手みやげは冬らしく|#せりふ三題噺
( #ショートショート 本文:828字)
ピンポーン! チャイムが鳴った。玄関に出ると、配送員が立っている。あれ? 通販は置き配で指定したはずだが……。
「先輩、ご無沙汰してます」
「なんだ山田か。久しぶりだな。配送のバイトをしてるのか」
「はい、そうです」
相変わらずだ。
「そこのコンビニからお届け物です」
「何も頼んでないぞ」
「僕からの手みやげです」
「気を遣わせてすまんな。まあ、あがれ」
山田はリビングのソファに座る。
「ところで、気になってるんだが、その犬は?」
山田の足元で荒い息を吐きながら、短い尻尾を激しく振っている。
「近所の犬を預かってるんです。配送しながら散歩させてました」
「大丈夫なのか、そんなことして」
「ちゃんと足の裏を拭いたので、家の中でも大丈夫です」
そういう意味じゃないが……かわいいから、どうでもいいか。
「冬なので冷たい手みやげです。どうぞ」
山田は唐突にふところから、手みやげを出した。
「雪うさぎです。大切にあたためておきました」
そのせいでほとんど溶けてるぞ。
「もひとつあります」
続けて、にょろっとしたものを出した。
「雪ウナギです。土曜日に牛といっしょに食べてください」
それ、冷凍ウナギだろ。土用の丑の日に食べるんだよな。
「こっちは雪うわぎです。寒いときに着てください」
冷たい上着を着るとよけいに寒くなる気がする。
「暑くなったら、こちらに着替えてください。雪うすぎ」
薄着になったらもっと寒いじゃないか。
ツッコミに疲れてきたので、まだまだいろいろ出そうとする山田を押しとどめた。
「いろいろありがとな。今日はここまでにしよう。それで、何か用事があったんじゃないのか」
「そうです、そうです。手みやげに熱中して、危うく忘れるところでした。今度、うちに遊びに来てください」
それから俺は、山田の新婚生活についてあれこれ聞いて、連れてきたフレンチブルドッグをなでくりまわして、楽しい午後を過ごした。
あれ? 山田、バイト中だったんじゃ? ま、いっか。わんこ、かわいかったし。
(了)
結婚しても、やっぱり山田くんは山田くんですね。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
はらとけいさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
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では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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