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色眼鏡

#ショートショート  本文:638字)

 サングラスの男は「いいやつ」で有名だった。

 グレーの日は公平に振る舞い、ブラウンの日は困った人を助け、グリーンの日は聞き役に徹し、ブルーの日は冷静に仲裁する。どの日も結局は「いいやつ」だった。

「裏では何を考えているか分かったもんじゃない」
 そう疑う男がいた。かつて商人に騙された経験から、善意を振りまく人間がすべて偽善者に見えていたのだ。

 ある日、男はサングラスの男に詰め寄った。
「お前、本当は腹黒いんだろ。うさんくさいサングラスを外して素顔を見せろ」
 サングラスの男は静かに笑った。
「私はその日の気分で世界をどう見たいか決めているだけだ。どんな色を通しても、やるべきことは変わらないからね」
 そして、言い返す。
「君は偏見で物を見ている。君こそ色眼鏡をかけているんじゃないか」
「色眼鏡をかけているのはお前だろ。いいから外せ!」
 男は強引に手を伸ばし、サングラスを奪い取ろうとした。その瞬間、鏡のようなレンズに自分の顔が映り込んだ。怒りと疑念で醜く歪み、濁った眼差しをした自分の顔が。

 男は言葉を失った。奪おうとしたサングラスの奥にある瞳ではなく、そこに反射する自分の姿に射すくめられたのだ。

 男は、自分の視界がいつの間にか嫉妬や疑念という名の「色眼鏡」で歪み、狭くなっていたことに気づいた。暴こうとしたのは相手の素顔だったが、そのレンズに暴かれたのは、自分自身の心の醜いフィルターだったのだ。

 目の前の男は相変わらずサングラスをかけたまま、透明な善意をたたえて笑っていた。

(了)

 今年の夏は酷暑です。日傘とサングラスは必須です。


はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
甘野充さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#アマノ文筆クラブ #色眼鏡


TALESにて、アマノ文筆クラブ作品を連載中。毎週木曜6:30をお楽しみに。

では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

#サングラス #いいやつ #グレー #ブラウン #グリーン #ブルー #偽善者 #素顔 #フィルター #善意

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