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第6話:言葉になる前の時間を、信じてみる

言葉にならない時間が、
思っていたより長く続くことがある。
途中で、
「このままで大丈夫なんやろか」
と不安になる瞬間も、
正直、何度かあった。

何も言っていない。
何も決めていない。
誰にも渡していない。

外から見れば、
止まっているように
見えたかもしれない。
それでも、
ここまで書いてきて、
ひとつだけ
確かになったことがある。
言葉になる前の時間は、
空白ではなかった。

沈黙は、
何もない状態ではなくて、
まだ形を持たないものが
確かに存在している時間やった。
急いで言葉にしなくても、
意味づけを先にしなくても、
時間そのものが、
ちゃんと働いていた。

言葉は、
信じてもらえると、
意外と裏切らない。
外に出されなくても、
評価されなくても、
内側で、
静かに息をしている。

だから、
この先も、
無理に結論を置かなくていい。
渡す日が来るかどうかも、
今は決めなくていい。
言葉になる前の時間を、
そのまま信じてみる。

それは、
何かを先延ばしにすることでも、
立ち止まることでもなくて、
自分の内側と
ちゃんと一緒に歩く、
という選択やと思っている。
ここまで読んでくれた人も、
きっと今、
それぞれの「手前」に
立っている。

それでいい。

言葉になる前の時間は、
誰かに見せるためじゃなく、
自分の中で
生きていてくれたらいい。

この連載は、
ここで一度、
静かに区切ります。
でも、
言葉は、
まだ途中です。

この連載の先で、
「それでも言葉を渡すとしたら?」
という問いについて、静かに書いています。


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