おしこんだりもしたけれど、私は能天気です
朝、目覚ましが鳴った。眠い目をこすって起きる。
キッチンに向かう途中、昨日、洗濯かごに押し込んだままの洗濯物の山が視界の端に見えた気がするが、見なかったことにする。
「洗濯物は逃げないし、私も逃げないし、ま、いっか」
そう言いながら、トーストを焼く。
「う~ん、香ばしい匂い」
それはトーストが焦げた匂い。
朝食を食べ終わると、シンクに皿が積み上がる。底が見えないくらい隙間に押し込まれている。
「これは芸術よ」
うまくバランスが取れていて崩れない。まさに芸術。
「そうだ。久しぶりに掃除をしよう」
掃除機のコードを引っ張った瞬間、手が棚に当たり、昨日押し込んだレシートの束が落ちてくる。
「あらあら、落ち葉みたいね。そろそろ冬も終わりなのに」
意味のわからないことをつぶやきながら、レシートも掃除機もそのままにしてお茶を淹れる。まったり。
昼前になると、冷蔵庫の奥に押し込んでいた野菜がしなしなになっているのを発見する。
「中国産かしら。しなしな……なんちゃって」
野菜スープを作り、沸騰させて吹きこぼれる。
「泉のようにあふれるスープ~🎵」
変な鼻歌を歌いつつ、ごきげんに昼食をいただく。
午後は買い物に行くつもりだったが、玄関に靴が百足くらい積み上げられていたので、靴箱に押し込む。
「この家はムカデが住んでいるのかしら」
買い物に行くのを忘れてせっせと押し込む。
夕方、窓から夕陽が差し込んでいる。
「きれいな空。夕焼けは焦げたりしないのね」
感慨深げに夕食の支度をする。メニューは適当。そのへんの食材を鍋に押し込み、火をつける。焦げてあふれて、でもおいしい?
夜、寝る前に一日を振り返る。やるべきことは何ひとつできていない気がしないでもない。
「明日があるさ、あさっても。来週、来月、来年もある」
リズムよく自分に言い聞かせ、ま、いっか、と布団に潜り込む。
「危ない! もうちょっとで忘れるところだった」
息も絶え絶えに、朝から鳴り続けていた目覚ましのアラームを止める。
「お疲れさん。明日も頼むよ」
再び目覚ましのアラームボタンを押し込んで目を閉じる。
これが舞花さんの一日。
(了)
素敵な一日ですね。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
甘野充さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#アマノ文筆クラブ #おしこんだりもしたけれど私は能天気です
TALESにて新連載。
歴史・時代カテゴリで人気の聖書物語。
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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