所詮、住む世界が違うのです|片想い文芸部
( #ショートショート 本文:825字)
私はそのとき彼女に恋をしたのです。
私がまだ遠野にいたころの話です。常堅寺の裏手を流れる小川のほとりで彼女と出会いました。
彼女は大きな麦わら帽子を被り、緑色のワンピースがよく似合う可愛い娘でしたよ。背中に大きなリュックを背負ってました。それも緑色でワンピースとおそろいでよく似合ってました。
私が初めて声をかけたとき、彼女はびっくりしていました。そりゃあ、そうです。知らない人から声をかけられて驚かない人はいないでしょう。
私は彼女に道を聞きました。ええ、そうです。彼女と話ができれば何でもよかったのです。最初は緊張していた彼女も、話すうちに笑顔がこぼれるようになりました。頬を赤らめて笑う彼女は素敵でした。
私は川べりを彼女と歩きながらいろんな話をしました。彼女は水泳が得意で川でよく泳いでいたそうです。見た目からはそんなふうに見えなかったので、とても驚きました。
好きな食べ物は、川魚や貝類で、毎日のように食べていると話していました。やはりヘルシー志向なのでしょうか。彼女のスタイルがよかったのはそのせいだと思います。
そうそう、野菜ではキュウリが好きだと言ってましたっけ。意外でした。私もキュウリが好きです。もちろん、いっしょにキュウリをかじりながら日本酒を呑みませんか、なんてことは言いませんでしたよ。
しばらくいっしょに歩いたあと、彼女は川に入って行きました。歩いていた川べりから、ずんずんと川に入って行きます。服を着たまま泳ぐのでしょうか。
驚いている私に、彼女は川の中から向かって手を振りました。
「さようなら。お話、楽しかったわ」
私は彼女にこの気持ちを伝えようと思いましたが、怖くて「さようなら。ありがとう」と手を振って別れました。
所詮、私と彼女は住む世界が違うのです。結ばれるはずがありません。
彼女の声が今も耳に残っています。
「またいつかお話ししましょう。河童のおじさん」
私は水かきのある手で頭のお皿をくるりと撫でました。

はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
ナルさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#片想い文芸部 #岩手
河童と言えば、父の釣り仲間も河童でした。同一河童なのかな。
一度だけ岩手に行ったことがあります。まだまだ終わっていない震災からの復興のために祈ります。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

いつきさんの #賑やかし帯 を使わせていただいてます。
いつもありがとう\(^o^)/。
#ほぼ毎日ショートショート
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