睡眠負債で損してない?2分で眠りに落ちる米軍式リラックス法を実践
布団に入ってから30分、1時間経ってもまぶたが冴えたまま。明日も早いのに、気づけばスマホの画面だけがギラギラと目に焼き付いている。そんな夜を何度も過ごしてきました。私はもともと船に乗る仕事をしていて、独立して個人事業主になった今も、妻と3人の子どもを育てる5人家族の大黒柱です。夜遅くまで仕事のことを考えてしまい、布団の中でも頭が止まらない。そんな私と同じように「眠りたいのに眠れない」というもどかしさを抱えている方に、今日は私が実際に試して手応えを感じた入眠法についてお話しします。
この記事で分かること
睡眠不足が仕事のパフォーマンスにどれほど影響するかという最新データ
成功率96%と言われる「2分で眠りにつく」米軍発のリラックス法の手順
なぜこの方法が寝つきを良くするのか、自律神経とホルモンの観点からの理由
焦らず続けるためのコツと注意点
参考: 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 睡眠時間と生産性・注意力に関する研究データ ロイド・バドウィンター著「Relax and Win」(2012年)
眠れない夜が静かに積み上げている代償
6時間睡眠は思っている以上に危険信号
「まあ6時間くらい寝ていれば大丈夫」と思っていませんか。私自身もそう思っていた一人です。ですが、ある研究では、睡眠時間が6時間の人は7〜8時間眠っている人に比べて生産性が19%も低いという結果が出ています。さらに睡眠時間が5時間未満になると、生産性は30%近くも落ち込むというデータもあります。同じ時間働いているつもりでも、頭の回転そのものが鈍っているということです。
注意力や反応時間に関して言えば、睡眠時間が6時間の状態はお酒を数本飲んだ後と同じような反応になるとも言われています。4時間睡眠ともなると、その差はさらに開くそうです。眠っているつもりで、実は酔っ払っているのと変わらない状態で仕事をしていたのかと思うと、正直ぞっとしました。
厚生労働省が公表している「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は、男性で37.5%、女性で40.6%にのぼります。特に働き盛りの世代でその割合が高く、4割以上を占める年代もあるとされています。つまり、眠れない・眠らない生活を送っているのは、決して自分だけではないということです。
同じ調査では、睡眠時間が6時間未満の人は、6時間以上眠れている人に比べて死亡リスクが1.12倍高いという報告もあります。数字だけを見ると小さく感じるかもしれませんが、これが何年も積み重なっていくと考えると、決して軽く見過ごせるものではありません。
睡眠不足がつくる悪循環にご用心
睡眠不足が怖いのは、パフォーマンスが落ちるだけでは終わらないところです。睡眠が足りていないと、脳の中で食べ物に対する報酬系の働きが活発になり、お腹が空いていないのについ食べ物に手が伸びてしまうという研究結果もあります。私も忙しい時期に寝不足が続くと、夜中に無性に何かを食べたくなることがあり、まさにこれだと感じました。
さらに厄介なのは、ストレスと睡眠の関係です。ストレスを受けると、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌されます。このコルチゾールは本来、睡眠中にも適量分泌されて心身を守る働きをしているのですが、睡眠不足が続くとその分泌量が乱れ、日中のストレスの影響をより強く受けやすくなるとされています。つまり「眠れない」→「ストレスに弱くなる」→「さらに眠れなくなる」という悪循環に陥ってしまうのです。
この悪循環を断ち切るには、朝は日の光を浴びて体内時計を整え、日中は活動的に過ごし、夕方以降は少しずつペースを落として、夜は眠りに向けたリラックスタイムを作ることが大切だと言われています。急ブレーキで止まるのではなく、徐々に減速しながら止まるようなイメージです。とはいえ「言うは易く行うは難し」で、具体的に何をすればいいのか分からない方も多いはずです。そこで私が実際に取り入れたのが、次にご紹介する入眠法でした。
私が試した「2分で眠りに落ちる」米軍発のリラックス法
誕生の背景と成功率96%という数字
この方法は、短距離走のコーチとして知られるロイド・バドウィンター氏が2012年に出版した著書の中で紹介したものが元になっています。もともとはアメリカ海軍の飛行訓練学校が、パイロットの入眠を改善するために取り入れた方法だそうです。
この方法を6週間続けたパイロットのうち、96%が椅子に座ったまま、しかも機関銃の発射音を聞かせられながらでも、コーヒーを飲んだ後でも、2分以内に眠りにつけるようになったという記録が残っています。極度の緊張状態にあるパイロットでもここまで効果があったというのですから、これは試してみる価値があると思い、私も実践してみることにしました。
実践してみた手順
まず椅子やベッドに座った状態で、顔全体の力を抜くところから始めます。目を閉じてゆっくり深く呼吸をしながら、おでこの筋肉から順に、頬、あご、口元と、顔全体をゆるめていきます。最初は「力を抜く」という感覚自体がよく分からず、逆に力が入ってしまいました。正直なところ、思っていたよりずっと難しかったです。
