狭き門をこじ開けろ!
( #ショートショート 本文:571字)
雨の夜、男は教会を訪れた。
祈祷会では牧師が語っていた。
「狭い門から入りなさい。命に至る道は狭いのです」
男は一番後ろで深く頷いていた。
祈祷会が終わると、男は牧師に詰め寄った。ラグビーで鍛えた巨体で男のスーツははち切れそうだ。
「先生、俺、牧師になります」
「……急ですね。聖書は?」
「読んだことがありません」
「お祈りは?」
「したことありません」
「教会は?」
「今夜が初めてです。有り余る体力を、何か正しいことに使いたいんです!」
男は真剣そのものだった。
牧師はあまりの勢いに気圧され、額の汗を拭った。
「……ええ、まあ、情熱は分かりますが……。夜も遅いので、明日八時に、もう一度話をしましょう」
牧師は、男を追い返すように帰らせた。
翌朝七時、約束の一時間前、男はすでに教会の扉の前にいた。まだ教会の扉は閉まっている。
「これは俺の信仰が試されている」
男は一人で納得すると、扉の隙間に指を突っ込んだ。バキッ! 鍵を破壊して扉を数センチだけこじ開ける。
「な、な、何してるんですか! チャイムを鳴らしてくれれば開けたのに……」
腰を抜かさんばかりに驚く牧師の目の前で、男はミシミシと音を立てながら、そのわずかな隙間に巨体をねじ込み始めた。
「狭い門から入れって、先生が言ったんじゃないですか」
顔を真っ赤にして必死に入ろうとしながら、男は言った。
(了)
すごい熱意ですね。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
甘野充さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#アマノ文筆クラブ #狭い門をこじ開けろ
TALESにて、アマノ文筆クラブ作品を連載中。毎週木曜の朝をお楽しみに。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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