すっとこどっこい!|#せりふ三題噺
突然、タイムスリップした。
僕を呼ぶ女性の声がして振り向いたら、高校の校舎の屋上だった。さっきまで会社で仕事をしていた。デスクでパソコンに向かって資料を作成していた。なのに、いつの間にか僕は屋上に立っていた。
「おじさんなのね」
彼女は僕を見てそう言った。セーラー服姿でローファーを履いた、ポニーテールの可愛い女子高生。声をかけられたことはうれしかったが、おじさんと呼ばれたことにショックを受けた。
「僕は君と親戚ではないので、おじさんではない」
そう答えた。
彼女は僕の妻に似ていた。僕と付き合い始めたころ――高校三年生の妻にそっくりだった。
そのとき、彼女が盛大にくしゃみをした。
「ぶえっくしょい! すっとこどっこい!」
春一番に乗ってやってきたスギ花粉のおかげで確信した。彼女は若いころの妻だ。この特別思い切りのいいくしゃみこそ、彼女が僕の妻たる証拠だ。
いつものようにティッシュを差し出す。
「あじがど、あだだ」
チーンと鼻をかみ、礼を言う彼女。
ほら、この返し方も同じだ。え? ありがと、あなた、って言った? 彼女が僕のことをあなたと言い始めたのは結婚してからだ。
「えへへ。私、タイムスリップしちゃった」
なんだ。彼女もタイムスリップしたのか。
「君だけ若返るなんて、ずるいね」
僕は中年のサラリーマン姿。髪の毛が薄くなって、おなかもぽっこり。僕もイケメン(自称)の姿に戻りたかったな。
そのあと僕は、若返った彼女と腕を組んで昭和な町でデートを楽しんだ。周囲からは援助交際のカップルに見えたかもしれないが、夫婦なので何も問題はない。
(了)
楽しいひとときでしたね。ちゃんと元の時代に戻れましたか。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
はらとけいさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
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では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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