なぜ地方自治法は外部監査制度を設けたのか
「外部監査制度」という言葉を聞いても、多くの方はあまり馴染みがないかもしれません。
しかし実は、地方自治法に基づく正式な制度であり、都道府県や政令指定都市、中核市では既に包括外部監査が義務付けられています。
では、なぜ地方自治法は外部監査制度を設けたのでしょうか。
そこには、「内部だけでは限界がある」という極めて現実的な考え方があります。
外部監査制度は地方自治法上の制度
地方自治法では、
包括外部監査
個別外部監査
という制度が定められています。
包括外部監査は、毎年度テーマを定め、外部の専門家が監査を行う制度です。
個別外部監査は、
住民監査請求
議会請求
首長要求
などを契機として、必要に応じて実施される制度です。
監査を行うのは、
弁護士
公認会計士
税理士
などの外部専門家です。
つまり、「自治体内部」ではなく、「第三者」による監査制度なのです。
なぜ制度化されたのか
地方自治法が外部監査制度を設けた背景には、
行政事務の複雑化
財政規模の拡大
専門分野の増加
があります。
特に、
契約
補助金
指定管理
情報システム
公共施設管理
などは、高度な専門知識を要する分野です。
従来の監査委員制度だけでは、専門性や独立性の面で限界があるのではないか。
そうした問題意識から、地方自治法改正により外部監査制度が導入されました。
「内部統制」と「外部監査」は別の話
ここで重要なのは、
「内部統制があるから外部監査は不要」
という関係ではない、ということです。
これは民間企業を考えると分かりやすいと思います。
民間企業でも、
内部統制強化
内部監査
外部監査
は普通に並立しています。
しかも、そもそもの目的が違います。
内部監査は、主に経営改善や内部統制のために行われるものです。
つまり、経営層や組織内部のための監査です。
一方、外部監査は、株主や金融機関、取引先などのステークホルダーに対し、「第三者としての客観性」を担保する役割を持っています。
つまり、
「内部統制を強化しているから外部監査は不要」
という関係では本来ありません。
むしろ、内部統制・内部監査・外部監査が、それぞれ異なる役割を担いながら並立することで、組織全体の信頼性を高めているのです。
自治体も同じです。
監査委員制度や内部統制を否定する必要はありません。
しかし、それとは別に、市民に対する第三者的な検証可能性を制度として持つかどうか、という論点が存在します。
なぜ中核市以上に義務付けられているのか
地方自治法では、
都道府県
政令指定都市
中核市
に包括外部監査が義務付けられています。
これは、
扱う事務量
財政規模
権限
専門性
が大きいためです。
つまり、国自身が、
「内部だけで完結させず、第三者による監査も必要」
という前提で制度設計しているということです。
一方、一般市町村については義務ではありません。
しかし、条例によって導入できる制度設計になっています。
つまり、
「小規模自治体には不要」という考え方ではなく、
「必要に応じて導入できるようにしている」
というのが地方自治法の立場です。
小平市でも繰り返し議論されてきたテーマ
外部監査制度は、突然出てきた話ではありません。
実際、小平市議会では過去に総務委員会が包括外部監査制度を調査研究テーマとして取り上げ、先進地視察まで行っています。
さらに、前市長は選挙公約において「期限付き包括外部監査制度」を掲げていました。
つまり、市民の信任を受けて当選した市長自身が、外部監査制度の必要性に言及していたのです。
また、これまでにも複数の議員が、
第三者による検証
外部的視点
行政監視機能の強化
の必要性について議会で言及してきました。
つまり、小平市において外部監査制度は、特定の議員だけが突然言い出したものではありません。
議会としても、市政運営上のテーマとして繰り返し議論されてきたものなのです。
「疑うため」ではなく「信頼のため」
外部監査制度というと、
「行政不信」
「不正追及」
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、本来の趣旨はそこではありません。
むしろ、
「問題がないのであれば、第三者監査によってそれが確認されること自体が、市民からの信頼向上につながる」
という考え方です。
内部統制は重要です。
自浄作用も必要です。
しかし、それだけで十分だと言い切れるほど、人間も組織も万能ではありません。
だからこそ、民間でも外部監査が存在する。
そして地方自治法もまた、外部監査制度を制度として用意しているのだと思います。
次回
3月定例会最終日に「外部監査制度の導入の検討」を求める請願が上程され、昨日(5月7日)、閉会中の総務委員会が開催され、審査が行われました。
次回、総務委員会での審査内容について整理します。
