30日目 2026年7月14日 聞こえるという奇跡
聞こえる能力って、本当に奇跡なのだと実感しています。
大学病院での診療が始まる頃には、複数の医療機関での聴力検査を経て、純音聴力検査におけるデシベル数(会話音域)は正常であることが判明していました。
しかし、「聞こえる」という能力には、実は2段階の意味があります。ひとつは純音を聞き取る能力、もう一つは音を文字として認識する能力。
前者、すなわち、純音を音として聞き取る能力については、会話音域に限って言えば、左右とも健常者と同等の数値を示していました。
このため、大学病院の検診で、主治医が危惧していたのは、私が音を言葉として認識できるかどうか、という点でした。「あ」「か」「ま」。提示された音をすべて正しく識別できたとき、先生は深く安堵されました。
音を聞くということは、単に物理的に「聴こえる」だけでは不十分なのだと、その時初めて気づかされました。
聞こえること。それは当たり前ではない、ひとつの奇跡なのだと。
もし、今これを読んでくださっている「あなた」に伝えたいことがあるとすれば、「聞こえる」というメカニズムが奇跡そのものだということ。
外有毛細胞と内有毛細胞が奏でる、美しきハーモニー。内耳にある小さな有毛細胞に、たくさんの感謝を込めて、どうかこれからも、たっぷりとした栄養を届けてあげてくださいね。

今、発病して悩んでいる方や、日々の睡眠と食事を疎かにしてしまっている方への警鐘になれば、と思いを込めて、私が発症から冷静さと落ち着きを取り戻していく過程を、これから物語風に綴っていこうと思います。
これまでの三編はそれぞれ一日から二日で一気に書き上げましたが、この四編目は、自分の気持ちが整った時に、少しずつ言葉を重ねていきたいと思っています。
今日は、その第一話を公開しました。ご一読いただければ幸いです。
