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晴れてから始めようとして、ずいぶん待った -もう一度もがく#2-

駅から家に向かう途中に、トリコロールの看板がクルクル回っている理髪店がある。
店名は、「雲の上はいつも晴れ」

いい店名だな…、と通る度に思う。
思うのだけれど、こういうまっすぐで前向きな言葉を、最近の私は少し持て余している。
前向きであり続けるためにも、それなりの体力と気力が必要なのだ。

雲の上は晴れている。
それは知っている。
知っているのだけれど、こちらはずっと、雲の中に頭を突っ込んでいる。
視界不良で暗中模索、五里霧中。

小さな困りごとが散らばっていて、前に進めない。
できない理由を見つけては、ぐずぐずしていて、一歩も前に進んでいない。
気圧のせいか、頭も少し重い。

「動け!自分!」と喝を入れてみても、気合が空を切り、ぷすんと音を立てて拳が落ちる。

晴れたら動こう。
落ち着いたら始めよう。
準備が整ったら、一歩踏み出そう。

そして、ずいぶんと長い時間、同じところに留まっている。
心が軽く、晴れやかな日、
不安がなく、希望に満ち溢れる日、
全ての条件が整う「完璧な晴れの日」が来たら動き出そうと思っていた。

今日は天気が悪いから。
今日は気分が乗らないから。
今日はまだ準備が整っていないし。
今日はなんとなく、世界全体が私に向いていない気がするから。
私は、雲が消えてくれるのを、ただぐずぐずと待っていた。

『景色を変えたければ、自分から動け。』
ずいぶん昔、手帳に書いていた言葉だ。

机をきれいに片づける。
気になっていた人に短い返事をする。
小さな決意で、ずっと後回しにしていたことを、ひとつ片付けてみる。

大きな決意でなくていい。
人生を変えるような一歩でなくてもいい。
自分が動けば、雲の形も変化する。
雲の上まで、一気に飛んでいけなくてもいいから、
今日の曇り空の下で、できることをひとつずつ片付けていく。

まっすぐで前向きな言葉を、そのまま受け取れたかつての自分とは、少し違う。
今の自分に合った進み方を見つけるために、
『雲の下でも晴れやかに暮らす。』
声に出して、自分と約束してみる。
さぁ、そろそろ梅雨明けだ。

***

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