JIJの2026年前半のグローバルな活動を振り返る
JIJにおける2026年1月から5月までの活動について、私が日々LinkedInで発信してきた内容を振り返りながら、背景や狙いも含めて解説していきたいと思います。
2026年前半は、英国・欧州・日本・米国を横断しながら、量子コンピューティングの社会実装や国際連携、そして組織拡大に向けた重要な動きが数多くありました。
単なる出来事の列挙ではなく、「なぜその活動が重要だったのか」という視点も含めて整理していきます。
1. 英国における国家級ユースケース案件の受注
2026年前半における大きなトピックの一つが、英国での案件受注です。
JIJは、英国の国家ユースケース開拓プロジェクト「SparQ」において、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)およびORCA Computingとともにプロジェクトを推進しています。
この案件で扱っているテーマは、「ユニットコミットメント問題(Unit Commitment Problem)」と呼ばれるものです。これは、発電所をいつ起動・停止させるべきかを最適化する問題であり、エネルギー分野における極めて重要な大規模最適化問題として知られています。
電力需要、発電コスト、起動停止コスト、送電制約など、多数の条件が絡み合うため、従来計算でも非常に難易度が高い問題です。
量子コンピューティング、とりわけ量子最適化技術が社会実装に向かう上で、このような「実際の産業課題」に適用されることには大きな意味があります。
本案件は、単なるPoCではなく、国家規模のユースケース開拓という文脈の中で進められている点においても非常に重要な取り組みだと考えています。
2. 欧州・日本連携の新たな挑戦~Q-NEKOプロジェクト始動とヘルシンキでのキックオフ~
次に、欧州と日本の国際連携案件についてです。
2026年には「Q-NEKOプロジェクト」が正式に開始され、ヘルシンキにてキックオフミーティングが開催されました。
このプロジェクトは、欧州と日本のデジタルパートナーシップの枠組みの中で進められる非常に重要な取り組みです。
個人的にも、この案件には強い思い入れがあります。
昨年から、内閣府や産総研の皆様と連携しながら準備を進めてきたプロジェクトであり、多くの議論や調整を経て、ようやく本格始動に至りました。
量子技術は、単独の国や企業だけで完結するものではなく、国際的な研究・産業エコシステムの形成が極めて重要です。
その意味で、欧州と日本が共同でプロジェクトを立ち上げ、具体的な協力関係を前進させていること自体に、大きな意義があると感じています。
ヘルシンキでのキックオフは、そうした国際協調の象徴的なスタート地点となりました。
3. JIJスタッフの活躍
2026年前半は、JIJスタッフの活躍も非常に印象的でした。
特に、Ross Grassie と Louis Chenの活動は多方面で注目を集めています。
メディア出演やピッチイベントへの登壇に加え、研究・論文交換などの活動においても存在感を発揮していました。
量子分野では、単に技術を開発するだけではなく、コミュニティ形成や知識共有が非常に重要です。
Rossは、以前から所属しているQuantum Software Labでの活動も継続しながら、英国量子コミュニティへの貢献を続けています。
研究・産業・コミュニティを横断しながら活動できる人材は非常に貴重であり、JIJとしてもそのような活動を大切にしています。
組織としての成長は、メンバー一人ひとりの挑戦と活躍によって支えられていると改めて感じています。
4. ドイツ・ハンブルク拠点設立に向けた準備
現在、JIJではドイツ支社設立に向けた準備も進めています。
詳細は近々正式に公開予定ですが、それに伴い、今年はすでに複数回ハンブルクを訪問しています。
ドイツは、欧州の中でも産業基盤が非常に強く、量子技術との接続可能性が大きい地域です。
特に製造業、物流、エネルギーなど、量子コンピューティングの応用先となる産業が数多く存在しています。
欧州展開を本格化させていく中で、ドイツは重要な拠点になると考えています。
現地での議論やネットワーキングを通じて、今後の可能性を強く感じる時間となっています。
5. アメリカ8都市を巡る対話
3月には、およそ1か月間アメリカに滞在し、8都市を巡りました。
この滞在では、量子関連企業・研究機関・コミュニティとの協議や商談、ヒアリングなどを数多く実施しました。
また、水平特化型コミュニティへの参画可能性についても、多くの議論を行いました。
アメリカの量子コミュニティは非常にダイナミックであり、地域ごとに特色があります。
技術だけではなく、投資、エコシステム形成、人材流動性、政策など、多面的な視点から量子産業が形成されていることを改めて実感しました。
実際に現地へ足を運び、直接対話することでしか得られない情報や感覚も非常に多く、今後の事業戦略においても大きな学びとなる時間でした。
6. PR・ブランド戦略のアップデート
最後に、PRおよびブランド戦略についてです。
2026年前半、JIJは米国物理学会APSより優秀企業として選出いただき、紹介動画も公開されました。このような形で評価いただけたことは、大変光栄に思っています。
また同時に、JIJのビジュアルアイデンティティ(VI)の刷新についても大々的に発表しました。
量子業界は急速に進化しており、企業としての見せ方やブランドのあり方も非常に重要になっています。
今回のVI変更は、単なるデザイン変更ではなく、「JJがどのような方向性を目指すのか」を表現するためのアップデートでもあります。
技術だけでなく、メッセージや世界観も含めて、よりグローバルに発信していける組織を目指していきたいと考えています。
