カノンとレオン2 【3分間小説】
【カノンとレオンの続編です】
ショートショートで投稿したカノンとレオンの続編を書いてみました。よろしければ、前作と合わせてお読みいただけると嬉しいです。
前作へのリンクは本編の下に貼ってあります。
【本編】
事件だ!
カノンに彼氏ができてしまった…
暑い夏がようやく終わった秋のことだった。
最近は涼しいし、虫の音が耳に心地いいからカノンと散歩に行くのがとても楽しみだったのに、その楽しみが奪われてしまった。
カノンがセイヤさんと呼ぶその男の人は、週に何回かうちにやって来る。セイヤさんが来る時はカノンは帰ってきても化粧を落とさないから、今日来るんだなって言うのがわかる。そしてその日は僕は散歩に行けない。
「レオン今日はごめんね、明日今日の分も行こうね」決まってカノンはそう言うけど、次の日も行けない時があったりすることがここのところ多い。
セイヤさんは、来ると決まってカノンの作ったご飯を食べる。カノンは三人で食べましょ、と言って僕も呼ぶけど、面白くないからいただきますは言わないで黙々と食べることにしている。
ご飯を食べた後、僕はカノンにヒョイっと抱きかかえられてゲージに入れられる。
カノンは、テレビを見ててね、と僕に言い、賑やかそうな番組を適当に探して音を大きめにして、セイヤさんと部屋に消えていく。
セイヤさんが来るようになって2ヶ月くらい経った。
僕には、なんでだろうと思うことが3つあった。
一つは、カノンはいつもセイヤさんのことをセイヤさんと呼ぶことだ。僕はレオンなのに、セイヤさんはセイヤさんだ。なんで彼氏にさん付けするのだろう?
二つ目は、セイヤさんはご飯を食べていくけど、決して泊まって行かないことだ。二人が部屋に消えて、面白くもないテレビに飽きてウトウトしかける頃、セイヤさんは帰っていく。そして、
セイヤさんが帰るとカノンは少し寂しそうにため息をつく。カノンがため息をつくと僕もついため息が出てしまう。
もう一つは、カノンに土日の出張が入ることが多くなったことだ。今までそんなことなかったのに。そんな時はホテルに預けられる。大きい犬がいるから体の小さな僕は怖くてしかたがない。
疑問は解決しないけど、最近はもう一つ心配事ができてしまった。
もうすぐやってくるクリスマスのことだ。
カノンは12月24 日が誕生日。僕がこのうちに来たのも5年前の12月24日。僕が来て以来、毎年この日は二人で 記念日をまとめて祝っていた。
今年はどうなるんだろう? ホテルに預けられちゃうのかな? だったらやだな…。
そんな気分で毎日過ごしていたら12月24日があっという間にやって来た。ホテルに連れて行かれる気配はない。ホテルに連れて行かれる時は、朝ゲージに入れられて出かけるから、今日はどうやら大丈夫そうだ。
夕方カノンは普段通りの時間に帰ってきた。手に白い小さな箱を持っている。
「レオンただいま。ケーキ買ってきたから後で二人で食べよ」
二人? 今日はセイヤさん来ないのかな。
「ちょっとサッパリしたいから、先にシャワー入ってくるね。待っててね」
扉の隙間から覗いたらカノンは化粧を落としていた。やっぱり今日はセイヤさん来ないんだな。僕は気分がパッと明るくなった。足取り軽くリビングに戻って、カノンが来るのを大人しく待つことにした。
食事の支度ができて「レオン、できたわよ」と呼ばれた。僕は元気よく「ワン!」と返事をして椅子の上にピョンと乗った。
「じゃあ今年も二人でお祝いね」と言ってカノンが乾杯をした。
あれ?なんかあんまり嬉しそうじゃないな。
食事の後、カノンは冷蔵庫からケーキを持ってきた。普段は甘いものは食べさせてもらえないけど、毎年今日だけは食べさせてもらえる。だからこの日は楽しみだった。
「レオン、ここのところ寂しい思いをさせてごめんね」ケーキを箱から取り出してカノンが言った。どう言うことだろう?
「私、セイヤさんと別れるから」ポツリと言った。どう振る舞っていいかわからないから、カノンの膝の上にジャンプして乗った。カノンの瞳がちょっと潤んだ。僕は「クーン」と慰めた。
「何がセイヤよ。聖夜に会えないセイヤなんていらない」カノンが言っている意味が難しくてわからない。
「私にはレオンがいるから大丈夫、ねレオン?」よくわからないけど、ここは「ワン」と言っておいた。
翌日からしばらく様子を見ていたけど、セイヤさんはやってこない。まだ安心はできないけど、カノンが言ったことはホントだったようだ。
寒いけど毎日カノンと散歩に行けるから楽しい。新しい年がやって来た。今年もカノンと一緒にいれますように。
