いい加減、吐いたらどうだ|#せりふ三題噺
「バン!」男が机を勢いよく叩く。
「いい加減、正直に吐いたらどうだ!」
スタンドを顔に向けられる。眩しくて目を開けていられない。
「昨日の正午ごろ、東京のカフェにいただろ?」
「東京には行ってませんね。その時間は家でカップ麺を食べていました」
「嘘をつけ! 何味を食べていたんだ?」
「豚キムチ味です」
「誰か、それを証言してくれる人はいるのか?」
「ひとり暮らしなんで、誰もいません」
「東京にいたんじゃないのか? 新幹線なら余裕で往復できるぞ」
「自宅にいました」
ここまでのくだりを何度も繰り返している。
「腹が減っただろう? これでも食え!」
カツ丼が目の前に出される。定番だ。なかなかの絶品、めちゃくちゃうまい! 急いで食べたので、のどが詰まる。
「あわてるな。これを飲め!」
レモンスカッシュが出される。カツ丼にはお茶だと思うが、まあ、これはこれでおしゃれだ。
「そろそろ本当のことを言ったらどうだ? こんなのもあるんだぞ」
男がデザートを出してくる。
パンナコッタ? なんてこった! また、この場に似合わないものを……。桜の花びらをゼリーに閉じ込めた春のデザートだと? うまそうじゃないか!
「おっと、噓をつく者にはやれないな」
俺がデザートに手を伸ばすと、男は皿を引っ込める。
しかたがない。白状するか。
「私が頼みました」
男はホッと胸をなでおろし、小さな紙を机に置く。
そこにはこう書かれていた。
『カツ丼 ¥750、レモンスカッシュ ¥550、季節のデザート ¥400』
レストラン「取調室」は犯人気分が味わえる、なかなか素敵な店だ。
(了)
注文は、おまかせでしょうか。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
はらとけいさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
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では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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