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LINEの「了解です」、それだけで契約は成立する?

1.クエスチョン:LINEの一言と契約の成立

「そのゲーム機、2万円で譲ってもらえませんか?」
「了解です」

知人とのLINEで、こんなやり取りをしたとします。契約書は作っていませんし、ハンコも押していません。

さて、この時点で契約は成立しているのでしょうか。後から「やっぱりやめたい」と言ったら、キャンセルできるのでしょうか。
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2.関連する法律:民法第522条

契約の成立について、民法は次のように定めています。

民法第522条第1項 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

つまり、契約に必要なのは「申込」と「承諾」という2つの意思表示(=一定の法律効果を発生させようとする意思を外部に表示すること)の合致だけです。冒頭の例でいえば、「2万円で譲ってもらえませんか」が申込、それに対する受け入れの返事が承諾にあたります。

では、契約書などの書面は要らないのでしょうか。これも民法に答えがあります。

民法第522条第2項 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

契約は当事者の合意だけで成立し、書面などの方式は原則不要——これを諾成主義(=合意のみで契約が成立するという考え方)といいます。
実は私たちは、この仕組みを毎日使っています。コンビニで商品をレジに持っていき、代金を払う。このとき契約書は交わしませんが、立派に売買契約が成立しています。

ただし例外もあります。条文にある「法令に特別の定め」の代表例が保証契約です。

民法第446条第2項 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

保証は「頼まれて名前を貸しただけ」のつもりが重い責任を負う危険があるため、慎重にさせる趣旨で、あえて書面が要求されています。裏を返せば、こうした特別の定めがない普通の売買では、LINEのやり取りだけでも契約は成立し得るということです。

もっとも、ここで一つ問題が残ります。「了解です」という言葉は多義的だという点です。受諾の意味のこともあれば、「読みました」程度の相槌のこともあります。
意思表示の内容は、言葉だけを切り取るのではなく、前後のやり取りという文脈から合理的に解釈するのが判例・通説の立場です。
つまり「了解です」が承諾かどうかは、直前のメッセージ次第で決まることになります。
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3.つまりどういうこと?

結論からいうと、LINEの「了解です」でも契約は成立し得ます。ただし、それは「了解です」という言葉そのものの力ではなく、直前のやり取り次第です。整理すると、こんな場合分けになります。

・「このゲーム機、2万円で譲ってもらえませんか」→「了解です」:何を・いくらでという契約内容が特定された申込への返答なので、承諾と評価されやすく、契約は成立し得ます。
・「後で見積り送りますね」→「了解です」:これは「受け取りました」という確認にすぎず、承諾とはいえません。契約はまだ成立していません。
・複数の話題が並んだメッセージへの「了解です」:どの話への返事か特定できなければ、承諾とは評価しにくくなります。

そして、いったん承諾と評価されて契約が成立すると、「やっぱりやめた」という一方的な撤回はできません。
約束を守らなければ債務不履行(=契約上の義務を果たさないこと)の問題になり得ます。個人間の売買は消費者と事業者の取引ではないので、クーリングオフも使えません。しかもLINEのトーク履歴は残ります。口頭の約束と違って「言った・言わない」になりにくく、むしろ契約の成立が認められやすい面すらあるのです。

契約というと、どこか遠い世界の話に感じるかもしれません。
でも私たちは、日々たくさんの契約をしながら生活しています。コンビニでの買い物、ネット通販、サブスクリプションの申し込み。
身近なLINEで「了解です」と一言送るだけで、実は契約が成立しているかもしれません。

※本記事は一般の法務部員Fの個人的見解です。なるべく正確な内容になるよう検討を行ってはおりますが、あくまでも一個人が趣味で行った検討であるため、こういう見解もあるのだと広い心でお読みください。記事の内容につき異論は認めます。個別のトラブルでお困りの場合は、弁護士等の専門家にご相談ください。

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