大陸工程と殷之浩
台湾には、たくさんの外省人系の会社があります。僕はずっとこういう会社は国民党系の国営企業上がりで、コネを頼りに仕事をとってきていて、技術的には評価すべきところはないのだろうと考えていました。
それが、ある友人の話を聞いて、それは一方的な思い込みで、外省人系の会社でも、きちんとした技術力をベースに真摯に施工業務に務めている会社があると知りました。
大陸工程という施工会社
この友人は、かつて"大陸工程"という営造会社に勤めていました。そして、この会社での様々な品質管理手法について教えてくれました。驚いたことに、この台湾の営造会社は、とても厳密でレベルの高い建設工事を行なっています。
彼は、この会社での経験をとても誇りを持って話ししてくれるのですが、それは最もなことだと、僕も今は考えています。それは、日本のスーパーゼネコンと比べても遜色のない仕事ぶりであると僕には思われます。
現在、中山北路にあった國賓飯店は解体され、新たなホテルとサービスアパートが計画され建設中です。このプロジェクトの施工会社は、日本の鹿島建設の台湾現地法人である中鹿営造と、この大陸工程のJVとなっています。
国賓飯店のオーナーは、台湾でも最高級のホテルとサービスアパートメントを建てるための台湾側の施工会社として、大陸工程を選んでいるのです。それは、現在台湾の建設業界では、大陸工程は品質の面で一目置くに値する会社であると評価されているという証しでしょう。
例えば、1973年に建設された圓山大飯店もこの大陸工程が施工したそうです。国民党統治下の台湾でその基礎を築き、現在の台湾でもその高度な建築技術によって名を馳せている施工会社が、大陸工程です。
Wikipedeliaでの大陸工程のスレッド
殷之浩
この友人は、この大陸工程の創設者のことも教えてくれました。
この会社の創設者殷之浩は、浙江省の出身で、国立交通大学で土木を専門に学んでいました。そして、卒業当初は鉄道関係の会社に就職しています。その後、第二次世界大戦下の四川省で、鉄道建設工事を請負う会社として大陸工程を設立したそうです。
ですので、公共土木工事を厳密に行うためにはどの様な会社の組織作りと、システムを構築したら良いか、その様な課題に腐心したとこのと。
そして、この会社が、蒋介石の台湾への移転と共に台湾にやってきた。そして、その科学的に厳密な態度で、品質にこだわって建物を建てていくという姿勢を貫き続けた結果、現在の台湾で地元営造会社の雄としての地位を確立している。その様なことなのだそうです。
国民党と一緒にやってきた人材
僕は、この友人のこの様な話を聞いて、大陸系の人材にも優秀な人達がいて、現在の台湾の社会の基礎を作ってきたのだと、認識を新たにしました。
また、中国のこの様な建設施工会社が、鉄道の建設会社の経験をもとに発展してきたということは、他の事例でも耳にしました。台湾で活躍した建築師には、同じように土木出身で鉄道会社での経験を元に、台湾での建築設計業務に勤しんだ人もいるそうです。
これまで僕は、大陸系の会社というのは、国民党と癒着して戒厳令下で甘い汁を吸い続けた、前近代的な会社ばかりと考えていたのですが、決してそんなことはない。そんなふうに決めつけることは、かえって台湾の社会の真実を間違って理解することになると反省しました。
