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M-1グランプリでヤーレンズとママタルトにハラハラした夜

私はお笑い好きだ。なので賞レースが続くこの時期はいつもソワソワする。

漫才が格闘技に見える年に一度の賞レース・M-1グランプリが昨夜行われた。

今年のM-1王者は決勝戦初進出だった「たくろう」に決まった。たくろうのお二人に心からの拍手を!最高に面白かった。今も思い出しただけで吹いてしまうほどだ。

たくろうは文句なく最高だったけど、その話はもうネットにたくさん書かれてるので、ここでは私が応援していた他の決勝戦進出コンビの話をしようと思う。

まず惜しくも優勝に手が届かなかったエバース。大きな拍手を。すごかった、ホントに。

小柄で少年ぽさの残る顔立ちの佐々木くんと、大柄でコワモテなのに佐々木くんに渋々従う町田くんが織りなすネタは、見慣れてきているはずなのに毎度爆笑してしまう。

エバースはすでに数年前から優勝候補として期待をかけられていただけに、最後に勝ちきれなかったのはどれほど悔しかっただろう。今年の話ではないが、ネタを作っている佐々木くんはプレッシャーの中で、我知らず涙が溢れ出したことがあったと以前話していた。想像するだけで心が痛む。

期待を力に変えてこそ、などと精神論を言う人もいるかもしれない。
でも一人ひとりが背中に載せる期待の言葉は小石ほどでも、それが何十人、いや大所帯の吉本なら数え切れないほどの期待の小石を載せられていたらどう感じるだろうか。
いつしかずっしりと重くなり、一歩歩む度にその感性豊かな背中に無数の小石が当たり、痛みに変わった時もあったかもしれない。

少し肩の荷が下りていてほしい。
エバースは年齢が若いこともあって、いつも親目線で見てしまう。

佐々木くんの来年がますます幸多からんことを。
町田くんが変なことで撮られませんように。

そして私の推し漫才師・ヤーレンズ。
2本目のネタ見たかった〜。

M-1決勝戦の仕組みをよく知らない人向けにざっくり説明すると、決勝戦進出の全10組が1本目のネタ(「ファーストラウンド」)を披露し、各審査員が出した得点(最高100点)の合計得点のランキング上位3組だけが、2本目のネタを披露できる「最終決戦」に進める。

ヤーレンズは最終決戦進出3位のドンデコルテとはわずか2点差、順位では5位だったので最終決戦には残れなかったが、優勝しにくいとされるトップバッターでその実力の高さを見せつけた凄みは、昨年トップバッターを務め、M-1史上初の二連覇を果たした令和ロマンを彷彿とさせるほどだった。

なぜ最終3組に残れなかったのか、トップバッター故なのか、素人の私にはわからない。でもネタは完璧に見えた。審査員も口を揃えてそうコメントしていた。
ファンとしてはとても悔しい。

ヤーレンズの漫才は高速餅つきのごとくボケとツッコミが4分間ノンストップで繰り出されるのだが、2人が噛むところを見たことがない。噛まない芸人選手権があったら間違いなく優勝だろう。
そうでなくてもボケ数の多さではM-1歴代トップクラスではなかろうか。
そのせいか、今回ヤーレンズのネタを美しいとさえ感じた。

若手芸人の筆頭格で優勝候補なのに出場しない「さや香」と同様に、ヤーレンズもM-1王者というタイトルがなくても、実力で十分高みを目指して人生変えていける、そのくらいすごいコンビだと思う。

M-1は結成15年以内という出場制限がある。ヤーレンズにとって、来年はその資格がある最後の年(ラストイヤー)だ。

たとえM-1王者になれずに終わっても、ヤーレンズにはその先に新たな戦いの場が待っている。

M-1の出場資格を失ったベテラン漫才師たちがネタを競う賞レース「ザ・セカンド」だ。数あるお笑い賞レースの中で私が一番好きな大会でもある。

この大会は他の賞レースと違い、審査員はお笑い好きの一般人100人。いわゆるプロは含まれない。純粋にその日の客(審査員)の多くに面白いと思われたコンビが勝つ。ここも好きな点だ。テクニカルなことが分からなくても、テレビの前で審査員になった気持ちで見られる唯一の大会なのだ。

