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内村鑑三著 「代表的な日本人」

「代表的日本人」を小学生・中学生に伝えるときに、いちばん大切にしたいのは、「すごい人の話」として終わらせないことです。この本に出てくる人物たちは、確かに歴史に名を残す立派な人たちですが、内村鑑三が本当に伝えたかったのは、「特別な人の話」ではなく、「私たちにもできる生き方のヒント」です。

そのために焦点を合わせるべきなのが、「この人はどんな“たった一つの思い”を持ち続けたのか」という点です。人はつい、「どんなことを成し遂げたのか」「どれだけすごいことをしたのか」に目を向けがちですが、それでは君たちは「自分には無理だ」と感じてしまいます。しかし、「どんな思いを持ち続けたのか」という見方に変えると、「自分にもできるかもしれない」と感じられるようになります。

たとえば、二宮尊徳は「人のために働く」という思いを一生貫きました。薪を背負って勉強する姿が有名ですが、それは「勉強が好きだったから」ではなく、「世の中の役に立つ人間になりたい」という思いがあったからです。また、西郷隆盛は「正しいと思うことをやり抜く」という信念を持ち続けました。どんなに立場が変わっても、周りから批判されても、自分が信じる道を曲げることはありませんでした。さらに、上杉鷹山は「苦しんでいる人たちを救いたい」という思いから、自分が先に質素な生活を実践し、藩を立て直していきました。

ここで君たちに必ず伝えたいのは、「この人たちは、最初からうまくいったわけではない」という事実です。失敗もしますし、周りから反対されたり、笑われたりもしています。それでもやめなかったのです。この「やめなかった」という一点こそが、最も重要な学びです。

多くの君たちは、「うまくいかない=向いていない」「できない=あきらめるべき」と考えてしまいがちです。しかし、この本に出てくる人物たちは、まったく逆の生き方をしています。うまくいかなくても、結果が出なくても、「自分が決めた思い」を手放さなかったのです。そして、その積み重ねが、やがて大きな結果につながっていきました。

ですから、君たちにはこう伝えます。「すごいのは成功したことじゃない。あきらめなかったことなんだよ」と。結果はあとからついてくるものであり、本当に大切なのは、その人の心の持ち方です。

そして、もう一歩踏み込んで伝えるなら、「思いは途中で変えてはいけない」ということではありません。大切なのは、「自分で決めた思いに対して、どれだけ誠実でいられるか」です。迷うことや悩むことはあっても、「やめる」という選択を簡単にしないこと。それが、自分の人生を切り開く力になります。

最後に、君たちに伝える言葉としては、できるだけシンプルな形がよいでしょう。「できるかどうかじゃない。直向きな努力の積み重ねで決まる」という一言は、とても本質をついています。夢や目標は、才能のある人だけが叶えるものではなく、「思いを行動し続けた人」が叶えていくものです。

代表的日本人は、そのことを日本人の実例を通して教えてくれる本です。だからこそ、君たちには「偉人の物語」としてではなく、「自分のこれからの生き方のヒント」として受け取ってもらうことが何より大切です。一つの思いを決めて、それをあきらめずに続けていく。その積み重ねが、やがて人生を大きく変えていくのだということを、この本を通してしっかりと受け取ってください。



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