「DS」と言った瞬間、思考は止まる——相関図で辿ると、矢印は最後に“王家の金庫”へ消えた
「ディープステート」
この言葉が出てきた瞬間、たいていの会話はそこで止まってしまう。
悪の組織。顔のない誰か。世界を裏で動かしている影。
そう言われた途端、人はもう調べるのをやめる。
でも、本当に「わからない」のだろうか。
私のライブで、一枚の相関図を共有した。
DSと呼ばれるものを、ただの「お金の流れ」として描き直した図だ。

矢印を辿っていくと、影は少しずつ、輪郭を持ちはじめる。
真ん中にいるのは、たぶん主役ではない
図の中央には、トランプがいる。
けれど、彼が主役だとは限らない。
足元にぶら下がっているのは、いくつものシンクタンクだ。
ケイトー研究所
アクトン研究所
ヘリテージ財団
マンハッタン研究所
太平洋研究所
カナダのフレイザー研究所
その束を上でまとめているのが「アトラス・ネットワーク」と呼ばれる組織だとされる。
では、そこに一番お金を流し込んでいるのは誰か。
コーク兄弟。
宇宙開発から化学まで手がける、コーク・インダストリーズの一族の名前が出てくる。
ロックフェラー系の資金も、そこに重なる。
さらにファイザー、グラクソ・スミスクライン——製薬会社の名前まで並んでくる。
トランプ本人に金が向かうとは限らない。
副大統領JDバンスの後ろには、パランティアを共同創業したピーター・ティールがいると囁かれている。
中央に届かなくても、隣に置いておけばいい。
そういう設計に見えてくる。
その図には、まだ「上」がある
アトラス・ネットワークにも、さらに上があるという。
モンペルラン協会。
スイスに拠点を置く、経済思想のサークルだ。
その会員名簿に、かつてオットー・フォン・ハプスブルクの名があったとされる。
——ヨーロッパの、あの旧皇族の家名である。
シンクタンクを辿っていたはずが、気づけば王家の話になっている。
この唐突な跳躍こそが、この図のいちばん奇妙なところかもしれない。
もう一つ。
ヘリテージ財団の周辺には、統一教会系の資金が入っていたと語られる。
そして、その財団の出身者たちがトランプ政権へと登用されていく。
前回の選挙で誰が誰を応援していたか。
それを思い出すと、線は勝手に繋がってしまう。
話が、静かに日本へ折れていく
ここから図は、日本に食い込んでくる。
丸紅の名前がある。
ある人物の周辺に、丸紅の幹部が入り込んでいる。
丸紅とバチカンの距離を知っている人なら、そこで少し眉をひそめるだろう。
日本版のモンペルラン協会を作ったのは、三菱創業の一族に連なる人物だという。
岩崎弥太郎の血筋である。
そしてその子が今いるのは、徳川宗家とも縁のある場所だとされる。
三菱と、徳川。
明治の財閥と、江戸の将軍家。
本来なら交わらないはずの二本の線が、一枚の図の上でぴたりと重なっている。
そこに、銀座のフィクサーと呼ばれた人物の名が絡んでくる。
政治家への資金。接待。囁かれる噂話。
どこまでが事実で、どこからが伝説なのか。
その境目は、あえて曖昧なまま残されている。
お金は「健康」の顔をしてやってくる
もっとも巧妙なのは、資金が「善意」の姿をまとって流れることだ。
グローバルヘルス技術振興基金——GHIT。
官民一体のファンドで、主にワクチン関連へ資金を出しているとされる。
これを立ち上げた家系を辿ると、武見敬三の名にたどり着く。
その父の代には、八幡製鉄——のちの新日鉄——の顧問を務めた人物がいたという。
そしてその人物が面倒を見ていたとされるのが、ショール・アイゼンベルグ。
「イスラエルの影の帝王」とも呼ばれた男である。
ワクチン。製薬。ビル・ゲイツのグローバルヘルス・プログラム。
そこに、戦後日本の鉄の歴史と、中東を渡り歩いた影の商人が、なぜか同居している。
偶然にしては、少し出来すぎている。
ここで話は、いちど戦前に戻る
日本版の図の中心には、笹川財団がいる。
そこから日本財団が生まれ、その下にパシフィック・フォーラムCSIS——いわば日本版のCSISがぶら下がっている。
CSISを作ったのは、イエズス会のエドマンド・ウォルシュだとされる。
そして彼の系譜を遡ると、カール・ハウスホーファーという名前が浮かび上がってくる。
ハウスホーファーは、ルドルフ・ヘスの師。
ヘスは、ヒトラーの右腕。
では、そのハウスホーファーは、どこで何を学んだのか。
——日本である。
