【短編小説】罪の告白

 私は、人を殺めることを、こんなにもというくらいしてきましたので、殺めるシーンを鮮明に憶えているのもあれば、記憶から飛んだ場合もありました。私の性格と言えば、明らかに惨酷で、零露なものでした。私は不遇にも母親の愛を知らない、といいますも、母親に出逢ったという記憶がありません。母親に育てられる、という、当たり前な出来事が私には関与しなかった、このことに苛立ちを覚えました。誰に怒りをぶつければいいのか、その捌け口は、私の目に止まった、「むかつくであろうその人自体」に向けられました。滔々私は「まさに無差別殺人犯」のレッテルを貼られました。警察にバレなかった殺人事件というものも大量にありました。私の手口と言えば、主に首を紐で絞め上げるということが挙げられます。ビルの屋上に誘ったあと、屋上から飛び降りさせたり、突き落としたりしたこともありました。スクランブル交差点で、誰か「むかつくであろうその人」はいないものかと探索したこともありました。私にとって「むかつくであろうその人」というのは、殺害の理由に値しました。たとえば汗をかいているもの、今日も仕事に精を出したいもの、化粧を濃くしているもの、といった分際においては、偶然かもしれませんが殺めてきました。事件現場を振り返ると、私は、今日も仕事に精を出したいものをそうであると意識せずに殺害していることが多く、偶然にも同定パターンが現象化してしまっているという事実を認識しました。私は「むかつくであろうその人」を殺めてきましたが、その人の具象的な内容について深く掘り下げずに殺害してきました。最近になって、「むかつくであろうその人たち」の個人的な情報を手にしていたのであって、殺害の理由は、私が「むかつくであろうその人」にいささかも該当すれば、殺害するというものでした。よく被害者のことを吟味せずに殺めた。

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