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ヨロン島ホステス日記〈5〉ワイタンデ


今宵でこの病院ともオサラバか、と思うと感傷的になる。熱で意識が飛んでいたから、あんまり思い出はないけれど。

なかなか眠れなくて、ロビーの椅子に座っていた。背後から老婆に何かよくわからない言葉で話しかけられてびっくりした。深夜の老婆は怖い。しかも何を言っているのかわからない。あちこち指差して一生懸命何かを聞いてくるので、どこから来たのかを聞いているのかと思い「内地から」と言ってみると「あっしぇ、ワイタンデ!」と言われる。その後も「ワイ、ワイ、かわいそうにねぇ…」と言うので、わざわざヨロンにまで来て病気になって…と同情してくれているのかと思った。それにしてもワイ…というのは何なんだ。沖縄が近いから老人もホワイ?みたいな感じで英語を話すのだろうか。

今度は私の胸を指差して何か聞いてくる。名前かな?「サトルです」と答えると特大の「ワイタンデ!」が出た。
「ニセ?ワイ!チュラメーラビ?ニセ?」なんだかうろたえている。なにがいけなかったのかわからないが、とりあえず「ワイタンデ!」はビックリした時に使う感嘆詞だということがわかった。

老婆はうろたえながら自分の病室に向かう。思ったより早く動くな。老婆の病室からはさらに三人の老婆が顔を出し「ワイ」「ワイタンデ」と囁きあっている。外国並みに言葉が通じないんだな…と知る。マダムやポセイどんぐらいの年代ならテレビも見るだろうが、お年寄りとはかなり苦労しそうだ。それはそれで旅労働の楽しみとしよう。
働くバケーションが明日から始まる。


            (つづく)

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