色眼鏡
サングラスの男は「いいやつ」で有名だった。
グレーの日は公平に振る舞い、ブラウンの日は困った人を助け、グリーンの日は聞き役に徹し、ブルーの日は冷静に仲裁する。どの日も結局は「いいやつ」だった。
「裏では何を考えているか分かったもんじゃない」
そう疑う男がいた。かつて商人に騙された経験から、善意を振りまく人間がすべて偽善者に見えていたのだ。
ある日、男はサングラスの男に詰め寄った。
「お前、本当は腹黒いんだろ。うさんくさいサングラスを外して素顔を見せろ」
サングラスの男は静かに笑った。
「私はその日の気分で世界をどう見たいか決めているだけだ。どんな色を通しても、やるべきことは変わらないからね」
そして、言い返す。
「君は偏見で物を見ている。君こそ色眼鏡をかけているんじゃないか」
「色眼鏡をかけているのはお前だろ。いいから外せ!」
男は強引に手を伸ばし、サングラスを奪い取ろうとした。その瞬間、鏡のようなレンズに自分の顔が映り込んだ。怒りと疑念で醜く歪み、濁った眼差しをした自分の顔が。
男は言葉を失った。奪おうとしたサングラスの奥にある瞳ではなく、そこに反射する自分の姿に射すくめられたのだ。
男は、自分の視界がいつの間にか嫉妬や疑念という名の「色眼鏡」で歪み、狭くなっていたことに気づいた。暴こうとしたのは相手の素顔だったが、そのレンズに暴かれたのは、自分自身の心の醜いフィルターだったのだ。
目の前の男は相変わらずサングラスをかけたまま、透明な善意をたたえて笑っていた。
(了)
今年の夏は酷暑です。日傘とサングラスは必須です。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
甘野充さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#アマノ文筆クラブ #色眼鏡
TALESにて、アマノ文筆クラブ作品を連載中。毎週木曜6:30をお楽しみに。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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