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40代、転職しなくてもいい。ただ、WILLだけは消さないでほしい

大きな不満はないのに、このままでいいのかと思う

仕事はひととおりできるようになりました。
任される責任も増えました。

今すぐ辞めたいわけではありません。転職活動をする気もありません。

それなのに、毎日が少しずつ、同じ形に固まっていく感覚があります。
朝起きて、会社に行って、求められた仕事をこなして、帰る。
それ自体は悪いことではないはずなのに、なぜか心のどこかがざわつくのです。

40代のキャリア不安は、能力が足りないから起きるとは限りません。
むしろ、「やりたいこと」を後回しにし続けてきたことが、静かに効いてきているだけかもしれません。

実際、2025年に行われたある調査では、40歳の会社員のうち65.4%が「今後のキャリアの方向性が分からない」と答えています。
数字はこれくらいにして、ここからは中身の話をしていきます。

WILL・CAN・MUSTは、きれいな順番では進まない

キャリアの話でよく出てくる3つの言葉があります。

  • WILL:やりたいこと、こうなりたいという意思

  • CAN:今できること、経験や知識でできること

  • MUST:会社や組織、家庭から求められ、簡単には断れないこと

よくある説明では、「まずWILLを見つけて、CANを増やし、MUSTと重ねましょう」という順番で語られます。

きれいな話だと思います。でも、多くの会社員の現実は、たぶん逆から始まるのではないでしょうか。

新卒で会社に入ります。
最初にやってくるのは、会社の文化やルールに慣れること、つまりMUSTです。
それをこなしているうちに、少しずつCANが増えていきます。

WILLのことを考える余裕は、最初はほとんどありません。

MUSTとCANを積むことは、悪いことではない

誤解してほしくないのですが、MUSTをこなし、CANを積んでいくこと自体は、まったく悪いことではありません。

任された仕事をやり切ることで、人は力をつけます。
できることが増えれば、周りの役にも立てます。
責任ある仕事にやりがいを感じるなら、それも立派なWILLのひとつでしょう。

問題は、MUSTとCANだけで毎日が埋め尽くされてしまうことにあります。
気づいたら、自分の意思で選んだ時間が、ほとんど残っていない。そういう状態になってしまうことです。

35歳前後から、置き去りにしたWILLが顔を出す

できることが増えてくると、あるとき、ふと立ち止まる瞬間がやってきます。

「これって、本当に自分がやりたかったことだっただろうか」

まわりの同期が転職したり、昇進したり、結婚や子育てで生活が変わったり、親のことが気になり始めたり。
そういう変化を見ながら、自分の将来像が少しずつ気になり出すのです。

ここで転職を選ぶ人もいます。でも、残る人のほうがずっと多いでしょう。

残ること自体は、逃げでも何でもありません。
ただ、何も考えずにただ残り続けると、40代以降、惰性がどんどん強くなっていきます。

4社を経験して思う。転職しても、MUSTは消えない

私自身、これまで4社を経験してきました。

転職には、環境を変える力が確かにあります。人間関係も、評価基準も、任される仕事の種類も変わります。

でも、どの会社に移っても、最初にやってくるのは、やはりMUSTでした。
新しい職場で求められることを理解し、そこからまたCANを積み直す。振り出しに戻るような感覚を、何度も味わいました。

転職は、選択肢のひとつではあります。でも、万能薬ではありません。
転職しない選択にも、ちゃんと価値があります。

大事なのは、どこにいるかよりも、自分がWILLを持てているかどうかではないでしょうか。

40代のWILLは、大きな夢でなくていい

WILLというと、「起業したい」「独立したい」みたいな大きな話に聞こえるかもしれません。でも、そんな規模である必要はまったくありません。

たとえば、こんなものも立派なWILLだと言えるでしょう。

  • 今の仕事の中で、一つの専門分野を自分の言葉で説明できるようになる

  • 自分の経験を、後輩や周りの人に渡せる人になる

  • 月に一度でも、学びや読書、資格の勉強、発信に時間を使う

  • 健康を整えて、仕事以外に続けられる活動を持つ

  • 役職や会社名を抜きにしてつながれる、社外の居場所を持つ

規模の大小は関係ありません。
大事なのは、「自分の意思で選んだ時間」があるかどうか、それだけです。

組織の役割がなくなった後にも残るもの

役職や名刺、会社名は、働いているあいだは大きな支えになります。
それ自体は悪いことではなく、ちゃんと積み上げてきた証でもあります。

ただ、それだけを自分の価値のすべてにしてしまうと、役割が変わったとき、急に足元が揺らいでしまうでしょう。

組織の中で長く役割を果たしてきた人ほど、組織の外に出たとき、「自分は何をしたい人なのか」を、あらためて問われることになります。

だからこそ、40代のうちから、会社の外にも小さなWILLを持っておく意味があるのです。
それは老後の準備というより、今の毎日を惰性にしないための備えと言えるかもしれません。

小さくても、火種を消さない

転職しなくていいのです。
今の会社で責任ある仕事を続けることにも、十分すぎるほどの価値があります。

ただ、MUSTとCANだけで、一日一日を埋め尽くさないでほしいと思います。

WILLは、派手に燃え上がる必要はありません。
消えそうになったら、ほんの少しだけ薪を足せばいい。それだけでいいのです。

40代のWILLは、人生をひっくり返すためのものではありません。
MUSTとCANだけで埋まりがちな毎日を、惰性だけで終わらせないための、小さな火種です。


あなたが今も消したくない、小さなWILLは何ですか。

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