夜とことわざ
「『夜に釣りをすると親の死に目に会えない』と言うだろ?」
突然、何を言い出すんだ、こいつは。たしかに危篤の連絡が入っても、夜釣りの途中じゃ急いで帰って来れないよな。
だが、本当はこうだ。間違いを訂正するのが同僚としての務めだ。
「それは違うぞ。『夜に爪を切ると深爪になる』が正しい」
爪を切るなら明るいうちに切れということだ。暗くなってから切ると、良く見えずに切りすぎて痛かったことがある。な、経験に裏打ちされているだろ?
「そうか。俺はまた『夜に月を見ると思ったほどまぶしくない』が一般的かと思った」
反論してきやがった。たしかに昼に太陽を見るのと比べるとまぶしくない。
だが、ちょっと違うぜ。
「それを言うなら『夜に罪を犯すと朝まで赦されない』だぞ」
夜にいたずらをして朝まで押し入れに閉じ込められた俺が言うんだから間違いない。先日も入れられた。おふくろは俺が大人になっても容赦しない。
こうした議論が延々と続いた。最終的に奴がいい感じの案を出してきた。
「じゃあ、間を取って『夜に爪を切ると親の死に目に会えない』というのはどうだ」
頭を使いすぎて疲れてきた。なんか、どうでもよくなってきた。よくわからんが、これで行くか。
こうして、ことわざ辞典は作られていった。


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ああ、ずいぶん釣りに行っていません。これでも私、釣り師なんですけど……。

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では、今日はこのへんで。
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