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soeji
なくしもの|#毎週ショートショートnote
男には過去がなかった。
事故で記憶を失った男は、過去の空白を埋めたいと願っていた。そんな折、「思い出バンク」の職員が訪ねてくる。亡くなった登録者の記憶を相続してほしいというのだ。
提示された記憶の断片は、どれも眩しいほどに輝いていた。
庭園に咲き誇る薔薇の香り、海辺で交わした誓いの言葉。 裕福な家庭、親友との出会い、情熱的な恋、そして若くしての成功。
自分の記憶ではないのに、そのあまりの鮮やかさ――誰もが羨む完璧な人生の記録に、男は息を呑んだ。
「これほどの思い出で空白を埋められるなら……」
しかし、男は震える手で書類を閉じ、静かに相続を放棄した。そのあまりに「高価」な思い出は、莫大な相続税の課税対象だったのだ。すべてを受け入れれば、これからの生活は借金に追われ、破産するしかない。
男は穏やかに笑って告げた。
「過去のために未来を捨てたくはありません。私の思い出は、これから無税で作ることにします」
(了)
私もそれがいいと思います!
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
田原にかさんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#毎週ショートショートnote #思い出相続税
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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