彼は来日し、緑龍会と呼ばれる秘教的な集団に触れたという説がある。
八咫烏。逆卍。
ヒトラーが掲げたあの意匠のルーツを、日本の神道の奥に見ようとする人たちがいる。
那智大社の「ナチ」。
ナチスの「ナチ」。
音が重なるのは、本当に偶然なのだろうか。
日独伊三国同盟。
イタリア(バチカン)、ドイツ、そして日本。
この三国が結ばれた背景に、こうした見えない糸があったのではないか——
そんな読み方さえ、成立してしまう。
「裏側」に見える人ほど、同じ場所にいる
半田晴久という人物がいる。深見東州、という名でも知られる。
ワールドオピニオンサミットを主催し、トニー・ブレアや各国の要人を招く。
ローマ教皇までもが射程に入る、とも言われる。
その彼が率いる宗教団体ワールドメイトは、大本教から派生したものだとされる。
大本教。
ここが、奇妙な結び目になっている。
成長の家。世界救世教。日本会議。
一見するとバラバラなこれらの源流を辿ると、同じ場所へ戻ってくるという指摘がある。
さらに時代を遡れば、黒龍会。玄洋社。
満州でのアヘン利権。中野学校。登戸研究所。
偽札。諜報。そして戦後へと続いていく人脈。
「敵」と「味方」に見えていた人々が、
一枚の図の上では、同じ根から枝分かれしている。
別れたのではなく、役割を分けただけ。
そう眺めると、景色が少し変わってくる。
「対立」は、同じ屋根の下で組み立てられる
笹川良一が関わったとされるフォーラム2000。
開催地は、プラハ城——ハプスブルクゆかりの場所だ。
そこに集うのは、ジョージ・ソロス。ダライ・ラマ。クリントン夫妻。
立場も思想も違うはずの人々が、同じ庭に並んでいる。
そのパートナーには、NEDの名もあるという。
「民主主義を支援する」と掲げながら、CIAの役割を代替する機関だと語られることの多い組織だ。
表で人形のように目立ち、喋り、動く人。
裏で、静かに糸を引く人。
その両方が、同じ会合に呼ばれている。
そう考えると、「対立」という言葉が、急に薄っぺらく見えてくる。

お金の流れは、最後にどこへ吸い込まれるのか
図を上へ、上へと辿っていくと、話はやがて「資産管理」に行き着く。
サッスーン財閥。
かつてアヘンで財を成し、香港の銀行業に深く関わったとされる一族だ。
その資産にまつわる線は、ジャーディン・マセソンを経て、日本の近代へと伸びていく。
吉田茂の周辺にまで届く、という読み方もある。
中国に目を移せば、蒋介石。
青幇と呼ばれる組織。マーク・リッチ。そして、またしてもアイゼンベルグ。
どこを切っても、同じ名前がまた顔を出す。
そして、いちばん「反対側」に見える人物。
ジョージ・ソロス。
彼がかつて働いていたのは、のちのブラックロックへと連なる金融会社「アンホールド・アンド・Sブライシュローダー」だったとされる。
その会社が扱っていたのは、ドイツ皇帝やビスマルクの資産管理だった、という話まである。
王族の資産。貴族の富。
それを管理する場所へと、最後の矢印は静かに吸い込まれていく。
多くの人は「ブラックロック」で立ち止まる。
けれど、その上に誰がいるのか。
図は、そこまで指を伸ばそうとする。
そして、話は現代へ戻ってくる
パランティアが手がけたとされる、XKeyscoreという監視システムがある。
名前を入力すれば、その人物のSNSも、断片的な情報も、一瞬で立ち上がる。
かつてスノーデンが暴いた盗聴網の、次の世代。
ネットそのものを見張る仕組みだ。
日本の政府にも納入されている。
2017年4月米ネットメディア「インターセプト」は、2013年にNSAがXKeyscoreを日本に提供した事を公開している。
この件での朝日新聞の取材に対し、防衛省はコメントは控えると回答している。
住宅にソーラーパネルを載せる流れ。
農薬の基準値をめぐる、あの奇妙な動き。
水道の民営化、という言葉。
どれも、遠い誰かの利権の図と、静かに地続きになっている。
「ディープステート」という言葉は、便利すぎる。
それを口にした瞬間、思考にそっと蓋がされる。
——深い海の底。もう何も見えません。
そういう合図なのだ。
でも、蓋を一枚だけ外してみる。
すると、そこにいたのは怪物ではなかった。
名前と、会社と、お金の流れだった。
王家の富を管理する場所へと、細く伸びていく矢印。
その先に、あなたには誰の顔が見えるだろうか。
図は、まだ途中で終わっている。
続きを描くのは、たぶん、これを読んでしまったあなたの番だ。
