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最後の8秒、君が見た世界|短編小説|動画|画像生成|PolloAI×しろねんコンテスト


生きてて良かったな


どこと戦っているのか、もう誰も知らなかった。

少なくとも、ここにいる年少の兵士たちは知らない。
誰が始めたのか。何のために続いているのか。どちらが正しくて、どちらが間違っているのか。

そんなことを教えてくれる大人は、もうほとんど残っていなかった。

戦闘は、毎日同じように始まる。
そして、毎日同じように終わる。

違うのは、その日に誰が死ぬか。
それだけだった。

夕方に近い午後だった。

砕けた瓦礫の隙間から、薄い光が差していた。砂埃を含んだ風が、まだ熱の残る地面を撫でていく。遠くで何かが崩れる音がしたが、誰も振り向かなかった。

その日の戦闘は終わっていた。

彼は、倒れている兵士を見つけた。

年は、自分とそう変わらないように見えた。
顔の半分は土で汚れ、片方の目だけが、まだ空を映していた。

生きているのか、もう死んでいるのか。
近づく前から、答えはほとんど分かっていた。

それでも彼は歩いた。

靴の裏で、小さな瓦礫が割れる。
風が吹く。
どこかで、まだ煙が上がっている。

倒れていた兵士の視線が、かすかにこちらへ動いた。

その目には、きっと世界がひどく壊れて見えていたのだと思う。
音も、光も、形も、ひとつずつ遅れて戻ってくるように。

彼が最後に見た世界は、たぶん、そんなふうだった。

——最後の八秒。


「お互い、生きてて良かったな」

声は、思ったよりもやわらかかった。

手は、間に合わなかった。

伸ばした指先が触れる前に、倒れていた兵士の目から光が消えた。
ほんの一瞬前までそこにあったものが、静かに、どこか遠くへ行ってしまう。

彼はしばらく、伸ばしたままの自分の手を見ていた。

誰に向けた言葉だったのか、自分でも分からなかった。

相手に届くはずのない言葉だった。
自分に言い聞かせるには、あまりにも空っぽだった。

それでも、声に出さずにはいられなかった。

彼は小さく息を吐いた。
諦めたような、悟ったような、ひどく疲れたため息だった。

助からないことは分かっていた。
分かっていたのに、なぜ手を伸ばしたのだろう。

今日も答えは分からない。

毎日、同じことが繰り返される。
繰り返されている。

誰が始めたのか。
誰が続けているのか。
誰も知らないまま、朝が来て、戦闘が始まり、誰かが倒れ、夕方になる。

もうすぐ陽が落ちる。

彼は膝をつき、倒れていた兵士の胸元に手を伸ばした。

そこには、認識票と呼ばれる薄い金属片が掛かっていた。
けれど、ここでは誰もそんなふうには呼ばない。

名札。

名前だけでも、帰すためのもの。

彼はそれを、指でつまんだ。

薄い金属片は、まだ少し温かかった。

力を込めて、ちぎり取る。

手に持てるのは、それだけだった。

名前。
所属。
どこかへ帰るための、最後の印。

静かで優しい夜に、帰してやれるのはそれだけだった。
彼は名札に目を落とす。
この兵士が最後に見た自分は、一体どんな顔をしていただろう。
助けに来た人間の顔だっただろうか。
それとも、ただ間に合わなかった誰かの顔だっただろうか。

分からない。

きっと、明日も分からない。

彼は名札をポケットに仕舞った。
そこには、昨日の名札も、その前の日の名札も入っている。

風が吹いた。

夕陽が、壊れた街の輪郭をゆっくりと溶かしていく。

誰かの一日が終わる。
誰かの戦争が終わる。

けれど、戦争そのものは終わらない。

彼は立ち上がった。
もう一度だけ、倒れた兵士を見下ろす。

そして、誰にも聞こえないほど小さな声で言った。

「……おやすみ」

陽が落ちる。

その夜は、ひどく静かだった。




いかがでしたか?
noteで初めての短編小説です。

久しぶりに文章を書きました。

いつの時代なのか、どこの世界なのかわからない。
けれど、どこかで今も続いてる。

そんなひとひらの葉を書きました。

誰かの心に、何かが残れば幸いです。


今回、なんとしろのあるさん&ねんころさん企画の
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主催:しろのある さま

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「AIの文化祭やー!」

とか言っといて、世界史の展示物のような薄暗い作品になってしまいました(^^;;

そして、ギリギリギリギ……_:(´ཀ`」 ∠):
ごめんなさ…_(┐「ε:)_バタリ。



◼️おまけ:
 キャラシ

 ストーリーボード

挿絵不採用


また、次の更新で
お会いできると嬉しいです(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)


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