ジャッキー・チェンと勝負する・追撃戦(17)
今回は2018年10月に日本公開された「ナミヤ雑貨店の奇蹟/再生」(2017年作品/中国語題「解憂雑貨店」英語題「NAMIYA」) ご存知のとおり、東野圭吾の小説『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を翻案・映画化した作品。
はじめにお断りしておくが、私は原作小説も未読だし、この作品に先立って公開された日本版映画版も見ていない。そもそも本欄の性格上、あくまでも「ジャッキー・チェンの映画としてどうなのか」が主眼になるので、原作や邦画版との比較はしないので、悪しからず。
2017年の大晦日の夜、金持ちの家を襲撃した若者3人組が、空き家になっている古びた雑貨店の逃げ込み潜伏する。そこへ、表の郵便受けに1通の手紙が届く。それはミュージシャン志望の若者からの、将来に関する悩み相談だった。その手紙の日付は1993年。じつはこの雑貨店は、店主の老人がよろず相談ごとに応じることで有名だったのだ。しかしそれは25年も前のこと。3人は相談に返事を書いてみるが……過去からの時空を超えた手紙が、数々の人間ドラマを生みながら、3人組の運命を変えてゆく。
というように、まあファンタジイがらみではあるが「感動のストーリー」「人間ドラマ」なわけで、およそ私の好みではないよなぁ。
そのわりには、けっこう楽しんで見られた。感動の作品とはいえ、お涙ちょうだいのうるうる系ではないからか、あるいは全体が丁寧に伏線を張ったミステリ仕立ての仕組みになっているからか(このへんは東野圭吾由来か)
さて、およそジャッキー映画らしからぬイメージのあるこの作品でのジャッキーの役割はというと、問題の雑貨店の老店主。1993年の過去で人々の悩みごとの相談に乗る役割で、ある意味で物語全体のエンジンになる存在だ。
それなりに重要な役だが、主役ではない。主役は3人組の若者で、ジャッキー演じる老人(役名も解憂爺爺=悩み相談爺さん)は、出番も決して多くない。だから主演ではなく「特別出演」
特殊メイクを駆使したと思われる老け顔、踏み台に乗って棚の上のものを取るのも危なっかしい体さばきのご老体ジャッキーは、見どころのひとつかもしれない。いままで、部分的なものはあったものの、ここまで老人役のジャッキーはたぶん初めてだろう。なので、アクションはもちろん、雑貨店の外に出る描写もほとんど無い。
ならば、なんでこの役にジャッキー・チェンが、という疑問も出そうだが、どっこいさすがはジャッキー、見事にこのジジイ役をこなし、そればかりかフンワリした独特の印象を醸し出している。
そしてこのジャッキーの存在が、映画全体の雰囲気にピッタリとなじんでいるのだ。客観的に見ればジャッキーの起用、成功したといえよう。

だが、ジャッキーが新境地を見せた映画としては一応の成功作といっていいと思う一方で、正直言ってアクションスター=ジャッキーの魅力はまったく味わえない。だから私的には残念作だった。
ただし、こうも言える。
残念ながらジャッキーも年をとる。いつまでも若者役ばかりはできないし、アクションだけでやっていくにも限界はあるだろう。だから「その向こう」のジャッキー・チェンを垣間見せた映画として、将来の私は別の評価をするかもしれない。

ジャッキーを押しのけて(?)主役をつとめたこの若い3人組は好演だった。それだけは明言しておこう。向かって左から、迪麗熱巴、王俊凱、董子健。なかでも新疆ウイグル出身の迪麗熱巴(ディルラバ・ディルムラット)は、ボーイッシュでなかなか魅力的だったよ。

