSのTSP+獲得でした。

昨年、ヒョンデ自動車のIONIQ 9は、米国IIHS、Euro NCAP、韓国KNCAPなど、
世界中で最高の安全性を実証した
写真:IIHS、https://mediaroom.iihs.org

TSP+は最高水準の安全性を示す評価であり、全ての衝突試験で「Good(優)」評価を獲得し、ヘッドランプおよび昼夜の前方衝突防止システムでも「Acceptable(良)」以上の成績が求められます。その中でIONIQ 9は、前席・後席のダミーにおける頭部、頸部、胸部、脚部の保護性能で高評価を獲得し、正面衝突試験において優秀な結果を示しました。これは、IIHSが後席ダミーに12歳児または小柄な成人女性を想定した新基準を導入した初年度に達成されたものであり、その完成度の高さが際立ちます。

IONIQ 9は、シートベルト・プリテンショナーを3列目まで全席に適用することで、
乗員保護の範囲を拡大した

IONIQ 9の優れた安全性能は、ヒョンデモーターグループの高度な車体技術に支えられています。フロントマルチスケルトン構造や側面剛性を高めるサイドシル用アルミ押出材など、先進的な車体技術を全方位的に適用することで、堅固な車体を実現しました。さらに、側面衝突時に前席乗員同士の二次損害リスクを低減するセンターサイドエアバッグや、衝突時の身体の動きを抑制するシートベルト・プリテンショナーを2列目はもちろん3列目まで拡張することで、全座席にわたる包括的な乗員保護性能を確保しています。

NEXOは、構造安全性はもとより、水素電気自動車に特化した安全技術まで幅広く搭載し、
水素電気自動車に対する信頼を高めた

水素電気自動車NEXO(ネッソ)も、世界トップクラスの安全性能により水素電気自動車への信頼向上に貢献しています。昨年、NEXOはEuro NCAPにおいて、成人乗員保護 36.3点(満点40点)、子ども乗員保護 42.0点(満点49点)、歩行者保護 48.0点(満点63点)、安全支援システム 14.4点(満点18点)を記録し、最高評価となる5つ星を獲得しました。

評価機関は、NEXOが正面・側面衝突時にキャビンの構造を安定的に維持し、乗員の主要部位を適切に保護するとともに、乗員同士の衝突による傷害リスク低減策を備えている点を高く評価しました。また、衝突被害低減ブレーキ(AEB)の歩行者対応性能において優れた結果を示し、自動車や二輪車、他車両に対する応答性能についても高い評価を得ています。

写真:Euro NCAP、https://www.euroncap.com

NEXOの車体には、フロントマルチスケルトン構造、側面Bピラー構造の強化、後方水素タンク保護設計など、全方位的な安全技術を適用されています。これにより衝突時に乗員の負傷を抑えるだけでなく、水素タンクの損傷も効果的に防止します。こうして、水素の貯蔵から発電に至る全過程において高い信頼性と安全性を確保すると同時に、過酷な環境下でも優れた耐久性能を実現しています。

さらにEuro NCAPは、エアバッグ展開時に乗員数や衝突方向などの情報を緊急救助センターへ自動通知する機能や、衝突後の二次事故を防止する多重衝突防止自動制御システムの採用についても高く評価しました。

南米やインドなどグローバルサウス市場においても、ヒョンデモーターグループの重要モデルが高い安全性能を示しています。昨年、Kia EV4はLatin NCAPで最高評価となる5つ星を獲得しました。特に安全支援分野では43点満点中42.25点を記録し、先進運転支援システムの性能が世界最高水準であることを証明しました。

Kia EV4は、昨年Latin NCAPで証明された優れた安全性能により、
中南米市場でその名を知らしめた
写真:Latin NCAP、https://www.latinncap.com

EV4は、多様な条件下で乗員を安全に保護できる高剛性の車体構造を実現しています。高張力鋼の使用比率を同クラスで最高水準に引き上げるとともに、AピラーやBピラー、サイドシル、シートクロスメンバーなどキャビン周辺にホットスタンピング鋼を積極的に採用し、衝突時の室内空間の変形を最小限に抑えています。これらの技術により、EV4はLatin NCAPだけでなく、韓国KNCAPでも最高評価である「1等級」を獲得し、安全性能の高さを証明しました。

インド市場向けの小型SUVであるKia Syrosが、昨年Bharat NCAPで最高安全等級を獲得した

また、Kiaのインド戦略型コンパクトSUVであるSyrosは、昨年Bharat NCAPにおいて最高評価の5つ星を獲得しました。成人乗員保護30.21点(満点32点)、子ども乗員保護44.42点(満点49点)など、すべての評価領域で高いスコアを記録しています。Syrosは6つのエアバッグを標準装備し、前方衝突防止アシスト、車線維持支援、ハイビームアシスト、後方駐車衝突防止アシストなど計16種類の先進運転支援システムを搭載することで、安全装備の普及が進んでいないインド市場において変化を促しています。

これに対し、「Autocar India」をはじめとする現地主要メディアも、Syrosの充実した標準安全装備とBharat NCAPで証明された高い安全性能を肯定的に評価しています。

ヒョンデモーターグループは、世界中の顧客が安心して乗車できるよう、
全方位的に安全性能を開発している

これまで見てきたように、自動車の安全性能は顧客からの信頼と技術競争力を左右する中核的要素となっています。ヒョンデモーターグループは、新車アセスメントプログラムで高得点を取得するだけにとどまらず、妥協のない安全哲学のもとで世界最高水準の安全技術を構築してきました。今後もヒョンデモーターグループは、誰もが安心して移動の自由を享受できるよう、高度な先進安全技術の開発に継続して取り組んでいきます。


本記事は、ヒョンデモーターグループのホームページの「ジャーナル」に掲載された記事の日本語訳です。