アイスブレイクしかまみれ
( #ショートショート 本文:1256文字)
私はセミナーの講師をしている。講義で話すことはしっかり調べて自分の知識とし、どうすれば参加者に理解・習得してもらえるかを考えて構成して話す。
あちこちで講師をしながら常に新しい知識をインプットし、高評価を得ているが、そんな私にも苦手なことがある。それは、セミナーの導入部、アイスブレイクだ。
何パターンか持ちネタはあるが、マンネリ化してしまって、自分で納得できていない。講師がありきたりだと思いながら話していると、参加者にそれが伝わってしまう。
あるとき『セミナー講師成長セミナー ~アイスブレイクを考える~』という、今の私にぴったりのセミナーがあった。迷わず参加した。
4人グループになって、自己紹介をした。そのあと他のメンバーから質問をする。まず最初に、いかつい見た目の男性が自己紹介した。
「俺は鹿口だ。以上!」
(短い!)
続けて質問タイム。
「どちらから来られたのですか」
「そんなことを聞いてどうする」
(たぶん奈良だ)
「好きな食べ物は何ですか」
「何でも食べる」
(鹿せんべいだと思う)
「このあと、どこへ行きますか」
「どこでもいいだろう」
(大仏を見に行くんだな)
「歯が痛いときはどうしますか」
「我慢する」
(そこは歯科に行くと言ってほしい)
なんか、いろいろ心の中でツッコミを入れていたら楽しくなってきた。
次の事例から応用編になった。
『5秒間で好きな動物を3つ以上言う』。
「ニホンジカ、ヘラジカ、エゾシカ、トナカイ、キョン」
鹿口さんは瞬く間に5つも挙げた。しかも鹿ばかり。最高記録だ。
『究極の選択について議論』。
「鹿に頭をかじられるのと鹿のフンを食べるのとどちらかを選ぶか」
鹿口さんの出す選択に全員が熱く議論した。結論はどちらも嫌!
最後の事例は『一文字だけ違うワードチェンジ』。前の人のワードの一文字を変えて言葉を作っていくゲームだ。
「シカセンベイ(鹿せんべい)」(やっぱり、ここからスタートか)
→「シカセンパイ(鹿先輩)」(後輩から見た鹿口さん)
→「シカセンパク(鹿船舶)」(鹿の乗る船?)
→「シカバンパク(鹿万博)」(世界中の鹿が見られる!)
→「シカバンコク(鹿バンコク)」(タイに出張?)
鹿口さんのおかげで大盛り上がり。見事なまでに鹿まみれ。鹿しか出てこないアイスブレイクだった。
いろんな意味でとてもタメになるセミナーだった。最も大きな収穫はキャラ設定の有用性。講師や参加者にキャラを作るだけで場が盛り上がる。
今回、鹿口さんは鹿の<獣人>だったので鹿三昧になったが、全員人間だった場合でも誰かが豚や狸などになり切れば同じ効果が得られるに違いない。
鹿口さんは熱い獣人だった。その熱さで場の緊張や不安の氷を溶かしていった。
すっかりファンになってしまったので、鹿口さんが講師のセミナーに参加してみたくなった。どこでセミナーをやっているんだろうか。
名刺交換をお願いしたら「面倒だ」と断られた。
しかたがない。まずは奈良公園で鹿口さんの知り合いを探そうと思う。


#なんのはなしで鹿
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
こちらの企画にエントリーします。
シンスケさん、いつもありがとうございます。
よろしくお願いします。
主宰: #シンスケさん
企画: #無茶ブリお題道場
お題: #アイスブレイク
鹿口さんが住んでいるのはこちらになります。
新入社員の研修講師をしていた経験があります。あのとき知っていたら、やってみたかも。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

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