WTI原油再上昇でドル高加速

米政府、カーグ島空爆、WTI原油価格99㌦示現
トランプ米政権は、イランの原油輸出拠点で同国経済の「生命線」とされるペルシャ湾北部カーグ島を空爆。カーグ島はパイプラインでイラン各地の油田とアクセスしており巨大な貯蔵施設や石油輸出ターミナルがある場所でタンカーに日量600万バレル超の原油を積み込むことができます。イラン産原油の9割がカーグ島から輸出されています。つまり、ここをたたくことでイラン産原油の輸出が困難となりイランは外貨収入の術を失うことになります。
WTI原油価格は3/13㈮週末、99㌦台へ上昇。トランプ政権がカーグ島の空爆に踏み切ったのはNY市場の場が引けてからでしたが、市場はその可能性を織り込んで動いていたと思われます。
また、トランプ政権は3/12㈭に原油価格上昇を抑えるため、対ロシア制裁を緩和、ロシア産原油の購入を一時的に認めると発表していますが、原油価格抑制効果は見られませんでしたね。

北海ブレント先物は103.14ドルで引けています。100ドル超えはロシアのウクライナ侵攻があった2022年8月以来。
米国株は全面安の様相、米金利上昇止まらず
ダウ平均、S&P500はいよいよ200SMA(ピンクのライン)に迫る下落となってきました。米株はトップアウトしたのか?それとも調整後は絶好の買い場なのか?

下段 NASDAQ ラッセル200 ダウ輸送株
この相場で大手ヘッジファンドらの損失が膨らんでいるとも報じられています。
ヘッジファンドらのポジションは2022年来で最高レベルの空売りをしているという指摘もありますので、仮に、突然の戦争終結ともなれば壮大な踏み上げ相場がやってくる可能性も否定できません。
JUST IN: Hedge funds are shorting stocks at the "highest level" since 2022
— Kalshi (@Kalshi) March 11, 2026
米金利上昇も止まりません。すなわち米国債売りです。

超長期債(30年債)はトランプ大統領就任時のレベルをうわまわってきました。トランプ政権は大規模減税や関税政策に加え国防費拡大など財政赤字が拡大する政策を掲げていますので金利上昇は利払い負担増によるさらなる赤字拡大につながるわけで今後の政権の政策余地が狭まってしまいます。
米国が嫌気されて米国債が売られているのか、原油高による将来のインフレリスクを懸念しているのか、ともかくこの金利上昇を止めなければ米国株はさらなる下落を強いられる可能性が大きいですね。
ドル独歩高続く、今週FOMCだが・・・
原油高は原油決済通貨であるドル需要を高める、ということもありドル高が続きます。他通貨がすべて下落していますのでドル独歩高。あらゆるリスクアセットのキャッシュ化=すなわち有事のドル買いになっているという側面もあろうかと思います。

【3月FOMC予想】
今週3/18㈬はFOMCです。2月の雇用統計でNFP(非農業部門雇用者数)は何とマイナスでしたが、原油高などインフレ再燃への警戒もあり、金利は据え置かれるとの予想が90%を超えています。
Fed Eyes 'Higher for Longer' as Sticky Inflation Collides with Cooling Labor Ahead of March FOMC | FinancialContent
~インフレは依然として頑固に「粘着性」を保っている。コアPCE(個人消費支出)は現在2.8%前後で推移しており、FRBの目標である2%を大幅に上回っている。さらに、2月に導入された新たな15%の世界的な関税制度や、1バレル87ドルを突破して急騰する原油価格が、状況を複雑にしている。
今回のFOMCは「金利据え置き」よりも ドットチャートが主役です。年内、何回利下げが行われるか?
~10年物国債利回りは4.2%近辺で推移しており、2026年にさらなる積極的な利下げが行われることに対し、市場が懐疑的であることを反映している。もし「ドット・プロット」が、12月に予測された年内の利下げ1回という中央値から、残りの期間の利下げゼロへとシフトすれば、リスク資産全般にわたる大幅な価格再評価を引き起こす可能性がある。
SEPの中立金利の代用となる長期金利見通し(longer‑run)が上がると、そもそも米国の中立金利が上昇している=もう低金利時代にはもどらないということが確認され、これがマーケットに大きなインパクトを及ぼすかもしれません。
~2026年3月のFOMC会合が持つ広範な意義は、「0~2%の金利時代」の終焉にある。もし『経済見通し要約』で「中立金利」(r-star)が引き上げられれば、それは2008年以降の超低金利時代が公式に終わったことを世界に示すことになる。
2025年12月時点のSEPでは 長期金利見通し(longer‑run)中央値は3.0%です。これが上がっていたら、米株の一段安の可能性もあるかも。そしてドル高がさらに加速します。
ドル円相場、今年2026年高値更新、韓国と共同で懸念表明

