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【じーじは見た!】前編:ナフサどうなるの? ~ 資源開発・燃料供給小委員会(第26回)を見てみた! ~

Z世代応援団、未来世代応援のじーじです!

さて、イラン戦争によるホルムズ海峡封鎖の影響が長期化しています。心配ですね。

今のところ70年代の石油ショックの時のようなトイレットペーパーの買い占めといった消費者行動は起こっていません。オールドメディアがいつものような国民の買い占めを煽る不安増幅報道を自粛しているフシがあります。

国民も不安には感じているハズですが、今回は、大人の行動(平常心)を取っています。

中東原油に最適化された日本の精製設備は、韓国のように戦略的に米国産原油にシフトする設備更新をしてきませんでしたから、米国産原油を代替調達して、それを精製したとしても処理能力(スループット)の低下一部設備の能力不足(ボトルネック)が発生し、生産効率や経済性が低下します。

今、どんな状況になっているのか、直近の資源開発・燃料供給小委員会(第26回)の資料から確認してみましょう。


1️⃣  原油だけはダイバーシティが出来ていなかった

第26回会合資料3より抜粋①

会議資料には、示されていませんが、もう一つの重要な化石燃料は、石炭です。

資源エネルギー庁「エネルギーの今を知る10の質問」より抜粋

見てのとおり、原油だけが中東依存の一本足打法です。
2度のオイルショックを経て、電力におけるオイル依存を低下させるためにLNGや石炭ボイラー、そして原発へ燃料転換を促した経産省の政策は、自動車(ガソリン)と化学(ナフサ)向けの原油については、ダイバーシティを民間任せにしてきたということです。

LNGはホルムズ海峡封鎖の影響を受けるのは全体の僅か6.3%です。
一方、石炭は豪州に大きく依存しているものの、バランスがよく、ホルムズ海峡封鎖の影響はゼロです。

つまり、化石燃料の調達における問題は、原油だけなんですよ。

京都議定書やパリ協定を批准してきた日本政府は、気候変動対策として化石燃料の削減に取り組み、太陽光発電や風力発電の再エネ開発に注力はしてきましたが、原発事故を経験し、国民感情に配慮して原発依存を避けてきました。

そのため発電において今でも7%程度は重油を使っています。しかし、原発に依存できないために、無理な石炭削減を進めてこなかったことが幸いして、発電に関しては、中東重油がなくても大丈夫なのです。石炭ボイラーで代替可能です。

エネ庁資料「発電分野をめぐる最近の動向と 今後の進め方について」より抜粋

中東重油がなくて困るのは、動力源のガソリンとプラスチック原料のナフサの確保なのです。

もちろん他国の代替調達との間で天然ガスの価格は上がっていくので発電は大丈夫と言っても電気代は上がっていくでしょう。

2️⃣ 備蓄の放出でいつまでもつの?

第26回会合資料3より抜粋②

上記のとおり、5月、6月も備蓄の放出が予定されていましたが、高市首相は5月の国家備蓄の放出をやめました。

第26回会合資料3より抜粋③

代替調達が7割ほど目途が立ったということであれば、青い線は更に伸びて高市首相が胸を張るのも頷けます。

ただ、ここで心配なのは、米国産原油をいくら代替調達してもガソリンやナフサを中東原油に最適化された設備で精製するので、相当効率を犠牲にしないといけないと思われる点です。代替原油の調達量の割には思ったほど精製製品(ナフサ)が出てこないかもしれません。

そのため、きっと政府は、ナフサそのものを代替調達する必要があり、米国や韓国等から輸入する算段を付けていると思われます。しかし、イラン戦争の状況次第では自国優先で余り物を回してもらえなくなるかもしれません。

予見可能性の低いこの状況を見て、買い占めに動く(利己的行動に出る)のではなく、カルビーのようにパッケージをカラーから白黒に変える冷静な企業行動が重要です。

自治体としても有料のゴミ袋が供給不安になることを見越して、有料袋の在庫状況を確認しながら、買い占め行動が既に起こっている自治体であれば、どんな袋でもごみ回収が可能なナフサ節約宣言をしたりすることが重要だと思います。

ひと月分の流通在庫で回している製品をいつもは一つしか買わない顧客が、一斉にみんな2つ買い占める行動に出た途端にパニックになります。

民衆がパニック買いする様子の方が視聴率が稼げて嬉しいので、そろそろオールドメディアが危機感を煽り始めるかもしれませんが、マスコミに踊らされずにみんなが冷静に行動したいものです。

3️⃣ 問題が起こってから動いたのでは遅い

原油の精製設備を米国産の軽質原油(軽質(ライト)原油は、 比重が軽く、ガソリンやナフサなどの本来は高付加価値製品を多く生成できる)に合わせた設備改造をするチャンスはあったと思います。しかし、民間任せにしてきたので、中東に最適化した設備を多額の設備投資をして改造するという経営者の意思決定は、なされてきませんでした。

石油連盟HPより「連産品とは」より抜粋
価格の高い米国産原油ではなく、安い中東原油からナフサやガソリンの軽質残留製品及び中間4品の生産量を最大化し、搾りかすの重油を最小化する設備最適化を進めてきたのが日本企業です。
出光HPより「千葉事業所|製造フロー」より抜粋

重質原油に最適化された設備に軽質原油を投入したのでは、上記フロー図の常圧蒸留装置 (CDU)において、ガソリンやナフサなどの軽質留分が多すぎるので、塔頂部(上部)のガスや液の負荷が急増します。これを処理しきれず、装置全体の処理量を絞らざるを得なくなることが最大の課題です。

逆に重質原油に含まれる重油分を分解・アップグレードする高コストな二次装置は、軽質原油の精製時には稼働率不足に陥るため、設備に見合った付加価値を生み出せません。

平時には、コストパフォーマンスよく精製できた設備が、ホルムズ海峡封鎖という非常時にはボトルネックになっているのです。しかし、そんなリスクを全て民間が取り切れないのも無理はありません。
責めるべきは政治の不作為です。(高市さん以前の政府の対応がですよ)


2004年に設立されたJOGMEC(Japan Organization for Metals and Energy Security)、独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構は、石油・天然ガスの安定供給を担ってきた石油公団と、非鉄金属鉱物資源の安定供給を担ってきた金属鉱業事業団の機能を統合して発足した組織です。

JOGMECは、石油・天然ガスの安定供給と国際競争力のある上流開発産業の育成の観点から、日本企業による上流権益獲得に必要なリスクマネーの供給を行ってきました。

第26回会合資料3より抜粋④
INPEXについては 
ここ

こうやって2004年から動いてきたことが、ホルムズ海峡封鎖に対応してどこまでの効果があったのかは私には分かりませんが、20年以上前から動けば対応できることであっても、今日の明日で間に合わせ対応ができることには限りがあるということです。

そこで、10年、20年先を見て、今何をすべきなのかをこういう機会に考え、立法措置を国会に提案するのが政治家の役割だと思います。

今回のホルムズ海峡封鎖で「ナフサ」の問題が浮き彫りになりました。

それは、中東重油に最適化された設備の更新をしてこなかった方向に政策誘導してきたからです。この機会に、その反省を促したいものです。

有識者会議では、今から10年~20年先を見て、何をどこまでどうすべきかを考えることが重要です。それを後編では確認していきましょう。

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