映画感想 「ザ・ビーチ」ダニー・ボイル監督 2000年公開 2026年4月23日

おおよそのあらすじ

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タイのビーチリゾートをさらに有名にした作品。欧米の若者たちが自分だけの特別な経験を求めて熱帯リゾートにやって来るが、みな自分の枠から抜け出せずに、似たような経験をしている。主人公リチャードはたまたま知り合った男から楽園の地図を手渡され、孤島の楽園に辿り着き、そこでいくつかの経験をする。

私の印象

バンコクの安宿街やビーチリゾートの雰囲気がよく出ている。欧米人は異文化の中に、全く隔絶した自分たちの文化を作り上げる。どこの国に行っても似たり寄ったりである。やはり安心なのだと思う。かつ自分たちの文化が世界一という意識もあるのかも知れない。

映画中の楽園コミュニティーも、私から見ると地元民とは隔絶した欧米文化を作り上げているように思う。

コミュニティー内の生活も、地元の文化・自然の生態系を活かした生活・技術の言及はなく、タイの孤島はただの借景に過ぎなかった。

もちろん映画の主題はそんなところにはないだろう。主題は、理想的なコミュニティーに見えても、弱者にしわ寄せを押し付けて成立している。弱者以外の人たちはそれを見ないことにして快適さを維持している。快適さだけを求める人が作るコミュニティーとはそのようなものだ、であろう。

今では当たり前のことだが、当時は多くの人がこれに気付いてなかったのかも知れない。

公開された当時、日本でも話題になった。タイおたくの私は気になったが、リゾートビーチの話だと知って興味を失った。今回、監督に興味があったので観た。

自殺 ?したダフィは異端としてコミュニティーから排除され、追放されたみたいだが、追放されると楽園の場所を他者に拡散する可能性がある。それでは元も子もなく、そこが不可解。死に方も不可解だった。ダフィの存在に大した意味はなく、リチャードの道案内役としてのみ登場した可能性がある。

コミュニティーのリーダーのサルは仲間を殺してまでも自分の作り上げたコミュニティーを守ろうとする。そのことを知ったメンバーたちはコミュニティーから出て行ったが、今までの自分たちの行為には全く無自覚で何の反省もない。また似たようなコミュニティーを作る可能性がある。
しかしもう少しコミュニティーの枠を広げて考えれば、私たちの国も似たようなものだろう。多数派の快のために、少数派に矛盾・不条理を押し付ける。途上国から安い労働力で作られた安い製品を買いあさる。歯向かえないアメリカ、と仲の良いイスラエルがガザを空爆しても、自国の利益を考えてパレスチナ人を見捨てる。生活基盤を支えるエッセンシャルワークを非正規や、外国人労働者に低賃金で任せる。
と考えれば、構造は似たようなものだと思う。
映画のコミュニティーは外部からの流入を防ぐために秘密保持を強要したが、私たちの国は富を守るために外国人の流入を阻止している。どちらもコミュニティー、またはその多数派を守るために、外部に付けを払わせている。