馬乳酒を持って、立ち飲み屋へ行った
馬乳酒を持って、いつもの立ち飲み屋へ行った
モンゴルで馬乳酒を買った。
飲んだことはない。
現地でも飲まなかった。
でも、せっかくなら飲んでみたいと思った。
ひとりで家で開ける気にもならなくて
帰国して数日後
行きつけの立ち飲み屋に持って行った。
店の人に聞く。
「これ、飲みます?」
「馬のお乳のお酒です。」
そう言った瞬間、
少し空気が止まる。
みんな興味はある。
でも積極的ではない。
小さいグラスに少しずつ。
飲む。
沈黙。
「……なんやこれ!」
どよめく。笑いがおきる。
酸っぱい。
乳っぽい。
お酒。
知ってる味に近いようで
誰も正解を言えない。
「ワインの肴にいいんじゃない」
「ヨーグルトの上澄みのような」
「動物が後から追いかけてくる感じ」
モンゴルでは普通に売っていたものが、
大阪の立ち飲み屋では少ししたイベントになる。
面白かった。
遠くへ行った実感って
案外その場ではなくて
帰ってから出る。
スーパーに行って
洗濯して
立ち飲み屋で知らない酒を回し飲みして
ようやく旅が生活に混ざる。
馬乳酒は、
そんなに減らなかった。
でも、
ちゃんと旅の続きをした夜だった。
