華のないふたり|#アマノ文筆クラブ
フラワーショップの前に停まった派手なクルマから地味な男が降りてきた。それを見て、近くに駐車した軽バンの中の二人に緊張が走った。
「ターゲットが来たぞ。カメラを構えろ!」探偵が相棒に声をかける。
「了解!」相棒が食いかけのあんパンをすべて口に押し込み、牛乳で一気に流しこむ。張り込みと言えばあんパンに牛乳だろう的な発想が古臭い。
探偵「おい、大丈夫か」
相棒「ふごっ(大丈夫です、ちゃんとシャッターチャンスを狙ってます)」
男が店員の女性に何かを尋ねている。店員は笑って対応している。二人が不倫しているという証拠写真を撮影するのが、女性の夫からの依頼だ。
相棒「俺、あの店員みたいな女性、好みなんです」
探偵「地味な女性が好みなんだな。……というか、女性だったら誰でも目がないんだろ?」
相棒「あの……あるかないかくらいの目の大きさがいいんです」
探偵「おまえ、口悪いな」
相棒「どうせ頭も悪いですよ」
探偵「そんなことはまだ言ってないぞ。とにかく二人から目を離すな」
相棒「目は離れている方が好きなんです」
探偵「男が女に札束を渡したぞ」
相棒「何の花を買ったんでしょうね。菊かな」
探偵「俺に聞くな」
相棒「俺、知ってます。バラでしょ」
探偵「バラすな」
張り込みしている二人が会話を楽しんでいる間に、男は女から店の花をすべて買い、派手なクルマにすべて押し込んだ。
まったく花がなくなった殺風景な店で二人は見つめ合っている。二人の距離がだんだん近づいていく。
「カシャカシャカシャ……」
相棒のカメラが連写モードで二人を撮影する。
探偵「うまく撮れたか?」
相棒「撮れましたが、構図が地味ですね。バックに花があった方がいいんですけど……」
探偵「地味な二人には華がないのがお似合いだ」
(了)
探偵に調査を依頼した夫もやはり地味なんでしょうか。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
甘野充さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#アマノ文筆クラブ #華のないふたり
メンバーシップやってます。
いっしょに楽しく続けましょ。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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