ドル高なので、ドル円上昇が止まりません。これは韓国も事情は同じですが、日韓両国が財務対話開催後に、円安・ウォン安に懸念を表明、適切な対応を取る方針を示した、と報じられています。
📰急速なウォン安・円安に深刻懸念、無秩序な動きに適切対応-日韓財務相
日韓両国は14日、都内で「日韓財務対話」を開催した。終了後に発表した共同プレスリリースで、最近の急速なウォン安・円安に深刻な懸念を表明。過度な変動と無秩序な動きに適切な対応を取る方針を示した。
原油高が沈静化しないことには介入効果は高くないと思われ、できることは口先介入程度かと思われます。通貨安は日韓だけではありませんので、しばらくは原油価格とドルの方向に振り回されるということです。このような有事に単独介入を行っても効果は限定的と考えられます。米国が協調で介入に踏み切る可能性は極めて低いと思われます。
今週は日銀金融政策決定会合もノーイベントか
今週は3/17㈫-18㈬に日銀の金融政策決定会合があります。 市場コンセンサスは現在の0.75%の政策金利は据え置かれる予想。
そもそも日本の経済指標に力強さがない中、インフレ伸び率は明らかに鈍化基調。有事勃発で原油高が日本経済に及ぼす影響を見極められぬ中で利上げはないということですが、市場には4月の利上げ観測は残っています。2026年の春闘は前年に続き高い賃上げ率が見込まれることから日銀が重視する「賃金→物価」の好循環が続く可能性をもって日銀が利上げする、との見方です。円安阻止のために利上げに動かざるを得ない、と指摘する向きも。
確かに今、あまりに市場にハト派的メッセージを送ってしまうと、ドル高というだけではなく円売りも進んでしまうリスクが高いため、利上げをする時期はともかく、発言としては何時でも利上げできるサイクルにあるというファイティングポースを示し続けるといった見方もありますね。
政策の変更は見込まれていないため、植田総裁の会見に注目です。
18日、高市首相が訪米、注目点は
国際政治・外交・安全保障の分野で世界的に最も権威のあるシンクタンクのひとつChatham House(チャタムハウス)によると、高市首相は、日本の石油依存と中東情勢の悪化が日本経済に深刻な影響を与えていることを、トランプ大統領に率直に伝える姿勢を示す、と予想されています。
📰高市がトランプに挑む |チャタムハウス – 国際問題シンクタンク
トランプ大統領は「イランへの強硬姿勢」を支持してほしいと期待しているとみられますが日本は中東依存度が高く、戦争長期化は致命的。 日米の立場のズレをどう調整するかが最大の焦点とみられます。
また、中国との関係。台湾を巡って中国との摩擦が生じており、米国との連携強化が必要な日本の立場をトランプ大統領に理解してもらうことも重要。4月に米中首脳会談が予定されており、日本の立ち位置をしっかりと示しておく必要がありますね。
そもそも今回の訪米、首脳会談は日米同盟の再調整の意味合いが強いものでしたが、イラン、台湾と問題が増えてしまい難易度の高い会談となりそうです。防衛安全保障問題でも日米同盟を再確認する必要がありますが、自衛隊の中東派遣要請に安易に応えるわけにもいきません。
今週は中銀ウィーク、ECB(欧州)やBOE(英国)RBA(豪州)会合も
📰世界の中銀、原油急騰の中で相次ぎ会合へ-インフレ警戒で判断難しく
市場は、米国とイスラエルがイランを攻撃する直前まで、英中銀が3月に利下げを行う確率を約80%とみていたが、現在は据え置きが予想されている。
ゴールドマン・サックスなどのエコノミストらは年内の利下げを引き続き予想しているが、市場はむしろ利上げの可能性を織り込み始めている。
ユーロ圏の経済成長は英国に比べてやや底堅い。ECBは19日の会合で政策金利を据え置く見通しだが、市場ではいずれ対応を迫られるとの見方が強く、年内1、2回の利上げを織り込んでいる。一方、ブルームバーグが実施したエコノミスト調査によれば、インフレの脅威が再燃している中でも、ECBが2027年まで政策金利を据え置くとみていることが分かった。年末までに利上げがあると予想しているのは、回答者のわずか7%だった。
注目は豪州、RBA理事会。インフレが強く利上げ観測が高まっています。
市場が予想する来週の0.25%利上げの確率も75%に上昇。中東情勢の緊迫化を受けた原油高でインフレリスクが高まっているとの見方が出ている。
RBAは昨年3回の利下げを実施したが、インフレの再加速を受けて先月、政策金利を3.85%に引き上げた。1月の総合インフレ率は3.8%、トリム平均値は3.4%に上昇しており、いずれも目標レンジ(2─3%)を上回っている。
来週の主な予定
◆3/16(月)
中国2月小売売上高(11:00)
中国2月鉱工業生産指数(11:00)
中国2月固定資産投資(11:00)
米3月ニューヨーク連銀製造業景気指数(21:30)
米2月鉱工業生産指数(22:15)
米2月設備稼働率(22:15)
米3月NAHB住宅市場指数(23:00)
NVIDIA GTC AIカンファレンス(カリフォルニア・サンノゼ、~3/19)
◆3/17(火)
1月第三次産業活動指数(13:30)
独3月ZEW景況感指数(19:00)
米2月NAR仮契約住宅販売指数(23:00)
豪州中央銀行会合(12:30)
FOMC(~3/18)
◆3/18(水)
日銀金融政策決定会合(~3/19)
2月貿易統計(8:50)
2月首都圏新規マンション販売(14:00)
カナダ政策金利発表(22:45)
米2月生産者物価指数(PPI)(21:30)
パウエルFRB議長会見(3/19 3:30)
[決算] マイクロン(3/19 5:00~)
◆3/19(木)
1月機械受注(8:50)
日銀金融政策決定会合 植田日銀総裁会見(15:30)
スイス政策会合金利発表(17:30)
ECB定例理事会 金利発表(22:15:会見22:45)
BOE政策会合金利発表(21:00)
米3月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(21:30)
米1月新築住宅販売件数(23:00)
日米首脳会談予定
◆3/20(金)
春分の日、日本は休場

