医療市場の失敗

 医療は本来「国民生活の安全保障」という側面が強いので多くの先進国では国や自治体の直営(国立・公立)として運営されています。「採算」や「利益」という言葉はありません。だからこそ患者さんの健康や幸福を第一目標に医療を提供できるのです。

 一方日本では、医療機関はビジネスとして自由経済の中で運営されています。つまり市場に開放されています。採算が取れなければ倒産します。だから「患者さんの健康や幸福」以上に「利益」を優先してしまう医師も出てきてしまいます。

これを「市場の失敗」と言います。 「市場の失敗」が発生する理由は大きく2つ。

・情報の非対称性(患者と医師で双方が持っている医療情報に差がありすぎるので患者は医師を選べない。言われるがまま医療を受けざるを得ない。)

・モラルハザード(健康保険などで診療費が大幅に割引されるため患者側のコスト意識が強度に低下する)


その結果、 「味の分からない5000円のフランス料理をお店に言われるがままに注文させられ、しかも一日三食、出前で配達してもらい、支払いは500円。自宅で大量に捨てている」

そんな現象も起きています。 事実、日本の人口あたり病床数・外来受診数はダントツ世界トップ(英米など先進各国の3〜5倍)。医療は必要以上に提供され、需要されているのです。

医療は本来、患者さんの健康や幸福に最大限寄与するように、過剰でも不足でもなく適切な量と質で提供されるべきなのです。それが一番わかるのが医師なのです。

だからこそ医師には市場や経済に左右されない中で最大限のモラルと規範が求められるのです。

宇沢弘文先生は「社会的共通資本」の中でこう言っておられます。
「医療とは、医療従事者と地域住民との相互信頼関係を前提として、医学に関する学問的知見、医療人としての職業的規律・倫理に基づき過不足なく提供されるべきものである。」

藤井先生はこのことを指摘しておられます。


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森田 洋之 夕張に育ててもらった医師・医療経済ジャーナリスト。元夕張市立診療所院長として財政破綻・病院閉鎖の前後の夕張を研究。医局所属経験無し。医療は貧富の差なく誰にでも公平に提供されるべき「社会的共通資本」である!が信念なので基本的に情報は無償提供します。(サポートは大歓迎!^^)