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わたしとものづくり。〜おとな編〜

刺しゅう作家として活動をしていると、
たまに「美術系やデザイン系の学校に行かれていたんですか?」と聞かれます。

答えはノー。

それでも作家として活動できているのは、前述した幼少期の体験と、これからお話しする社会人としての経験があったからだと思います。


【高校生の進路問題】

高校生の頃の私は、まだ自分のやりたいことが見つかっていませんでした。
勉強することよりも、実践する方が向いていると感じていたこと、そして経済的な理由もあり、進学ではなく就職という進路を選びました。

18歳の私は、「やりたいことが見つかった時に、また学校に行けばいい」と、少し妥協しながら将来を眺めていたように思います。

就職活動が始まると、高校の求人といえば
事務、工場、接客業のほぼ三択。

「事務は向いていなさそう」
「土日休みの方が進学した友だちとも遊べそうだし、生活リズムも決まっていてなんとなくやっていけそう」
そんな理由から、結果的にオフィス家具を作る工場に就職しました。

【工場でのわたし】

「わたしとものづくり。〜こども編〜」でも書きましたが、私は昔から器用に何かを作れるタイプではありません。

実際に仕事が始まると、ビスの頭をつぶしてしまったり、まっすぐ組み立てができなかったりと、毎日が失敗の連続で、とにかくしんどい思いをしました。
それでも、真面目な性格ではあるので(少し古い考えですが)「3年は頑張ろう」と決め、毎日黙々と製造の仕事に励んでいました。

ドライバーとハンマーを片手に、やったことのない苦手な作業をくり返す日々。
その中で、「苦手なことでも続けていればいつかは上達する」ということを20代前半で悟りました。

また、既製品を作る工場だからといって、機械だけが作っているわけではありません。
そこにはちゃんと人の手が入り、私自身もその中でこだわりを持ちながら仕事に向き合っていました。
だからこそ、そのこだわりをちゃんと買い手の方に伝えたい。
できることなら、一から自分でデザインしてものづくりがしたい。
そんな気持ちが、少しずつ芽生えていきました。

【未来への葛藤】

社会人になって3年。
周りの友だちが大学を卒業し、それぞれの夢に向かって羽ばたいていくタイミングだったことも大きかったと思います。
この頃にようやく、
「私はこのままでいいのか?」
「何か勉強をしてみたいな」
と思うようになりました。
少し興味があった、美術系の大学や専門学校が気になり、今の仕事を続けていくなら
空間デザイン?
インテリアデザイン?
それとも何かを作る系?
といくつか調べてみた学校の資料を取り寄せてみました。
しかし、まだ学びたいことがはっきり定まっていたわけでもなく、仕事を続けながら学ぶ覚悟もその頃はありませんでした。
転職したいなと思っても、求人票には大卒以上の条件の文字。
それに絶望して自暴自棄になっていた部分もあったと思います。
なので、その時もまた踏み出す勇気まではなく、勉強の機会は先延ばしになってしまいました。

それでもこの頃から
「30歳くらいで始めて、おばあさんになる頃には“職人”と呼ばれるくらい、何かを極められるものを見つけたい」
そんなことをぼんやりと考えはじめていました。

結局いろんなタイミングがあり、27歳まで工場でオフィス家具を作り続ける日々から、29歳でハンドメイド作家としての活動をはじめることになります。

あの時ぼんやりと考えていた
「何かを極めるものを見つけたい」という想い、
そして、今なぜ刺しゅう作家として活動しているのか、
それはまた次のお話で。


【おまけ】

工場で働いていた頃は早く辞めたくて仕方なかったですが、この経験があったからこそ、今の作り方に役立っている部分がたくさんあります。
そして、重いものを運んでいたことで力持ちにもなり、今では搬入の際の荷物運びも楽々とこなせています。
なので、やはり人生に無駄なことは一つもないのだなと感じる今日この頃です。

noteのノート(実物)は出店の際にぜひご覧ください。

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