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栗東所属馬と美浦所属馬ークラブ馬成績が良いのは?

一口馬主で馬を選ぶとき、血統や測尺、募集価格には注目しても「栗東所属か美浦所属か」まで気にする人は多くないかもしれません。

ちなみに私は口取り参加したいので、なるべくは自分の最寄りの競馬場に来てくれる可能性の高い方を選んでいます。

競馬界には昔から「西高東低」という言葉があります。実際のところどうなのか、JRAに登録されている中央所属馬全体と、一口馬主クラブの募集馬の両方でデータを確認してみました。

【告知】
本記事は下記の馬体診断ツール作成を作る際に出たデータ分析を元にしています。
興味があれば一読ください。


JRA全体で見ると、勝ち上がり率の段階からすでに栗東が優位

まずはJRAに登録されている中央所属馬全体で確認します。2015〜2023年産のサラブレッドで、中央で1走以上した馬43,272頭(美浦23,005頭・栗東20,267頭)で比べると、次のようになりました。





栗東は「勝ち上がれるかどうか」の段階からすでに美浦を上回っています。勝ち上がり率34.8%対28.1%で+6.7ポイントの差があり、3つの指標の中でも一番差が大きいのがこの勝ち上がり率でした。
競走馬が引退済みかどうかで絞っても傾向は変わりません(引退済み馬だけでも栗東29.0%対美浦23.5%)。
オープン以上率(+4.0pt)・重賞級以上率(+4.2pt)も栗東が上回りますが、上のクラスに行くほど差が広がるというより、最初の1勝の時点からすでに差がある形です。

この差は特定の年だけの偶然でもなさそうです。生年ごとにオープン以上率の差(栗東-美浦)を見ると、次のようになります。


2015年産から2023年産まで一貫して栗東が上回っており、大きなトレンド変化(縮小・拡大)は見られません。
2022〜2023年産で差がやや小さいのは、単にデビューから日が浅くオープンまで届く時間が足りていない馬が多いためで、東西差そのものが縮まったとは考えにくいところです。

一口クラブの募集馬だけに絞ると、勝ち上がり率の差はほぼ消える

ここまではJRA全体の話です。では、血統・馬体・価格帯であらかじめ選抜されている一口クラブの募集馬だけに絞るとどうなるでしょうか。栗東所属馬2,703頭、美浦所属馬2,446頭(いずれも成績が判明している馬)で比べると、次のようになりました。

JRA全体とは対照的に、勝ち上がり率(1勝クラス以上に到達した割合)自体はほぼ差がありません。
むしろ美浦の方がわずかに高いくらいで、「栗東の方が絶対的に強い」というほど単純な話ではありません。

差が出るのは「その先」

はっきり差が付いたのはオープン以上率です。栗東17.9%に対して美浦13.3%で、4.6ポイントの開きがあります。
重賞級以上まで絞っても栗東4.9%・美浦3.7%と、栗東が上回る傾向は続きます。これはJRA全体で見たオープン以上率・重賞級以上率の差(+4.0pt・+4.2pt)とほぼ同じ方向・同じ規模感です。

つまり一口クラブの募集馬だけで見ると、「勝ち上がれるかどうか」ではほぼ差がないのに、「その上のクラスまで駆け上がれるかどうか」になると栗東が優位、という構図になります。
1勝クラスから2勝、3勝、オープンへと着実にステップアップさせる力に、何らかの違いがあるのかもしれません。

なぜ「勝ち上がり率」の部分だけJRA全体とクラブ馬で結果が変わるのでしょうか。
想像の域を出ませんが、一口クラブの募集馬はもともと血統・馬体で選抜された「そもそも勝ち上がりやすい馬」が多く、東西どちらの厩舎に入ってもある程度の確率で1勝は挙げられる。
一方、選抜されていないJRA全体の母集団では、東西の厩舎による底上げの差が「勝ち上がれるかどうか」という一番手前の段階から効いてくる、という見方ができそうです。

クラブ別に見ても崩れなかった

この差が「たまたま栗東に強いクラブの馬が多いだけ」なのかも確認しました。
当初は栗東・美浦とも十分なサンプルサイズが確保できる範囲で、あわせて10クラブでオープン以上率を比べてみます


見ての通り、10クラブのうち8クラブで栗東が美浦を上回っています。
差の大きさはクラブによってかなり違い、DMMは15.5ポイント、ロードは13.4ポイントという大差がある一方、サンデーは1.3ポイントとほぼ横並びです。
東京サラブレッドは17.2%対17.4%とほぼ完全な互角、ライオンだけは逆に美浦の方が高く、この2クラブが例外になっています。

サンデーは栗東・美浦とも高水準(19.8%・18.5%)で、そもそも東西どちらでも結果を出しやすいクラブという見方もできそうです。
逆にDMM・ロードは美浦所属になった場合の伸び悩みが目立ちます。東京サラブレッドとライオンは他クラブに比べるとサンプルがやや小さいクラブでもあるため、この2クラブの結果については他クラブほど確信を持った言い方はできません。

つまり「特定のクラブがたまたま栗東に偏っていて、そのクラブが強いから栗東の数字が良く見える」という交絡は大きくなく、東西という軸自体に一定の意味がありそうです。
「栗東の方がオープン以上率で優位」という傾向も、特定の1クラブだけが牽引しているわけではなく、10クラブ中8クラブで一貫して見られる傾向だと言えそうです。
ただし、その差の大きさはクラブによってまちまちで、「東西の差」と「クラブの傾向」は両方見ながら判断するのがよさそうです。

どう見ればいいか

今回のデータだけで「栗東の調教技術が優れている」とまで断定はできません。
レース構成、厩舎の絶対数や、預けられる馬の血統・価格帯といった要因までは分離できていないためです。(今後続編で取り上げたい内容です)

ただ、「オープン以上まで行けるかどうかにはJRA全体でもクラブ馬でも東西差があり、その傾向は複数クラブ・複数年度で一貫している」という点は、一口馬主として入厩先を見るときの一つの参考材料にはなりそうです。

まとめ

  • JRAに登録されている中央所属馬全体(2015〜2023年産・43,272頭)で見ると、勝ち上がり率から栗東が優位(栗東34.8%対美浦28.1%、+6.7pt)。オープン以上率(+4.0pt)・重賞級以上率(+4.2pt)も栗東が上回り、2015〜2023年産まで安定して見られる

  • 一口クラブの募集馬(栗東n=2,703・美浦n=2,446)だけに絞ると、勝ち上がり率の差はほぼ消える(51.4%対52.0%)

  • ただしオープン以上率(+4.6pt)・重賞級以上率(+1.2pt)の差はクラブ馬でも崩れず、JRA全体と同じ方向・同じ規模感

  • サンプルが十分な10クラブのうち8クラブでオープン以上率は栗東が上回り、特定クラブへの偏りだけでは説明しにくい

  • 差の大きさはクラブによって異なり、DMM・ロード・グリーンは差が大きく、サンデーはほぼ差がない。東京サラブレッドはほぼ互角、ライオンだけ美浦の方が高い例外

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【募集馬カルテリリース情報】

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※本記事のデータはJRAに登録されている競走馬全体、および一口馬主クラブ募集馬(ウマアイ -eye×AI-のデータベースで管理)の集計であり、厩舎の実力そのものを保証するものではありません。預けられる馬の血統・価格帯など分離できていない要因がある点にご留意ください。

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