これまでに超ベテランの漫才師ザ・ぼんち、実力の高さで定評のある囲碁将棋、天才と言われるほどのワードセンスを持つ三四郎、コアなファンを持つ奇才コンビ金属バット、若手のネタバトルとして人気を博した番組「爆笑オンエアバトル」の強豪タイムマシーン3号といった猛者が参戦している。

もちろん、ザ・セカンドは長年チャンスをつかめずにいた漫才師が大舞台に立てる可能性を開く機会でもある。初回大会に出場して大暴れしたマシンガンズはまさにその典型だ。
正直名前を聞いた時は「まだ漫才やっていたのか」とびっくりしたが、ザ・セカンドをきっかけに人気が再燃して現在も活躍している。

こうしたツワモノたちに混じって、ヤーレンズがネタで100人の観客かつ審査員を沸かせる景色を見てみたい。
想像するだけでワクワクする。

最後に、私が今大会で最も楽しみにしていた漫才コンビについて話したい。
タイトルに載せたのに最後まで待たせてごめんねママタルト。

お友達になりたいほど人の良さそうな顔で軽快にツッコむ檜原さんと、まるまる太った体格ながらどこか愛嬌のあるとぼけた顔の大鶴肥満さんのコンビだ。 

檜原さんは高校生の頃、ハイスクールマンザイという高校生のネタバトルで、霜降り明星の粗品さんのライバルだったほどのポテンシャルがありながら、なかなか賞レースで結果が出せずにいる。なので決勝戦でまた見れて本当に嬉しいし楽しみにしていた。

私の中でママタルトは、一日の終わりに見たい、ほっこりと心が温かくなるような、幸せな笑いをたくさんくれる愛すべき漫才師だ。
ヤーレンズが小ボケ連打のワクワク系なら、ママタルトはコロコロ癒し系である。

でもこのようなスタイルは、競技漫才と呼ばれるようなM-1ではなぜか勝ち残りにくい。

それでも今年は前回出場の時より順位を一つ上げて9位。これだって快挙だ。決勝戦に来られなかった漫才師が一万組以上もいて、その中にはテレビですでに人気を博している芸人も少なからず含まれている。
でもそんな猛者に見えないところがママタルトの良さでもあるのだろうか。

今回のネタも二人のほっこりした空気感のまま、肥満さんのボケに檜原さんのツッコミがスパスパと小気味よく決まっていく。
銀シャリの橋本さんと何となく似ているように素人目には映る。本当に気持ち良い。
小道具を使ってないのに、ネタの世界の絵が見えるような展開の4分間だった。
審査員のお一人も檜原さんを褒めてくれていたので、来年もぜひ勝ち上がってきてほしい。

ついでに言うと、檜原さんの声で朝起こしてくれる目覚まし時計が欲しい。時計の形は肥満さんのフォルムで、さまざまな時間帯で檜原さんの長めのたとえツッコミボイスを発して毎時刻笑かして欲しい。アラームボイスは肥満さんの「まーちゃんゴメンネ、朝だよー」と檜原さんの「まだ寝てるんかーい!」で起こしてほしい。
そのくらい檜原さんのツッコミがお気に入りである。

がんばれママタルト。
来年も決勝戦で見れますように。

あ〜、楽しい夜だったなぁ。
またあっという間に終わっちゃった。

いや、のんびりしてはいられない。
来年のママタルトとヤーレンズのライブチケットをさっそく申し込まなくちゃ。

賞レースが終わっても、私の応援は途切れることなく今日も明日も笑いながら続いていくのだ。


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