推し活と串カツ、どっちにするの?|#アマノ文筆クラブ
( #ショートショート 本文:620字)
あたしの推しは毎週金曜の夜、公園に現れる。
彼のことを知ったのは偶然だった。いつものように駅前の串カツ屋でたらふく食べたあと、腹ごなしに少し遠回りをしたときに、公園で路上ライブをしている彼を見つけたのだ。
衣のようなチリチリ頭、ソースのようなこげ茶色のジャケット、そして、串のように細い手足。要するに、あたしの大好物の串カツがギターを弾いて歌っていたのだ。
たぶん串カツが好きすぎたのだと思う。あたしには彼が串カツにしか見えなかった。正直言って、彼の歌はどうでもよかった。ただおいしそうだったのだ。彼を食べたいと思った。
そんな彼に会いに、毎週公園に通った。いつもは数人が立ち止まって歌を聞いていたが、その日の観客は私一人だった。
歌が終わって、彼がギターをケースにしまって帰ろうとしたとき、あたしは思い切ってヨダレを拭いて彼に声をかけた。
「あの……サインください」(ソースに浸かってください、の意味)
「毎週、聞きに来てくれてありがとう」
彼は、あたしが差し出した、お持ち帰り用の串カツの包み紙の裏に、ソース色のマジックでサインをしてくれた。
『いつものお客さんへ。毎度あり。串田カツオ』
金曜の夜、あたしは彼の写真を見ながら串カツを食べる。そして、帰りに公園で生身の彼に会う。あたしの推しは串カツだ。
肉に野菜に魚介にうずら。衣に包んでカラッと揚げる。ソースにダイブは一度だけ。二度づけ禁止の大好物。
あたしの推し活は串カツとともにあり。
(了)
猛烈にお腹が空いてきました。ソースの幻臭がする……。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
甘野充さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#アマノ文筆クラブ #推し活と串カツどっちにするの
メンバーシップやってます。今月中に加入いただくと初月無料に加えて、1か月分のチップをプレゼントします。ぜひ参加のご検討を!
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!