ふたりで秘湯|#せりふ三題噺
八木ちゃんから手紙が来た。
「商店街の福引で特賞が当たった。いっしょに温泉、行こ!」
最近、ハードワークでくたくたに疲れていたので、願ってもないお誘いだ。ナイス、八木ちゃん。
さささっと旅の用意をして、当日、待合せ場所にて落ち合う。
「さあ、山奥に出発!」
いつにも増して、八木ちゃんはハイテンション。
ものすごく豪華なホテルと聞いて、二人ともワクワクが止まらない。バスはどんどん山奥へ。どんどんどんどん山奥へ。バスが通れないほど道が狭くなったところで旅館に着いた。ホテルではなく旅館だった。
「まるで秘境じゃないか。だましたな。卑怯だぞ!(笑)」
どこでもよかった。秘境でもジャングルでも、とにかく、あたしは温泉に浸かれればどこでもよかった。
部屋に荷物を置いて、さっそく、露天風呂に向かった。
浴衣に着替えて30分歩く。露天風呂はまだか。とにかく温泉に入るのだ。早く入るのだ。
「あった!」
前を歩いていた八木ちゃんが天然の露天風呂を見つけた。先客がたくさんいた。カピバラさんがいっぱい。このあたりに生息しているようだ。
「走ると危ないよ」
あたしの注意も聞かずに走り出した八木ちゃんが、つるんとすべって温泉にダイブした。
八木ちゃんはカピバラのクッションで無傷だったが、玉突き事故のように岩にぶつかった一人のカピバラが頬骨を強打して痛そうだった。
「ごめん」
舞い上がってる八木ちゃんに代わってカピバラに謝る。なでなでしてあげたら赦してくれた。あとで病院に行って診てもらうよう勧め、治療費は八木ちゃんに回すように連絡先を伝えた。
「やっぱりカピバラの湯は最高だね」
八木ちゃんは温泉に適当な名前をつけてくつろいでいる。
「疲れたときにはカピバラの湯。これしか勝たんのよ」
あたしもそれに乗っかる。
帰りはカピバラに近道を教えてもらって5分で旅館に着く。
露天風呂のあとは宴会だ。今夜はパジャマ姿のカピバラたちと大いに飲むぞ。
(了)
いいなあ。私もカピバラの湯に浸かりたい~。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
はらとけいさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#せりふ三題噺 #これしか勝たんのよ #温泉パジャマ頬骨
八木ちゃんが出てくる話はこちら。有料なのでもしよければ購入してね。
こちらは無料。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!