顔の力が抜けたら、次は肩と手です。肩から力を抜き、首から背中にかけての僧帽筋の緊張をゆるめて、椅子やベッドに体を沈み込ませるようなイメージを持ちます。続いて片方の腕の上部から力を抜き、上腕、前腕、手先までゆっくりリラックスさせ、反対の腕も同じように行います。この間、呼吸は止めずにゆっくり続けるのがポイントです。
胸まわりも、腕の力が抜けていれば自然とゆるみやすくなるとされていますが、私は最初この胸まわりのリラックスが一番苦手でした。そして最後は下半身です。片方の太ももから椅子やベッドに沈み込ませるように力を抜き、ふくらはぎ、足首、足の裏まで順番にゆるめ、反対の足も同じように行います。
体の力が抜けたら、最後は頭の中を空っぽにする段階に入ります。これが一番の難関で、何も考えないようにしようとすると、なぜか好きな食べ物のことなどが次々に頭に浮かんできてしまいました。そんなときは、暗闇の中で心地よく横たわっている自分をイメージしたり、穏やかな景色を思い浮かべたりするとよいそうです。それでもうまくいかない場合は「考えない、考えない」と心の中で10秒ほど繰り返すと、余計なことを考えずに済むと言われています。
なぜこの方法が効くのか、自律神経とホルモンから考える
緊張をほどくことが眠りへの近道
私たちは自分で思っている以上に、日常的に緊張した状態で過ごしています。この緊張状態が続いていると、本来夜になると優位になるはずの副交感神経への切り替えがうまくいかず、交感神経が優位なまま眠ろうとすることになります。これでは、体は「まだ活動中です」と勘違いしたままなので、なかなか寝つけないのも当然です。
この入眠法のポイントは、顔から始めて体の各パーツの力を意図的に抜いていくことで、体の緊張をゆるめ、それにつられて脳もリラックス状態に入りやすくするというところにあります。頭で「リラックスしよう」と考えるだけではなく、体からアプローチするのが特徴です。
眠りを誘うホルモンの働き
眠気を誘うホルモンとして知られているのがメラトニンです。メラトニンは脳の松果体から分泌され、心と体を落ち着かせてスムーズな入眠へと導く役割を持っています。さらに強い抗酸化作用も持っており、体を活性酸素のダメージから守る働きもあるとされています。
このメラトニンは、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンを材料にして、夕方ごろから徐々に作られていきます。ところが、ストレスの多い生活を送っていると、セロトニンを分泌する神経の働きが弱まり、結果としてメラトニンの分泌量も減ってしまうと言われています。夜になっても頭も体もリラックスできないまま、眠りにつきにくい状態が続いてしまうのは、こうしたホルモンバランスの乱れも関係しているようです。
だからこそ、布団に入ってから慌ててリラックスしようとするのではなく、布団に入る前の段階からストレスを手放し、体の緊張をゆるめておくことが大切なのだと感じました。
焦らず続けるためのコツと注意点
「できないこと」を責めない
正直に言うと、私は最初から2分で眠れるようになったわけではありません。顔の力を抜くだけでも一苦労でしたし、頭を空っぽにする段階では、つい仕事のことや家族のことを考えてしまいました。
ただ、この方法において大切なのは「2分で眠れるかどうか」そのものよりも、体と心をゆるめる練習を積み重ねることだと言われています。うまくできなかったからといって自分を責めたり、ストレスに感じたりすると、それがかえって体をこわばらせてしまい、逆効果になってしまいます。眠ることに「頑張る」を持ち込まないことが、実は一番のコツなのかもしれません。
環境づくりも合わせて意識する
この方法の効果をより高めるためには、寝る前の環境づくりも欠かせません。眠る前にお風呂で体を温めたり、軽くマッサージやストレッチをしてほぐしたりするほか、寝室の温度や明るさを心地よく整えることも効果的だとされています。厚生労働省の睡眠ガイドでも、寝る直前まで家事や仕事をせず、寝る前の1時間程度はリラックスする時間を確保すること、スマートフォンなど明るい画面を寝る前に見ないようにすることが推奨事項として挙げられています。
私自身、寝る前についスマートフォンを触ってしまう癖があったのですが、この習慣を見直すだけでも、体の力を抜く感覚をつかみやすくなったように感じています。姿勢についても、仰向けでも横向きでも、自分が一番力を抜きやすい体勢であれば問題ないとされていますので、まずは自分に合った形を探してみるとよいと思います。
眠りに関する悩みは、誰かに相談しにくいテーマかもしれません。ですが、今回ご紹介したように、科学的な裏付けのある方法を知って、少しずつ体に覚えさせていくことで、眠れない夜との付き合い方は確実に変わっていきます。今夜からでも、まずは顔の力を抜くところから、一緒に試してみませんか。
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