【ひねもす美術研究所】桜の浮世絵
こんにちは!所長のイナガキです。
気がつけば新年度。あっという間に桜の季節になりました。
今回は「桜」を描いた浮世絵で、江戸の春を楽しみましょう🌸
とくに、桜と女性を主役にした華やかな作品をご紹介しますね!
1 遊里の女性もお花見したい
江戸時代、桜の名所といえば上野や品川、飛鳥山、隅田川沿いなどが有名でした。
浮世絵には、さまざまな身分の女性たちが、こうした名所で桜を楽しむ様子がたくさん描かれています。
妍を競いつつ、互いの美しさを引き立てる…そんな華やかな浮世絵をご紹介しますね!

出典:The Art Institute of Chicago
鳥居清長(とりい・きよなが 1752-1815)は、歌麿にも大きな影響を与えたスター浮世絵師。
西洋を思わせる8等身の女性像が、当時の人々にとっては衝撃でした。
題名の「美南見(みなみ)」とは品川のこと。
東海道の1番目の宿場町であり、「北の吉原、南の品川」といわれるほどの人気を集めた遊里がありました。
品川といえば海がシンボルで、海を見下ろす御殿山(ごてんやま)は桜の名所だったんです。

この版画は、桜の盛りに御殿山で花見を楽しむ女性たちを描いています。
まあるい形の桜がかわいいですよね!
花のピンクと白、そして葉の淡い緑色の組み合わせがとってもきれいです。

今は桜といえばソメイヨシノが主流ですが、実は江戸末期に開発されたもの。普及したのは明治以降といわれています。
江戸時代はヤマザクラ、ヒガンザクラなど、多様な桜が楽しめました。
時期をずらして咲くので、花見の時期が長かったとか。
この絵は1枚ずつ販売され、2枚セットでも楽しめるものです。
右側は、右端に幇間(ほうかん)=太鼓持ちのような男性が見えます。宴席で客の機嫌をとり、場を盛り上げる男性芸人。
着こなしからも、品川の遊女や芸者たちの一行なのでしょう。
左側は、青傘から江戸芸者と考えられています。
吉原とは違い、彼女たちはわりと自由に出歩けたようですね。
そうそう、浮世絵にはよく酩酊する女性も登場します!

出典:Museum of Fine Arts, Boston
なかなか派手に酔っ払っていますよ〜。
一緒に来た女性に手を取られて、ようやく歩ける様子。
右の女性たちは笑いをこらえられず、振り返りながら歩いています。
花見酒なんて、そりゃあ気分も良くなりますよね!
2 御殿女中だってお花見したい

出典:The Art Institute of Chicago
これも同じく鳥居清長の版画作品です。
今度はシダレザクラのようですね!しなやかに垂れるさまが優美です。

「揚帽子(あげぼうし)」を頭に被っているので、武家の女性たちでしょう。
華やかな着物に身を包んだ御殿女中(ごてんじょちゅう)の一行も、浮世絵にはたびたび描かれます。
桜の下、野原で草を摘んで遊ぶなんて優雅ですね!

女性たちがリラックスして、花見を楽しんでいる様子が伝わってきます。
ここに描かれた遊女や御殿女中の女性たちは、庶民にとってはなかなか見ることができない憧れの存在でした。
だからこそ、浮世絵のテーマとして人気を集めたのでしょう。
次回は吉原の桜をご紹介します。お楽しみに!
