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【台湾の面白い建物】綠美圖

2025年の暮れ、台中SANAAの設計した綠美圖が完成したというニュースが流れました。SANAAは妹島和世西沢立衞による建築ユニット、綠美圖というのは、緑と美術館と図書館を合わせた造語です。緑はともかく、美術館と図書館の機能を掛け合わせた、新しい空間的にも優れた施設として案内されていました。

2026年1月の末に、隣に完成した台中水湳國際會展中心と合わせて見学に行ってきました。

【外観】

この建物は、外観のデザインはとてもシンプルです。鉄骨造の上に、金属パネル、ガラス、エキスパンドメタルを組み合わせています。これは、滅多にみない建材の選択です。SANAAの設計の実績をもって、この様な提案が通るのでしょう。
これらの建材を用いて作った6つの四角いヴォリュームと1つの丸いヴォリュームで室内が構成され、その隙間にスロープやハイサイドライトなどの空間装置を挿入することでとてもユニークな内部空間と動線を作り出しています。
このシンプルな外観と、変化に富んだ内部空間のコントラストが、この建物の特徴だと思います。

外観はこの様なグレー一色、金属パネルとエキスパンドメタル、ガラスの組み合わせのいくつかの箱です。
館名板も1枚の金属パネル。ミニマリストの設計です。

【エントランススペース】

また、この建物は一階がとても広い外部空間になっているのももう一つの特徴です。まるでル・コルビュジェのサヴォア邸の様に、2階のスラブは鉄骨の柱で持ち上げられ、ピロティー状に計画されています。
この、室内か屋外かよく分からない、曖昧な設えの空間を作りたかったのかなという気がしました。

ここは、一階の共通エントランスです。
しかし、ガラススクリーンで仕切られているのでまるで室内の様です。
エントランスに設けられた巨大な水盤。
この様な水盤を屋外にはよく見ますが、室内に設けるということが画期的です。
ハコとハコの間の隙間の空間。
ここでは屋外空間を螺旋のスロープで繋いでいます。
奥に見えるエスカレーターが、
図書館フロアへのアプローチです。
円筒のヴォリュームは巨大なスロープになっています。
螺旋状になっていることが分かります。
左上に廊下が吊られています。

【図書館】

図書館エリアは、下の写真のようにとても広々とした印象でした。僕のような本の虫には本が少ないと見えるのですが、どうもこの新しい図書館は閉架書庫にたくさんの蔵書を置いていて、開架書庫に置いてある本はごく一部なのだそうです。
現代社会は、書籍の電子化が進んでいるために、電子資料を充実させ、図書館にはとにかく人に来てもらうために、本による圧迫感を低減させ、ゆったりとした空間を作って人を呼び込むためのスペースとする。その様な意図なのだそうです。

この様な図書館なスタイルは、僕の様に目的もなくただただたくさんの本のページをめくりたいという人間にはとても物足りないです。何しろ、ざっと見たところ、僕の琴線に触れる本が一つもないのです。僕は書籍の山に囲まれている図書館の方が好きです。

図書館の展示エリア。
ヴォリュームの隙間に配置されたエスカレーター。
電子メディアの展示室。
図書館書架エリアの設え。
図書館エリアの局部吹き抜け。手摺の鉄板を構造体として使っているものと思われます。
この変わった天井はよく見るとパンチングメタルで穴が空いています。
空調の吹き出し口の処理と思われます。
この写真の様に、フロアの大きさに対して書架の数がとても少ないのが、この図書館の特徴です。

【美術館】

美術館のエリアもとても広々としていました。但し、展示物の準備はこれからといった様子でしたね。この場所がら、台中市民のための美術館として用いられるのでしょう。

美術館エリアに向かうブリッジ。
美術館エリアの様子。とてもがらんとしています。
美術館エリアのスロープ。
吹抜に設けられたインスタレーション。
インスタレーションの巨大さが分かります。

動線計画の問題点

この美術館/図書館は、各所に吹抜けとそこに階段やスロープ、エスカレーターを設けて、立体的にとても面白い動線を計画していることが特徴です。しかし、この動線が公共施設の管理とセキュリティー上の問題なのでしょう、通行止めになってる部分が何カ所かありました。
この様な問題は、クライアント側のこの様な施設を建設する際のコントロールがうまくいってなかったのだろうという気がします。この様な動線を作っても使われないのでは、あまり意味がありません。

円筒の中のスロープは通行止めになっていました。

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