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早くデビューした馬ほど勝ち上がる? ― 月齢・暦月の2つの軸で5,273頭を検証

早期デビュー馬は仕上がりが早い、じっくり使った馬の方が後伸びする。
デビュー時期をめぐる見方はいろいろあります。

私は去年なかなか出資馬がデビューしてくれず、最速の仔でも10月くらいだったので大変ヤキモキしてました。

実際の成績とどう関係しているのか。

ウマアイ -eye×AI-のデータベースで、デビュー時の月齢と、その後の勝ち上がり率・獲得賞金の関係を集計しました。

あわせて、一口馬主の世界でよく言われる「6月デビューは良い」という暦月ベースの俗説も、月齢とは別の軸として検証しています。

まずは「そもそも生まれてから何か月でデビューするのが一番良い成績を残せるのか」という月齢の話です。

早くデビューした馬ほど、勝ち上がり率も活躍率も高い


デビュー時期が早いほど、勝ち上がり率・活躍率も高い

デビュー時の月齢で6グループに分けて比較すると、はっきりとした右肩下がりの関係が見えました。

24〜26ヶ月でデビュー: 勝ち上がり率79.1%、活躍率(オープン以上)19.9%

27〜28ヶ月でデビュー: 勝ち上がり率74.1%、活躍率23.2%

29〜30ヶ月でデビュー: 勝ち上がり率68.4%、活躍率19.5%

31〜32ヶ月でデビュー: 勝ち上がり率59.8%、活躍率16.5%

33〜35ヶ月でデビュー: 勝ち上がり率51.1%、活躍率9.0%

36ヶ月以降でデビュー: 勝ち上がり率39.3%、活躍率6.9%

もっとも早いグループともっとも遅いグループでは、勝ち上がり率で約40ポイント、活躍率で3倍近い差がついています。各グループともn=201〜1,279と十分なサンプルがあり、階段状にきれいに下がり続けているのが分かります。

早期デビューは仕上がりの早さだけでなく、その後の成績にもはっきり結びついている、という結果です。

1ヶ月刻みで見ると、さらに細かい坂道が見える


デビュー月齢1ヶ月刻みの勝ち上がり率

上の6グループでもかなり細かく見えますが、1ヶ月刻みまで分解すると、グループの中でも下がり続けていることが分かります。

例えば「31〜32ヶ月」グループの中身を見ると、31ヶ月時点で61.0%、32ヶ月では58.6%。「29〜30ヶ月」グループも29ヶ月71.7%→30ヶ月65.7%と、同じグループ内で数ポイントずつ下がっています。

つまりこの関係は、いくつかの節目で段差がついているのではなく、24ヶ月から40ヶ月台にかけてほぼ1ヶ月刻みで着実に下がり続ける、なだらかな坂道に近い形です。

もっとも早い24ヶ月(n=6)は83.3%と高い数字ですが、この月だけはサンプルが6頭とかなり小さいため、参考程度に見てください。25ヶ月(n=46)以降は月あたり数十〜数百頭のサンプルがあり、傾向として十分見られる規模です。


デビュー月齢1ヶ月刻みの活躍率

活躍率(オープン以上)でも同じ形の右肩下がりが見えます。24〜28ヶ月台では18〜24%の間で推移していたのが、33ヶ月を境に一段下がり、34ヶ月以降はおおむね5〜8%台まで落ち着きます。

なお42ヶ月を超えるとサンプルが月あたり1〜6頭まで細ってしまうため、グラフには含めていません。
参考までに43ヶ月以降をまとめると勝ち上がり率58.8%・活躍率11.8%(n=17)ですが、この数字だけで何かを結論づけられる規模ではありません。

ただし重賞級到達率だけは、単調に下がらない


重賞級到達率だけは28〜32ヶ月組がわずかに最高

勝ち上がり率・活躍率は早いほど良いという右肩下がりでしたが、重賞級到達率(重賞級・GI級)だけは様子が違います。

24〜27ヶ月組5.5%に対し、28〜32ヶ月組は6.2%とわずかに上回り、33ヶ月以降だけが2.6%と大きく落ちる形です。

つまり1勝を挙げる、オープンに入るという段階では早期デビューが一貫して有利ですが、そこからさらに上の重賞級で戦えるかどうかは、24〜27ヶ月と28〜32ヶ月の間ではほぼ差が無いということです。

獲得賞金でも早期デビューが優位


デビュー時期別・平均獲得賞金

平均獲得賞金で見ても、24〜27ヶ月デビュー組は3,711万円、33ヶ月以降デビュー組は1,588万円と、2倍以上の開きがあります。

デビューが遅くなるほど、生涯の稼ぎという意味でも不利になりやすい傾向がうかがえます。

「6月デビューは良い」と言われるのは本当か ― 暦月で見ると

ここまでは「生まれてから何ヶ月でデビューしたか」という月齢の話でした。


ただ、一口馬主の世界でよく言われるのは「6月デビューは良いゾ」という話。
これは月齢の話ではなく、実際にデビューしたのが暦の上で何月か、という別の軸です。

同じ月齢28ヶ月でも、1月生まれの馬と4月生まれの馬では、実際にレースに出る暦月はズレます。
月齢と暦月は関係はありそうでも、別のデータです。

というわけで、暦月別にも集計し直してみました。


新馬戦解禁基準の4シーズン別・勝ち上がり率と活躍率

中央競馬の2歳新馬戦解禁(だいたい6月)を基準に、6〜8月・9〜11月・12〜2月・3〜5月の4つに分けて集計しました。

6〜8月デビュー組の勝ち上がり率は67.7%。9〜11月組も63.8%と高水準です。

一方、12〜2月組は50.8%、3〜5月組は**43.9%**まで下がります。

もっとも高い6〜8月ともっとも低い3〜5月では、勝ち上がり率で24ポイントの差がついています。

1ヶ月単位で見ると、6月の解禁直後がピークで、あとは坂道を下り続ける


暦月別の勝ち上がり率の推移

4シーズンをさらに1ヶ月単位まで分解すると、変化のタイミングがよりはっきり分かります。

もっとも高いのは解禁直後の6月で68.6%
7〜11月は63〜67%台で高止まりしたあと、12月に53.7%まで下がり、年が明けて3歳になった翌1〜5月はさらに下がり続けて、翌5月には36.6%まで落ち込みます。

つまり6月の解禁直後をピークに、あとはほぼ一貫して下がり続ける坂道のような形です。
途中、翌2月(49.7%)が翌1月(48.1%)よりわずかに高いなど小さな凸凹はありますが、大きな山や谷が繰り返すわけではありません。

活躍率(オープン以上)も同じ形で、6月21.1%に対し翌5月はわずか3.4%。
6倍以上の開きがあります。

まぁ新馬戦終了後のデビュー馬にはトラブルがあったケースが大半なのですが…。

月齢と暦月、結局同じ話なの?何事も早い方がいいんでしょ?

ここまでの話をひとことでまとめると、「早くデビューした馬ほど勝ち上がりやすい」の一点です。
これは月齢(生まれてから何ヶ月か)で測っても、暦月(実際にデビューしたのが何月か)で測っても、同じ方向に出ています。

念のため補足すると、ここでの「暦月」はデビューした月の話であり、生まれた月そのものが良い・悪いという話ではありません。
同じ月齢28ヶ月でデビューした馬でも、1月生まれなら暦月は5月頃、4月生まれなら8月頃になる、というだけの違いです。

では生まれ月自体は無関係かというと、デビュー時期には関係します。早生まれ(1〜2月)は2歳のうちに70.3%がデビューするのに対し、遅生まれ(5〜6月)は62.4%にとどまる、という結果が別記事で出ています。
ただし同じ記事では、最終的な勝ち上がり率・活躍率は早生まれ・遅生まれでほぼ横並びでした。
生まれ月はデビューの早さには影響しても、素質そのものにはあまり影響しない、という結果です。
この記事の「早期デビューできる馬はもともと仕上がりが良い」という見方とも整合します。

この2つ(月齢・暦月)は結局「同じ早さ」を2通りの物差しで測っているだけなのか、念のため確認しました。
答えは「かなり重なっているが、完全に同じではない」です。

実務的には、月齢でも暦月でも「早いに越したことはない」という理解で十分です。

どう捉えればいいか

この結果は、デビューを急がせれば強くなる、6月にデビューさせれば良くなる、という意味ではありません。

むしろ逆で、そもそも早期デビューできる馬は、その時点で仕上がりが早い、つまり素質や成長スピードの面で恵まれているケースが多い、という因果関係で捉えるのが自然です。

デビューが年をまたいで遅れた理由が、仕上がりの遅さや故障であることが多いとすれば、暦月で見た差も「6月に使ったから良くなった」のではなく「6月までに使える状態だった馬は、もともと仕上がりが良い馬が多かった」という因果関係で捉える方が妥当です。

3歳夏のデビューになった馬がすべて成績不振というわけでもなく、あくまで集団としての傾向です。

ただし、デビューが早い馬はその後の成績も含めて注目度が高いというのは、新馬戦を見るうえでのひとつの実用的な視点と言えそうです。

まとめ

  • デビュー月齢が早いほど、勝ち上がり率・活躍率・獲得賞金のいずれも高い傾向。24〜26ヶ月デビュー組の勝ち上がり率79.1%から36ヶ月以降デビュー組の39.3%まで、階段状にきれいに下がる

  • 1ヶ月刻みで見ると、31ヶ月61.0%→32ヶ月58.6%のように、同じグループ内でも月ごとに着実に下がり続けている

  • ただし重賞級到達率だけは28〜32ヶ月組(6.2%)が24〜27ヶ月組(5.5%)よりわずかに高く、単調な右肩下がりにはならない

  • 暦月(実際にデビューした月)で見ても、新馬戦解禁(6月)を起点に時系列順で並べると6〜8月組67.7%→9〜11月組63.8%→12〜2月組50.8%→3〜5月組43.9%ときれいに下がり続ける。1ヶ月刻みでも6月68.6%から翌5月36.6%まで、坂道のようになだらかに下がり続ける

  • 暦月3〜5月組はn=583中582頭(99.8%)が月齢33ヶ月以降で、月齢の最下位グループとほぼ同じ顔ぶれ。ただし他の暦月ではここまでの重なりは無い(12-2月89.2%・9-11月29.7%・6-8月15.6%)

  • 月齢バケットを固定しても暦月による勝ち上がり率の差は残る(31〜32ヶ月:76.2%→62.4%→57.0%など)ため、暦月は月齢だけで説明しきれない独自の情報を持つ

  • 早期デビューは原因というより、素質・成長スピードの結果である可能性が高い


※本記事のデータはウマアイ -eye×AI-独自データベースの集計であり、特定の個体の成績を保証するものではありません。

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